表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/176

ギルドへ

さてとりあえず、妹との約束は果たさねばなるまい。

あっちも俺の要求を受けてくれたのに、こっちが受けないというのは

こんな自分が言うのはあれだが、かなり身勝手と言えよう。

俺自身が昨日かいつかに彼女と約束したと言う事は無いのだが

その後、今日、俺は確かに彼女の持ちかけに乗ったわけで

その地点で約束が成立したと言う事になる。

その約束は確かに俺が彼女とした約束だという訳で、

この約束は守らねばならない。

と言う訳で、俺は道を忘れたという事にして

我が可愛い妹に案内されながらギルドとやらに向うことにした。


「これでやっと皆に頼ってばかりの生活も終われるね、お姉ちゃん」

「いや、手伝ってくれるってんならそのままでも」

「駄目だよ! ちゃんと私達も頑張らないと!」


すぐに懇願してくるような奴だが、やはり根はしっかりとしているようだ。

普段は真面目にしっかりとした性格というのも悪くない。

そう、その性格が俺へ何かを頼むときは崩れるというのは実に素晴らしい!

ふっふっふ、この自分だけがこの姿を知ってるという風な感覚は良いな!

くく、これが姉の特権という奴か!


「あ、いらっしゃい、本当に来たのね2人とも」

「うん! アリスお姉さん!」


ほぅ、どうやらギルドの受付という人はこの人か。

何か豹っぽい耳だな、尻尾は見えないが耳が豹なら尻尾も豹なのだろう。

服装は豹柄で肩がでているからオフショルダーか、働く格好では無い気がするが

まぁこの際どうでも良い、正直働いたことが無いからわかんないしな。

髪の毛はまぁ、豹なのだし短いな、豹に毛が長いイメージは無い。

だがまぁ、豹のイメージとは違う部分はいくつかあるな。

まず髪留めが音符だというのは不思議に思う、そして何より不思議で

そして凄く魅力的なのはそう! たわわに実ったお胸!

くく、マリスには無い大人な魅力を感じるぜ。

とは言え、ぱっとみでは精々Cカップ程か、それでも大きいがな。


「正直、あなた達は大歓迎よ」


アリスとマリスが言っていた女の人がカウンターから出て来てこっちにやって来た。

そして、俺達の前に座り込み、視線を合わせ俺達の頭を撫でる。

その行動をマリスは嬉しそうに受入れているが、まぁ俺は無表情だ。

と言うか、眼下に広がるヘブンに目が行かないようにと言う努力で忙しい。

いやだってさ、視線を合わせると言う事は、今、俺の視線の下方向には

あのたわわに実ったお胸の谷間が見えているというわけだ。

俺個人としては勿論見たいのだが、はっきり言う、今、この至近距離で見てしまえば

俺は激しく興奮し、鼻から大量のパトスを噴きだしてしまう。

そんな醜態をこの場で晒すわけにはいかないのだ…だが、し、しかし!

視線が…駄目なのに! ゆっくりと! ゆっくりと下に向っている気がする!

こ、このままでは! 俺の! 俺のクールなイメージが崩壊してしまう!

いやまぁ、元々俺にクールなイメージなど無いのだが!

まだこの異世界の俺にはクールなイメージは残っているのだ!

あまり感情的な姿をまだ! マリスには見せていないのだから!

しかし! 煩悩が! 重すぎる煩悩が俺の首をゆっくりと下にぃ!


「それじゃあ、依頼を紹介しましょうか」

「は、はい!」


あ…あぁ…俺の楽園、拝むことも出来ずその楽園が去って行ってしまった。

く! 我慢しすぎた! 粘りすぎた! 素直になれなかった!

折角の至福の時間を自らの手で逃してしまったなんて!

正確には自らの頭でと言うのが正しいがぁ!


(心の中で本気で悔しがってますね)

(クソ…クソ…あと少しだったのに…あと少し視線をずらせば…ずらすことが出来ていれば!)

