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ギルドでの再会

次はギルドだな…しかし、その道中に人が妙に集まってる場所を見付けた。

何かと思って近付いてみると、そこは大きな井戸だった。

こんなに発展してるのに井戸から水を汲んでいるのは意外だな。


(やはりこう言う雰囲気には井戸があうと思いまして)

(あわないだろ)


このタイルとかレンガの国に井戸って…どう考えてもあわない。

水はライフラインだし大事ではあるんだけどさ。

しかし、井戸って…あまりにも古風すぎるぜ。


「何かイベントをしてるのかと思ったら全然違ったんだな」

「ここは毎日人が多いですよ。

 最も水が溢れている場所がここですしね」

「はぁ…でもやっぱり紛らわしいだろ。

 観光客とかだったら最初にこの列に並びそう」

「イベントかなって思って並んだら水の列って…ちょっとショックだね」

「ちょっとってレベルじゃ無いと思うがな」


でも、流石に何の列かを確認して並ぶだろうけど。

遊園地とかで何の列かも調べないで並んだらトイレの列

とか、確認無しだとあり得そうだし。


「まぁいいや、それでギルドは何処に?」

「はい、こちらです」


そのままシオさんに案内されてギルドの場所まで移動した。

ふーん、なる程ね。村にあったギルドよりも大分巨大だな。

大きな市役所みたいな感じだな。

何階建てもあるんだ…へぇ。


「このギルドは王都ですので最も設備が充実していますよ。

 医療関連も最も発展していますし、ギルドの中に

 冒険者達の寮も用意されているくらいですからね」

「へぇ、ならここの冒険者はここで楽に過せるんだな」

「いえ、確かに楽には過せるのですがランク次第ですね。

 ランクが下の場合は寮は大部屋で何人もの同ランクの冒険者で過ごします。

 ベットなども粗悪で、ボロボロですしね」


やっぱりランク次第なんだな。まぁ、ランク下位と上位が同じ部屋だったら

別にランク下位のままでも問題無いと感じるだろうし。


「ひとまず中に入ってみますか?」

「はい、設備なども気になりますし」

「では中に、ギルドバッチもありますし問題無く入れますよ」


俺達はそのままギルドの内部に入った。

中は完全に市役所という雰囲気だな。

カウンターがあって、その奥に店員…いや、ギルドの依頼管理の人に

カウンターの手前に冒険者が居て、色々と書いてる感じ。


しかし、依頼の内容や危険性から考えてあまり人が居なと思っていたが

俺の予想と反し、ギルド内部は人で賑わっている。

だが、全体的に雰囲気は暗いように見える。

全員、何処かイラついてる感じ。


「……これは」


上位のギルドバッチを持つ人を見ては嫉妬の視線を送る。

女性ばかりだと聞いたから、もう少し楽しそうなのをイメージしていたが

どうやら全員かなりピリピリしているようだ。

…命を賭ける仕事なのに報酬額が少ないと感じればこうもなるか。


「……ふふ」


そして、低ランクのギルドバッチを見れば、少し貶むように相手を見る。

それ故に俺達は周りから貶まされたような視線を送られている。

まぁ、別に良いんだ。嫉妬されるよりはこっちの方がマシだろう。

仕事に支障がある訳でも無いし。


……だが、どこからから敵意に似た視線を感じている。

誰だ? 誰が俺達なんかに敵意を向けている?

ギルドランクが最も低い俺達に敵意を向けるなんて…


「……レベッカ」

「え?」


その視線の正体はそちらからやって来てくれた。

小さいながらも確かな怒りを感じるひと言。

彼女の名前を知る人間が何故ここのギルドに?


