ルール説明
「いやまぁ、名前は今は良いんだ、大事ではあるけどさ。
問題は何でわざわざ性別を変えたのかとか、そう言う。
と言うか、どう言う法則性でこの姿にされたんだよ、意味分からん。
いや、そもそも今現在、全ての状況が理解不能なわけで」
分からない事しか無い、何でここにいるんだとか。
ここは何処だとか、そもそも自分は何なのかとか。
いや、自分の正体その物は分かるんだけど、外見が分からない。
それなりにファンタジー小説を読んでるから、この世界がそう言う世界だとすれば
俺は容姿的に人間では無い何かなんだろうけどさ。
ワーウルフとか、ウェアウルフとか、ヒューマンドックとか、獣人とかそんな感じだろ?
それと、この村と思われる場所がどんな村かも重要になってくる。
同じ種族が住んでる村だというなら、きっと可愛い子が沢山居るのだろう!
後、大事なのはこっちの世界に来て、いきなり家を与えられていると言う事は
きっと俺はこの世界のこの村の一員だという設定なのだろう。
だとすると、両親とかどうなんだ? こんな小っちゃい子供を放置して
真っ昼間から遊びほうけていると言う事なのだろうか。
それとも両親は既に死んでる設定なのだろうか。
どっちかでこの村の住民だという場合、住民の対処も違う気がする。
いやまぁ、どっちだとしても村人達は俺を哀れむのかも知れないけど。
と言うか、こっちの両親が遊びほうけている場合、借金がある設定なのか?
それとも借金は無い? 備蓄はあるんだろうか、無いならヤバい気がする。
「えっとですね、この世界は異世界だというのはもう受入れましたか?」
「出来れば受入れたくないけど、こんな姿を見た以上、受入れるしか無い。
と言うか、こんな姿で異世界じゃなかったら、俺はまともに暮らせないし」
「意外と冷静ですね、性格クズでも、頭は良いんですね、頭の良いクズとはまた」
「ちょっと待ってくれ女神様、何か辛辣すぎない? 何でそんなに辛辣なのさ。
いきなり訳の分からない世界に飛ばして、いきなり金を稼げ的な事を言ってきて
更に辛らつな言葉とか、三重苦だろ」
「あなたは三重苦の苦しさを知らないでしょう? 三重苦と比べれば
あなたのこの境遇とか超幸せに決まってるじゃ無いですか。
と言うか、あなたはそんな事を言える立場じゃありません、死にますか?」
「酷くないですか!? いやうん、確かに三重苦と比べたのは俺が悪かったけど」
考えてみれば、三重苦の方がかなり辛いからな。
「では、話を戻しましょう、この世界は異世界です。
この世界の通貨は日本の円とは違い、異世界での通貨としてよく使われる
ゴールドが適応されています、当然共通ですよ。
この世界の1ゴールドは日本の円に換算すると100円ほどが無難かと」
「いや、それは良いけど」
「で、あなたの借金はそうですね、諸々を含めると100億です」
「そんなにないと思います!」
「諸々です、今まで無駄にしてきた時間分も含めるとこれ位です。
後、私が被った損失、ご両親が被った損失などを含めて…
いや、そこまで含めるともっとありますね、1兆は超えますかね」
「超えないだろ!」
「まぁ、今回は私が被ったと思う損失と、あなたが無駄にしたと思われる時間分と
あなたが元の世界であった借金を含めてこの値段です」
「俺の借金…1000万も行ってないよ…3桁ギリギリ行ってるか行ってないかくらいで」
「奨学金も含めると3桁はぶっちぎってますよ、と言う訳で、そこも含めてます」
だが、考えてみるとこの自称女神が本当の女神だったとして
その女神が被ったと思う苦労が100億程度だとすれば、案外この女神大した事無いのか?