(きっと、すんごく大変な事態になってたでしょうし、見なくて正解だったと

 私は思いますがね)


確かにそれが正解だったのかも知れない、だが、今は道理よりも

欲望の方が大事なのだ…欲望こそ、人の全てだろうがぁ…


「まぁ、まずはこのバッチね、ギルドから依頼を受けるときは

 ちゃんとこのバッチを付けるのよ」

「分かりました」

「無くしちゃ駄目よ? 大事なバッチだからね」

「は、はい」

「それじゃ、えっとね、まずは簡単な所から行って欲しいのよ

 知っての通り、この世界のモンスターは危険だからね。

 特に女の子は色々な意味で危ないし」

「え、あぁ…そ、そうですね」


そう言えばこの世界はリョナ系のエロアクションRPGの世界だし

女の子が向うのは危ないというのは分かる…が、しかしだ。

大体のエロRPGやエロゲーに言えることなのだが…何故女に行かせるし。

女が失敗したら大変な事になって子供を生まされたりするのに

何故そんな危険なモンスター退治を女の子がしているのだろうか。

男も居るのだろうし、止めろよと思うのだが、そのツッコミは野暮だろう。

あくまで、ゲーム相手に対してだが、この世界の場合は文句を言いたい。

いやだって、俺自身が当事者なのだから、何かがあって危害を被るのは

ゲーム無いのプレイヤーの女の子などでは無く他でも無い自分自身なのだから。


「ずっと不思議だったんだけど、それなら何で女の子に向わせるの?」

「理由自体はいくつかあるのだけど、主な理由の方を言うわ。

 まず1つ、魔物を退治するには魔力量が多い方が良いから

 魔力量が多い女の子が魔物退治に赴く、そうすれば魔物の脅威度が下がるから。

 もうひとつは、捕まっても最悪が無いから救助出来る可能性があるためね。

 男の場合は魔物からしてみれば邪魔者以外の何物でも無いから

 すぐに殺しちゃんだけど、女の子の場合は色々と使い道があるから

 戦えなくなったとしても、すぐには殺されないからなの。

 その代わり、死ぬよりも悲惨なことになる場合もあるけど…」


妄想するだけでエロい気がするが、今はゾッとするな。


「その2つがかなり大きな理由になってるのよね。

 だから仕方ないと言えば仕方ないの。

 でも、今回の相手はそう言う相手では無いから大丈夫。

 小さいスライムを相手にして貰おうと思ってるの。

 近隣の森にスライムが出て来てね、数は聞いた話では5体。

 スライムは物理攻撃が効くスライムと効かないスライムが居るわ。

 色で区分け出来るんだけど、赤っぽいスライムが物理攻撃が効かなくて

 青くて半透明のスライムは物理攻撃が効くわ。

 だから、赤いスライムに警戒すれば問題無いわね」

「もし、赤いスライムに遭遇した場合はどうすれば?」

「そうだね、塩を掛けると弱くなるよ、その状態なら赤でも殴れるわ」


まぁ、スライムはイメージすると、殆ど水分だしな。

しかしながら、塩を掛けたところで水分が吸収されるだけだし

それだけで殴る事が出来るのは不自然だとは思う。

と言うかそもそも、何故液体であるスライムを殴れるし。

等と野暮な事は言わない方が良いのかも知れない。

この世界は女神が作ったエロRPGの世界をモチーフにした世界だそうだし

それならば、殆ど液体であるスライムを物理的に殴れたとしても

大して違和感も無いだろう、RPGでは当たり前の様に殴ってるんだから

そのゲームの世界設定に違和感を覚えても文句を述べないのがプレイヤーだ。

一応、俺もそのRPGをプレイしていたようだし、文句は言うまい。

現実に則した設定が必ずしも功をそうするわけでは無いのだ。

て言うか、この世界ではそれが現実的で当たり前な常識なのだし

郷に入っては郷に従え、この世界に乗り込んだ地点で、そのルールに乗っかる。

それが必要なことなのだと何となく思う。


(しかしだ、赤に塩というのは斬新な発想だな、女神様よ)

(その場のノリで考えたので、設定は結構滅茶苦茶ですとも)

(何? そんな不安定で適当な世界で俺は金稼がないと駄目なの?)