「……ワーウルフ」


声の先を見てみると、そこにはレベッカと同じくらいの身長があるワーウルフが居た。

彼女の髪型は赤髪で黒の髪留めでツインテールを作っていた。

目の色も赤く、服装は軍服の様に見える。

青い軍服…そうだな、イタリアの軍服が1番近いかもしれない。

青い軍服に黒いマントの様な物を羽織ってるし。

帽子を被っているから耳は確認できないな。

だが、尻尾から考えて狼かな。


「あなたは…メリー」

「…結局冒険者になったのね。それも、セイナさん達と」

「…うん」


どう言うことだ? ワーウルフ、レベッカの名前を知ってると言う事から

彼女は先にギルドに所属した俺達の先輩になるんだろう。

だが、レベッカは同期とはあまり交流が無かったと聞いた。

それなのに彼女はまるでレベッカを誘ったと言ってるように感じる。


「誘ったのに…やっぱり私達よりも自分の目的の方が大事だったの!?」

「それは前も言ったじゃん! あの時はお父さんとお母さんが!」

「嘘吐かないで! セリスさんとマリナさんにお願いされたから!」

「違うよ! お父さんとお母さんがギルドは駄目だって聞いてくれなくて!」

「自分の事しか考えない…私達の事もどうでも良いって思って

 自分の目的の為だけに私達を捨てた…そうでしょ!?」

「なんで信じてくれないの!?」


な、何だよ…スゲー仲が悪い…いや、違う。

仲が悪い訳じゃ無いんだろう。本来は仲が良かったはずだ。

だが、意見の食い違いが原因で関係がこじれた。

そのこじれた原因の一役を買ってるのが…俺達か。


「え、えっと…」

「メリー! 騒がないで!」

「く…ポーラ…」


お互いに食い下がらない2人を止めたのもワーウルフだった。

彼女は白い短い髪の毛で軽そうな鎧と青い小さなマントを羽織ってる。

スカートも膝元ほどの長さ。その周りを囲うように鎧が伸びている。

耳は白く丸っこい耳で尻尾は正面からは見えない。

あの耳から予想するに熊のワーウルフだ。


「ごめんね、レベッカ…」

「いや、私の方こそ…ごめんなさい、ポーラ」

「ポーラ! 何でレベッカを庇おうとするの!? この子は裏切り者よ!」

「そんな訳無いでしょ…レベッカの事はあなたが良く分かってるでしょ?」

「知らないわよ、こんな裏切り者」

「……」


彼女の辛らつな言葉を聞いたレベッカは沈黙してしまった。

この会話から考えて、どうやらメリーとレベッカの仲は良かったようだ。

だが、例の食い違いのせいで…


「……」

「ん?」


そして、彼女達2人以外にこちらを見ている少女がいた。

俺と同じくらいの身長…彼女はレベッカでは無く俺達を見ていた。


「クソ、もう良い…依頼を受けるつもりだったけど嫌になった。

 部屋に帰って寝る…戻りましょう」

「待って! …はぁ、メリーは本当…」

「ポーラ…ごめんなさい」

「いえ、気にしなくて良いわ。それよりもギルドに入ったのね。

 おめでとうと言うべきかは微妙だけど…私は嬉しいわ」

「…え、えっと、ポーラさんでしたっけ。

 その…俺達の先輩に当るとか」

「えっと…確かにそうなるかな」

「じゃあ、メンバーは? 2人だけなら合流すれば」

「…いえ、私達はもう3人居るから無理ね」

「3人居るの?」

「えぇ、全員ワーウルフでね。ほら、あそこの子」


さっきから俺達を見ていた少女…なる程、彼女がメンバーだったのか。

黒く長い髪の毛、黒っぽい瞳。

服装はゴスロリファッションという奴だな。黒いリボンを付けてる。

耳も黒く、形状から考えて猫だろう。尻尾も猫だ。


「……可愛い」

「へ?」

「私の妹になって」

「ほへ?」


その少女はすぐに俺達の方に駆け寄ってきて、マリスの手を握りそう言う。


「何! 駄目だ! マリスは俺の妹だ!」

「む…邪魔をしないで」

「おまふざけんなよ! マリスは俺の妹! お前の妹では無い!」

「……マリス、マリスというのね。

 なら、マリスは私の妹にする。あなたは大人しく消えて?」

「ふざけんなよコラ! マリスは俺の妹だ! 決してお前の妹では無い!」

「う、うん…私はお姉ちゃん以外の妹二なるつもりは無いよ」

「……なら、必ず奪う…マリスの姉、お前はなんて言う?」

「マリスのお姉ちゃん。セイナ・ドライだ!」

「セイナ…覚悟しておいて、マリスは私の妹にする。

 力尽くで! ギルドランク最下位が、ギルドランクAの私には勝てない」

「ふん、ランクでしか相手の実力を読めないのであれば、

 お前に勝算などないわガキが。そもそも人の心を力で奪えるとでも?

 そんな物、本当に相手の心を手に入れたとは違う」

「く…覚悟しておいて」


少し悔しそうな表情を見せ、彼女は上の階へ移動した。


「あ、あの子はクロナ、私達はクロって呼んでるわ」

「はぁ…しかし、3人だけなんですね」

「3人が1番動きやすくてね」


まぁ、俺達も3人だからな。これ位が丁度良いのかも知れない。


「あの子は姉になりたいという衝動があるのか

 年下で可愛らしいワーウルフを見ると妹にしたがるの。

 今回ほどにガンガン行ったことは無いからね。

 普段は無口だし…もしかしたら本気で気に入ったのかもね」

「例えどんな理由だったとしても、マリスは渡さない」

「あの子はしつこいと思うから…でも、何だか災難よね。

 久し振りに会ったのにいきなりこんなギスギスしちゃって」

「いや、気にしてないから…それに、ポーラが謝ることじゃないよ」

「何とか私も説得してみるから…また、会いに来てくれる?

 久し振りに会えるようになったんだから」

「そうだね…また来るよ」

「うん、じゃあ、またね」

「うん。またね、ポーラ」


別れの言葉の後、ポーラさんも2人の後を追い階段を登った。


「……レベッカ、聞きたいことは色々あるんだけど。

 あまり交流が無いって聞いたけど」

「うん…メリーが私にギルドに入ろうと言った時に

 お父さんお母さんに聞かれてからは交流が無くなって…」

「…そんなに、当時の両親は」

「うん…ギルドの事を嫌ってて…」


そうなのか…それが原因で。なんでギルドを嫌ってたのかは知らないけど。

…しかしまぁ、これ以上の詮索は止めよう。

レベッカを傷付けることになってもいけないしな。

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