「一応言っておきますが、私はこれでも世界を1つ作れるほどの神です」
「マジで!? じゃあ、この世界も!?」
「私が過去に作った世界を利用しているだけなので、世界創造の手間はありません。
後、驚くところはそこでは無く、心を読まれたところなのでは無いでしょうか」
「いやその、どっちも強烈だったので正直どっちに驚いても不思議ないと思います。
後、今回は俺の反応が正しいと思います」
「そうかも知れませんね」
信じては無いけどな、と言う心の声ももしかしたら聞えているのかも知れない。
「それと、あなたはこの村ではかなり愛されてる設定となっています。
ご両親は既に他界、今まであなたという人物が生きてきたのは
この世界の住民達が影ながら支援していたという事です」
「もしかして、この村ってお前が作ったの? 俺の借金返済のために?」
「いえ、元々あった村にあなたの家を用意して、ちょっと住民の記憶を弄っただけです。
とは言え、私が出来るのはこれ位で、それ以上の介入は出来ません。
なので、あなたが死んでも私はどうしようも無いと言うのがあります。
と言っても、お金の力があれば復活出来るようにしてあります」
「なんだよそれ」
「この世界のルールその物は、私がゲームをモチーフにして作ったので
そこら辺は少々ゲームよりなんですよ、まぁ、死んだり大怪我をした時の
精神的ダメージは残りますので、あまり死なないことをお勧めします。
蘇生魔法もありますよ、この世界は魔法の世界でもありますんで、問題無いかなーと」
「魔法って」
「死亡から1分以内なら蘇れますよ。
因みに言うと、ここの家具全てが魔力で稼働しているので電気はありません」
なる程、だから配線とか全く無かったのか、これが異世界か、便利だなぁ。
いや待て、そもそもそんなに冷静に何かしらを考えてる場合なのか!?
さらっとあの女神、死ぬかも知れないって言った気がする!
「で、あなたが何故獣人、この世界ではワーウルフなのかですが」
「犬ですが」
「ワーウルフです、獣人はワーウルフと区分けしてます」
「犬ですが、ワードックですが」
「ワーウルフ! 種族だとかそう言うのにチャチャを入れない!」
「は、はい…」
なんでワーウルフはあるのにワードックは無いんだ…
「えー、実は最初の能力で種族を変える予定でした。
幼子にしたのはあなたの言葉があったからですがね」
「はぁ…」
「剣術を選んだ場合は人間の剣士としてあなたは生を受けていました。
魅了を選んだ場合はサキュバスとして生を受ける予定でした」
「……剣術を選べば良かった」
そうすれば、人間として戦えたしここまで動揺は無かったかもな。
「まぁまぁ、私としては格闘術が1番正しいと思いますよ。
冷静に考えてください、剣士は剣が無ければ無力。
私はあなたを容姿端麗の女の子として生を与えるつもりだったのです。
寝込みを襲われたら、大変な事になってますとも」
「女神様女神様、あなたは俺に何を求めているんですか?
そもそも、何をイメージしてこの世界を作ったし」
「エロRPGです」
「ふざけた物語に俺を混ぜるな! 何だよエロRPGって! アホか!
せめて純正派の、ドラゴンなんたら的なRPGをイメージした世界に俺を送れ!」
何でエロRPGの世界観に飛ばされなきゃならないんだよ!
確かにエロRPGは好きだ! 男なら好きであって当然なのだ!
しかしながら! その世界に自分が「女」として飛ばされるというのは
非常に迷惑を通り越して、危険しか感じない!
「いやだって、それだとあなたを女にする意味ありませんし」
「何を狙ってこの世界に俺を送った!」
「エロイベントです」
「いい加減にしろ!」
何だよ! 女神のくせに発想がおっさんじゃねぇかよぉ!
世界を巻き込むレベルのエロ親父とか迷惑極まりねぇよ!
「いやでも、TS系のエロってありますし、ありかなーって」
「お前は何の女神だ! 性の女神か!?」
「どっちかというと、守護女神でしょうか、1つの家系を守る為の守護女神」
「なら守れよ! 色々と大変な事にしようとするな!」
「いやほら、あなたの家系って子供があなたしか居ないじゃないですか。
なので、あなたが子を残さないと駄目なので、この世界で子供を作れ」
「生む側はいやだ! 生ませる側が良い!」
絶対にいやだね! 俺は男として可愛い美少女ハーレムを作って一生を終える!
決して生む側に回るわけにはいかないんだよ!
「と言うのは冗談ですけどね、単純に性別を女にさせたのは罰だけです
そもそも、女の子として子供を異世界に生まれたら、私の立つ瀬もありませんし
元も子も無いと言いますか、それに、もしそれが狙いなら、あなたを男のまま送るか
もしくはフタナリにしますよ、してないと言うことはただの罰です」
「例えがおかしい、お前はエロ神かよ」
「生命の誕生というのは、神としては非常に重要なことなのですよ
まぁハッキリと否定しますけど、そう言う目的ではありません」
はぁ、本当に安心した…勘弁して欲しいぜ。
「そうか、本当ゾッとしたよ、なんでエロRPGを冗談で出したし。
本気でゾッとしたんだからな」
「あ、それは本当です」
「そこは嘘であって欲しかった!」
なんだよそれ、どうなってるんだよこれ!
