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馬車での移動

中々に長い旅だ、えっと、地図の縮尺が1万分の1で

王都までの距離が地図上では50㎝だから

30×1万で50万でキロに直せば500㎞か…これで俺達の村が現状端。

えっと…逆方向はどれ位開拓されているのかは知らないが

結構…しかし、日本で例えることが出来る程の距離でしか無いのか。

世界の10%を取得しているというのに…意外と世界、狭いんじゃ無いの?

とか、そんなのんきなことを言ってる場合では無かった。

500Kmか、結構距離があるな、恐らくこの馬車の速度は

予想でしか無いけど時速20Km程だ、この速度で行くと

王都に到着するのは3日後になるだろう。

10時間は移動、残り14時間は休憩という形になるだろうからな。

睡眠の時間を最低でも6時間、残り8時間は馬の休憩や食事だ。

それにライトが無いから、夜間に移動するのは危険だからどうしても動けない時間が長くなる。

10時間移動というのも、早朝7時から19時までの移動で、その合間に2時間休みを挟む。

気温から考えて、今の季節は恐らく春先、19時まではまだ動けるはずだ。

で、この距離は所詮直接向えばの場合であり、回り道がいくつもあるし

それらを考慮し、少し余裕を持って考えると7日ほどかな。

さて当然だが、ここで問題も生じる。

それは護衛の人数があまりにも少ないと言う事だ。

夜間警備が本当に辛い事になるだろう。

レベッカは馬を操るから、夜間の警備には参加出来ない。

となると、夜間警備が出来るのは、俺とマリスのどちらかだけになる。

依頼人であるイリアさんに警備をして貰うというのは絶対に無いしな。

2人で交代交代警備をすると言うのが1番だろう。

まず19時で行動停止、19時から深夜1時の6時間どちらかが警備。

そして、深夜1時から6時までの5時間どちらかが警備をする。

19時から深夜1時までの間だ、もう片方は眠り

深夜1時に起きて6時まで警備、朝食を食べた後

もう片方は移動中の馬車で睡眠、起床後19時から警備という形になるかな。

シフトが苛烈すぎて、どっちかがぶっ倒れそうだが仕方あるまい。


「とりあえず、今後の予定を伝える」


俺は先ほど考えた内容を全て2人に告げた。

レベッカは私も夜間警備をと言うが、それは却下した、当然だ。


「ま、これはあくまで近くに村が無ければの場合だからな。

 近場に村があれば予定変更はあり得るぞ。

 近場に村があった時に時間が14時を超えていれば村で休むから足を止める。

 時間が長くなりそうではあるが、やっぱり安全第一、体調を崩すと不味いからな。

 19時を超えたとき、近くに村があれば少し長く進んで村で休む。

 臨機応変に対応だ、ただ村が無い場合はこの予定で行く方が良いだろう」

「分かりました」

「ほぅほぅ、レベッカちゃんは指示される側なのね、私はてっきり

 あなたがリーダーだと思ったんだけど、なる程、セイナちゃんがリーダーね」

「どうでしょうか、場合によって指示を出す人は変りますので」

「で、そのシフト、私が入ってないんだけど?」

「当然ですよ! 依頼人であるイリアさんに夜間警備を任せるわけにはいきません!

