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救護室にて

あぁもうボロボロだよ畜生。


(主人公補正って、結構散々な要素が多いでしょ?)

(多分、俺だけなんじゃないかな、こう言うの)

(何を馬鹿な事を、エロゲの女主人公は

 大体あなた以上に散々ですよ)

(エロゲと比べるなし)

(この世界はエロゲーがモチーフなので)


まぁそりゃ、エロゲーの女主人公は大体酷い目に遭う。

敗北して散々酷い目に遭った後に解放されて

変なステータスが上昇して、ステータス次第でエンディング分岐。

……むむ、エンディング分岐…エロゲーにはなくてはならない要素に等しい。

主人公が最後まで幸せハッピーエンド…は、非常に稀だが存在する。

でも、大体のエンディングは悲惨な物も多い。

奴隷落ちしたり、身体を売ったり、苗床になったり

洗脳されたりと、バットエンドルートは非常に多い。

王子様に見いだされて幸せエンドは…見たこと無いな。

大体そんなパターンになっても王子様は実は幻影でしたーで結局苗床エンドだし。

むむ、む、むむむ! 待て! この世界はエロゲーの世界だとすれば!


「ま、まさか…エンディング分岐とか…沢山ある?」

「おや、口に出すのですか? まぁ、この部屋には今は誰もいませんが」

「いやその話はいい、それよりもエンディング分岐だ、話せよ」

「ありますよ、勿論、ま、それはあくまで私が想定していたエンドでしかありませんが。

 前にも言ったとおり、私は知恵やスキルや道具を与えますがそれだけです。

 エンディングを渡したり、精神や考えを渡したりはしません」

「いいから、想定してる奴を話して」

「いいでしょう、では最初に最ものバットエンドを」

「最初からどぎついのを…」

「おほん、最悪のエンドは妹さんが寝取られます」

「殺す!」

「待って! さっきまで瀕死だったのに異常な回復速度止めて!

 目がマジです! 目に一切の余裕とかそう言うのがありません!」

「マリスに手を出す奴はぶっ殺す! 魔王だろうがぶっ殺す!

 例えそれが神だったとしても! 俺はその神を殺す!」

「あなたなら本当にやりかねませんが…い、一応です

 そう言うルートもあるかも想定していたと言いますか」

「マリスは渡さん! 誰にも渡さねぇ!」

「た、例えマリスさんが好きになった相手でもで」

「勿論!」

「重度のシスコンですね……いやでも、マリスさんの方も

 もしセイナさんに彼女か彼氏が出来たら意地でも妨害してきそうですが

 でも、流石に殺すと言う選択は出ないでしょうね…」

「マリスは誰にも渡さねぇ!」

「…まぁ、ルートの大半はセイナの方が寝取られます。

 と言うか、99%はセイナが堕ちるエンドですが」

「マリスは俺の物だぁ!」

「あ、聞いてませんね、これ」

「こうしちゃいられん! 急いでマリスの警備を!」

「待って待って! まだ色々と話してません! 一部すら話せてません」

「なんの話だ、俺は今、世界崩壊エンドよりも悲惨なエンドを止めに行こうとだな」

「いや、妹寝取られエンドがまさかの世界崩壊よりも重大だなんて」

「当然ではないか! マリスさえいれば世界などどうでも良い!」

「闇落ちしそうな台詞ですねぇ…まぁ、落ち着いてください。

 正直、そのルートはあなたが妹を放置しなければそれだけで回避出来るルートです」

「余裕だな」

「余裕過ぎるのも問題だと思いますがね」


俺がマリスを放っておく筈が無いではないか。

マリスは俺の大事な妹! 妹を放っておく等愚の骨頂!


「まぁ、なので殆どあり得ないルートです。

 大体、私の想定ではマリスさんのエロシーンがあるとすれば

 ほぼ確実にセイナさんとセットですので」

「マリスのエロシーンなど認めない!」

「ま、まぁ…」

「それはさておき、なんでセットなの?」

「えっと、双子キャラで甘えん坊のケモミミ妹キャラと

 双子キャラで強気の前衛バリバリキャラなんてセットで売ってるのと同じでしょ。

 姉妹丼ルート確定ですとも」

「……やっぱりお前は何処までも変態だな」

「な! せ、晴夜さんほどではありませんよ!」

「いや、俺より変態だね! 俺は例え変態でもこんな世界作らねーし!

 しかも設定とかエロイベント全振りだし! 完全にその為に世界を作ってる地点で」

「何を馬鹿な事を! この世界の設定の全てがエロよりとでも思っているのですか?」

「え? そうじゃ無いのか?」

「当たり前ですよ! 全てがエロならば地下ダンジョンなど存在しない!