(まぁまぁ、正直金よりも自らの貞操を考えてくださいな)


まぁ、エロRPGの世界だし…やっぱり身の危険を感じるな。


「注意事項はスライムに呑み込まれないように気をつける事ね」

「呑み込まれたらどうなるんですか?」

「体内で服を溶かされて、大変な事になるわ

 特に赤いスライムに塩を掛けずに物理攻撃なんてしたら

 一瞬で呑み込まれて、そのまま抵抗できないまま酷い目に遭うわ。

 一度呑み込まれたら、外からの干渉でも無い限り脱出出来ないから

 2人以上での行動を推進しているのよ、だからマリスちゃんには

 お姉ちゃんを誘ってきてって言ったのよ」

「た、大変な事って!?」

「えっと…私の口から言うのは恥ずかしい気がするけど、そうね。

 下の方が滅茶苦茶熱くなって、溶かされる感覚に陥るわ」

「溶かされるんですか!?」

「いや、それとは違うけど…似た感じなのかしら」


うん、どうなるかは容易に想像が付くな…エロRPGの世界だし。

マジでやばい、貞操の危機を感じる…


(本当…何でこんな世界観にしたんですかねぇ)

(多分、深夜テンションだったのかなーと)

(その世界に俺を投げ込まないで欲しい…)

(罰ですよ罰、まぁ簡単に言えば呑み込まれなければ良いんですよ)

(難しいと思うがなぁ…)

(赤に警戒していれば問題無いと思いますが?)

(それは…そうかも知れないけど)


一応、格闘術が相当上だし…あくまでスキルでしか無いのだが。


「とにかく警戒してね、特に赤いの、あなた達の実力なら

 赤さえ警戒していれば問題無いと思うわ。

 セイナちゃんが呑み込まれなければ問題は無いと思う。

 セイナちゃんが呑み込まれたらかなり不味いと思うけど

 基本アタッカーがセイナちゃんになるだろうから

 マリスちゃんは周辺を警戒して、援護攻撃をすれば良いわ」

「は、はい!」

「え? 俺が1番危ない立場?」

「そりゃね、格闘(特大)持ちのあなたと

 格闘(小)で弓術(小)のマリスちゃんよ?

 勿論特大持ちのあなたが前線で戦って、支援をマリスちゃんがするって言うのが

 基本戦術だと思うわ、でも、さっきも言ったけど言わばあなたはライフライン。

 あなたが崩れれば間違いなくマリスちゃんも抵抗できずに崩れるでしょうから

 あなたは倒されないように、後ろのマリスちゃんに気を遣いながら戦いなさい」


えー、俺の仕事、超多いじゃん、目の前の敵を相手して

後方のマリスにも目を向けないといけないって、相当困難じゃん。


「ほら、あなたはお姉ちゃんなんだから、ちゃんと妹も守るのよ?」

「お姉ちゃんと言っても、先に出て来ただけでお姉ちゃんらしくないし

 真面目なマリスの方がどっちかというとお姉ちゃんっぽいと言いますか」

「文句を言わない、強い子が弱い子を守るのは当たり前でしょ?」

「はぁ…分かりました」

「分かればよろしい、あぁ、そうそう、マリスちゃんには弓矢を支給するわ」

「ありがとうございます!」

「俺には何かありますか?」

「えっと…そうね、メリケンサックとか?」

「あ、やっぱり良いです」


言いたいことは沢山あるのだけど、大人しく受入れるとしよう。

実際、そんなパラメーターなら俺が踏ん張らないとマリスがヤバい。

でもそうだな、襲われてるのを放置とかエロスを見られるかも!


(そんな事をすれば、私はあなたの動きを奪って周りのスライムに襲わせます)

(真面目にします)


うぅ、やはり女神様という抑止力は大きすぎるか!

とにかく何とか努力しよう…大丈夫か凄く不安だけど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