 依頼人であるあなたは、ゆっくり休んでいてください」

「でも私、これでも旅慣れてるのよ?」


それは分かる、人間の歩行速度は時速5Kmほどと聞いたことがある。

この人はその速度でこの距離を移動して居たというわけだからな、護衛も無しで。

5Kmで10時間ずっと歩くわけにも行かないだろうから

移動に掛る時間は馬車の6倍以上の時間になるだろう。

想定で移動に掛る時間は7日と予想したが、歩いての場合はこの6倍。

実際はもっと時間が掛るだろうが、ここは6倍で考えるとして

42日、往復で3ヶ月近い時間が掛ると言う事だ。

それに、この6倍という数字も相当適当に見繕った数字。

実際はこの数字よりも確実に多く、10倍というのも十二分にあり得る。

10倍ならば70日、往復で140日だ、半年近くも掛る。

その長い間を今まで何度も往復してきたというなら、旅慣れているのは当たり前だ。

当然、今日村を出たばかりの俺達よりも経験が断然違うだろう。

しかもその距離を1人で過ごしたわけだから、旅の経験は圧倒的だろう。

それは分かるが、やはり依頼人を働かせるわけにはいかないからな。


「旅慣れているのは分かってますが、

 それでも依頼人であるあなたを働かせてしまう訳にはいきません」

「もぅ! 献身的で可愛い!」

「ふぎゅ!」

「可愛いわぁ! ご褒美にもふもふしてあげる!」

「にゃふぁ! し、尻尾は駄目ですぅぅ!」

「あら、尻尾弱いのね、じゃ、耳」

「はにゃぁああ!」

「あら、耳の方が弱いのね、そんな可愛らしい悲鳴上げちゃって!」

「う、うぅ…」

「じゃ、こっちの耳と尻尾も堪能しましょうか」

「え!? あ、あの!」

「ふふふ、怖がることは無いわ、痛くしないから!」

「い、いや!」

「あ、ま、待った、ま、マリスは」

「あら、やっぱりお姉ちゃんね、妹ちゃんを庇うなんて。

 でも分かってるの? それはつまり、あなたが妹ちゃんの代わりに

 私にもふもふされると言う事なのよ!」

「ま、マリスには手を出させませんよ! 姉として!」

「ふふふ、良いわねその度胸! 骨抜きにしてあげる」

「あ、ちょっとま!」

「もう遅いわ!」

「あ、あふぁぁあああ!」





……う、うぅ…う…さ、3時間以上もふられた…か、身体に力が…入らね…ぇ


「やり過ぎたかしら」

「お、お姉ちゃん! だ、大丈夫!?」

「だ、大丈夫…ちょっと身体に力が入らないだけだから」

「それって割と重体じゃ…」

「いやぁ、しかし良いわね尻尾、もふもふで可愛らしいわ」

「で、出来るだけ尻尾はも、もふらないでください…こ、今後に支障が…」

「それもそうね、2人しか夜間警備が出来ない場面で片方が動けないでは

 相当危ないし…やりすぎたわ、ごめんなさいね」

「は、はぃ、ご理解、か、感謝しましゅ…」


あぁ、耳を弄られなかったのが不幸中の幸いか。

3時間、ずっと尻尾ばかりもふもふしてたからな…あれに耳が加わったら

俺は今よりもっと大変な事になっていただろう。


「そ、それにしてもイリアさん、い、イリアさんは何故今まで1人で旅を?

 お金が沢山あるみたいですし、護衛を付けて旅をした方が安全では?」

「あぁ、商売はそもそも趣味でね、街道を散歩して色々な人と出会うのが好きなのよ。

 今まで何度か長旅はしてたけど、モンスターに襲われることは無かったから。

 でも今回、初めてモンスターに襲われて、あわや命の危機だったからね。

 流石にこれからは護衛を付けて…と思ってはいるんだけど。

 正直ね、最初の方は護衛を付けてたのよ」

「そうなんですか?」

「えぇ、でもね、退屈で窮屈なの! 皆私のお金目当てだし!

 1度護衛に脅されたのよ!? 人の方が恐いわ全く!」

「お、脅されたんですか!?」

「えぇ、でもその時は颯爽と駆けつけてくれた、耳の生えたイケメンに助けて貰ったの!

 あの時、助けて貰った場所もあなた達に助けて貰った付近でね。

 格好良かったわ! 私、すぐに告白しようと思ったんだけど!

 どうも、世帯持ちだったみたいで、奥さんが来て諦めたのよね」

「そうなんですか」

「どんな耳だったんです?」

「えぇ、セイナちゃんみたいに垂れた耳だったわ、格好良かったわー、あの人。

 また会えないかなと思いながら、今回もあの場所に行ったんだけど

 出会ったのは耳が生えては居たけど、毛むくじゃらの野獣って、最悪よ!

 でも、今度は同じく垂れた耳の可愛い女の子が助けてくれて運命感じるわ!」

「それはありがとうございます」

「だから、私の養子になって?」

「無理です」

「うぅ、分かってたけどね、やっぱり実のご両親の方が大事に決ってるもんね」


……実のご両親は居ません、等とこの場で言えるはずも無かった。

楽しそうな話をしている中で、この空気を凍らせるわけにはいかないからな。


「所で、あなた達はダート村出身じゃ無いわよね?