 完全にエロ系の物語を作ろうとしているなら、主人公は一般の家庭ではなく

 奴隷の双子として選びますとも! スキルも自爆とか入れますし

 こんないくつもスキルを考える事もしませんとも!」


く、確かにただエロイベントを堪能したいだけの世界なら

主人公である俺の能力をここまで上げてはいないのか。

格闘(特大)という、破格の性能ではなく

有無も言わず魅了を押し付けることも可能だったはず。

そうでは無く、俺にスキルを選ばせ、そのスキルが強大だったわけだからな。


「だがしかし! 強大なスキルを取得させたから

 こんな強敵とばかり戦わせているのだろう!?」

「いえ、あれもこれも完全な偶然です。

 正直、エロゲー主人公でもここまでエンカウント率高くないでしょ普通」

「え!? まさかの全部想定外の遭遇だったりするの!?」

「はい、ネクロマンサーの展開も想定より速かったですし

 吸血鬼との遭遇も想定よりもかなり早かったです。

 ケルベロスも同じく…と言うか、ケルベロスの場合

 想定では後半の冒険中とかに遭遇するつもりの能力だったりします。

 あ、吸血鬼もですよ? つまり、あなたは異常な程に不運です」

「しゅ、主人公補正さえも超えた不幸体質…だと…」

「はい、そりゃもう。最初期で本来なら負けイベントレベルのモンスターに

 あそこまでランダムエンカウントで遭遇してたら主人公補正を超えてます」

「何でだよ!?」

「日頃の行いじゃないですか?」


女神に言われた…こ、こっちに来てはまぁまぁまともに…ま、まとも…に?

あぁそうだ! まともだ! 極めてまとも! ちゃんと主人公っぽいことしてた!

商人助けたり盗賊団助けたり村を助けたりした! ちゃんと主人公!


「でも、あなたは結構幸運でもあるんですよ?

 先ほどの吸血鬼戦でもそうです。

 もし依頼人、イリアがVIPルームを選んでいなければ

 もし吸血鬼と地上で戦闘になっていたら。

 もし吸血鬼があなたを気に入っていなければ。

 どれか1つが上手く行ってなければあなたは敗北しています。

 もしVIPルームを選んでいなければ階が低いので

 あなたが吸血鬼を落下の力を利用して撃破出来たと言う事はありません。

 吸血鬼があなたを気に入っていなければ、あなたはあのまま地上に真っ逆さま

 1人で勝手に死んで、結局デットエンド。まぁ蘇生しますけど、私が」

「た、確かに不幸中の幸いはよく起こるな…なる程、これが主人公か」

「とは言え、あの場であんな機転を思いつくのは驚きでしたがね。

 まさかの飛び降りとは、勇気があると言うか無謀というか」

「無謀でいいよ、ほぼ賭けだったし」

「ま、そのせいであなたは間違いなく吸血鬼に目を付けられましたが」

「み、見付けた…!」


俺達が会話をしていると、病室の扉が破られて

そこに両手を完全に拘束されたままの吸血鬼が姿を見せた。


「ま、マジかよ!」

「ぜ、絶対に私の下僕にする!」


両手は確実に頑丈な鉄の鎖でがんじがらめ。

手は背中で拘束されているから力も入っていない様子。

力が入らないから鎖が引きちぎれていないだけで

力が入る状態だったらその鉄の鎖さえ破るのだろう。

足下に付きっぱなしの引きちぎられた鎖がそれを証明している。


「いやぁ、人気者は大変ですね」

「い、今はまだ怪我が完治して無くてだな!」

「好都合!」

「うわぁあ!」


飛びかかってきた吸血鬼は俺が寝転がっていたベットを粉砕する。

何とかベットから抜けて吸血鬼の攻撃を避けたが…何これ恐い!


「て、鉄の鎖じゃお前は拘束出来ないのかよ…」

「拘束出来ても、この格好の時だけ…忌々しい鎖め! 力さえ入れば!」


そ、その内金属が限界を迎えて壊れてしまいそうだ。

しかし、上手くやれば拘束されている手を前の方に出して

そのまま引きちぎれそうではあるが…


「今度こそ!」

「あっぶ!」

「ふりゃ!」

「あだ!」


あ、足噛まれた! 痛い痛い! 血が出るぅ!


「あぅ…ち、力が…」

「首元じゃないから上手く魅了できない」

「うぅ…ここまでか」

「やっと私の者に」


うぅ、く、首元から血を吸われた、俺はもう駄目だ。

すまないマリス……


「こ、この吸血鬼! お姉ちゃんから離れて!」

「痛い!」

「お姉ちゃん大丈夫!?」

「うぅ…」

「み、魅了が…あと少しで魅了できたのに…」


だ、大丈夫だったようだ。

はぁ、一安心…ひとまずマリスの顔を


「お姉ちゃん」

「か、可愛い!」

「え?」


マリスが今まで以上に可愛く見える!

今までも凄く可愛かったけど、今のマリスは今までよりも可愛い!


「うおぉおお! 我が妹よ! 何なりと命令してくれ!」

「え!? え!? え!?」

「ふ、不完全な魅了は最初に姿を見た相手を好きになる…一時的だけど」

「またへんてこな…とにかくやっと捕まえましたよ! 吸血鬼さん!」

「折角のチャンスが…」

「もう逃がしませんよ!」

「…いや、私は逃げる!」

「うわ! ぎ、ギルドの剣士さん! 吸血鬼を捕まえてください!」

「待って! 両腕が使えないってのに強すぎ!」

「今度は絶対に捕まえる…」

「逃がした! クソ! あの吸血鬼! あんなの捕え続ける事が出来るもんか!」

「マリスぅ!!」

「お、お姉ちゃん…え、えへ、えへへ」

「……で、こっちは大丈夫なのか?」

「大丈夫だと思いますよ…一時的だそうですし…」

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