これは生命の危機と同時に貞操の危機まで感じるよ!
「因みに、グロありのリョナ系エロアクションRPGです」
「女神様女神様! ただでさえヤバい空間なのに、更に酷い事になってますけど!」
「そもそも、身体を売るという選択肢もあって、なおかつRPGとかの
ゲームの世界をモチーフにしたとなると、やっぱりエロRPGしか無いでしょ?」
「そんな真顔で言われましてもね! てか、なんでそんな世界に俺を送った!」
「罰です罰、異世界でお金を稼ぐだけじゃ、危機とか感じないでしょ?
でも安心してください、あなたは自分の意思で行動します。
プレイヤーの意思で行動させられる訳ではないので問題ありません。
あなたがエロい目に遭いたくないなーと思うなら、何かあったら離脱魔法ですよ」
「そんなのあるの?」
「はい、有料ですが」
「やっぱり金取るのか…」
「そう言う目的の為にこの世界に飛ばしましたからね。
とは言え、初回のお金を払って頂ければ、後は使い放題です」
「マジか」
ならまずは、その離脱魔法とやらを買うしか無いのか。
「まぁ、エロい目に遭って、精神崩壊しそうになったら自動転移で
借金上乗せになるので、死にはしませんし、それで終わるわけではありませんが」
「エロい目に遭う前に助けて欲しいんですけど?」
「いやほら、やっぱり負けた場合の罰は必要でしょう?」
「罰が重すぎる! しかも記憶が残るなら精神崩壊したままだろが!」
「精神崩壊しそうになったらなので問題ありません、まぁ、1番の解決方法は
負けないこと、何ですがね、そもそも最初は負ける要素ありませんし」
「そうなのか?」
「えぇ、あなたが最初に選んだのは格闘術(特大)ですよ?
ワーウルフの中でも最高品質の特技なのですから。
基本ワーウルフは格闘術の初期スキルを持っては居ますが
あなたほどの年齢だと、まだまだ小レベルなのですよ。
それがもうすでに特大なのですから、負ける要素はありません。
それに、お金を稼ぎ私に渡すことで色々な能力を得る事が出来るのですから
わざと負けようとしない限り負ける事は絶対にあり得ないでしょう。
ですが怪我はします、それは断言します。
だって、特大は確かに最上級ではありますが、ルールを無視した能力では無い。
言ってしまえば、確かにチート級ではありますが、チートでは無いのです。
複数体を相手にすると苦戦するでしょうし、格上のモンスターなどには遅れをとります」
「異世界ファンタジーとか、大体チートだけど」
「まぁ、あなたの境遇は十分チートなので安心してください」
そうは言っても、突出してないならあまり強くないのでは?
だが、この女神がそう言うならそうなのだろうか。
この世界の創造主が言ってるんだし。
「ほら、冷静に考えてください、お金さえ払えばあなたはいくらでも成長出来ます。
言うなれば、あなたにとってチート的存在は私であり
あなたのチート能力は無限に近い成長性と言う事になると思いませんか?
稼げば稼ぐほど、普通では手に入らない能力を格安で手に入り
普通では手に入らない最高品質の装備を私から買うことも出来る。
これがチートで無いと言うなら、何だというのですか」
「た、確かに」
値段は聞いてないけど、さっきまでの会話から考えてみると
かなり安いみたいだし…十分チートなのかも知れない。
「まぁそれでも怪我はするでしょうがね、ほら、一応リョナ系エロRPGの世界ですし
主人公が怪我1つせずにだと興が冷めると言いますか」
「それ、自分が敵になるぞって言ってね?」
「大丈夫です、私は変な事はしませんよ、完全サポートです。
でも、戦いに参加したりはしません。
あなたの周りを某時の勇者に付き従う妖精が如く飛び回りヒントを与えるだけです」
創造主様からのヒントってだけで、結構信頼できるなぁ。
「あ、そろそろ人が来るかも知れませんね、一応口調などは今のままで問題ありません。
あなたの口調、性格がそんな感じだと言う事は既に住民に知れ渡ってるので」
「そうか、それはありがたいな」
「ではでは」
女神が姿を消した後、扉のドアがノックされた。