 あの奥に街道が出来てたけど、そっちの人?」

「はい、そうです」

「あの先に村があったのね、と言う事はあの格好いい人もその村に居るのかしら。

 あの時、街道が無い森の中から出て来たから追いかけられなかったんだけど

 今は街道が出来ている、と言うなら、今度また行きたいわ、もしかしたら

 あのイケメンにもう一度会えるかも…ま、別に下心は無いんだけどね。

 ただ単純にあの時の礼が言いたいだけだけど、その時の私はまだ13歳でね。

 初めての旅で運命の人に出会えたという気分だったのよ。

 19歳になった今でも忘れられないほどに素敵だったし。

 でもまぁ、奥さんの方も美人さんだったし、仕方なかったのだけどね」


美人の妻にイケメンの夫、まさかの美形夫婦とは、あの村にいたっけ?

いやまぁ、あの村にいる住民は全員美形だし、その誰かだろうか。

殆どが世帯持ちだから、妻が居るというのも自然だしな。


「なる程、しかし護衛を付けていない理由は分かりました。

 確かに初めての旅で護衛に裏切られては護衛は欲しくありませんね。

 でも、それなら何故旅を続けているんですか?」

「そうね、お客様の笑顔のためかしら、嬉しいのよ。

 お客様に商品を売ったときの、あの嬉しそうな表情!

 ありがとうという言葉も好きよ、だから商人は止められない!

 特に開拓されたばかりの村にはあまり食料が行き渡ってないからね。

 だから、私が食料や雑貨を運んで、お客様達を笑顔にするのよ」

「食料を? よく腐りませんね」

「大丈夫なのよ、この魔法の鞄があれば何でも入るの!」

「そんな鞄が!?」

「ただ凄く高くてね、1つ1000万ゴールドもするのよ」

「い、1000万!?」


ば、馬鹿な!? 1000万というと、円に直せば10億!

そんな大金があれば! 俺の借金も全部…ぜ、全部…

あ、あぁ…10分の1だな…く! こう言う巨額の物を知れば知るほど!

俺の借金がどれ程強大かしみじみ伝わってくる…返済できるのかよこれ!

ま、まぁ待て、1年で1億稼げば100年で…無理だな。

1年で10億稼げば10年で…だぁちくしょう! 巨額すぎるはぼけぇ!


「あら、マリスちゃんの方はまた卒倒したのね、よく気絶する子ね」

「び、貧乏な家庭でして、そう言う巨額のお金を聞くだけで驚きすぎて気絶するんです」

「あらそうなの? まぁ、1000万は流石の私でも躊躇ったほどだしね」

「た、躊躇うだけだったんですね…」

「でもま、これでお客様達の笑顔を見れるというなら安い物だけどね」


こ、これが裕福層の余裕! まさか、その巨額の富よりも!

貧乏人達の笑顔の方が高額と言う事か!

ま、眩しい! 眩しすぎて目が溶けそうだ!

後光が差してるように見える! 神々しいオーラを感じる!

聖人過ぎて、浄化されてしまいそうだ!


「うぅ、俺はなんてちっぽけな人間なんだ…」

「ど、どうしたの?」

「あ、あはは、良いんです、き、気にしないでください、好きにしてください」


あぁ、もうなんかお金に目が眩みまくってる自分が恥ずかしい…

ソジャゲなんかに課金してすみません、自分の為だけにお金を使ってすみません。

もう2度とソジャゲなんかに課金しません、奢ったりします……

いやでも、やっぱりソジャゲに色々と投下しないと、新キャラが


「そう、じゃあ、それ!」

「はひゃ!」


また、また尻尾がぁああ! どれだけ尻尾が好きなんだよこの人ぉお!


「へへ、好きにしてくださいと言ったのが悪いのよ、ほれほれ、耳も弄っちゃうぞ~」

「あ、や、やめ、にゃふぁぁあ!」


…でも、やっぱり欲望に忠実な人なんだなと、聖人でも欲に埋もれるのだし

凡人である俺が欲に眩むのは極めて自然な事なんだと認識できた。

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