初体験
お、おぉ、親子丼を食べて…そ、その…何か、色々あって。
え? 何でこんな状況になってるのか分からないではあるのだが
……何故か俺は、可愛い妹と一緒にお風呂に入る事になった。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「いや! 何でも無い!」
「ん?」
お、俺はほら、何だかんだでこの姿になったわけだが
そもそも、この姿になってしまった理由というのは
俺自身がそこそこのロリコンだったからと言うのが理由だ!
女神の前であんな事を口走って、その結果こんな事になった!
つまりだよ、俺はケモナーでなおかつロリコンなのだ!
そ、その俺がだよ? その俺が、可愛い獣耳幼女である
可愛い妹のマリスと一緒にお風呂に入っている!
「お姉ちゃん、頭洗うよ?」
「お、おぉ、おう!」
「ぞれじゃあ、お湯掛けるね」
「ひゃい!」
マリスに耳を押さえられ、頭からお湯を掛けられた。
耳を押さえられたのは…そう、俺も同じだからだ。
俺も同じ獣耳幼女! しかも、妹と同じく超絶可愛い!
そんな俺の姿が、目の前の鏡には映っている!
その可愛らしい幼女は、顔を真っ赤にして、少し震えながら座っていた。
その格好、その表情の全ては紛れもなく俺自身の表情であり
こんな風に内心、非常に興奮してはいるの物
何だかこう、異常な程の背徳感や罪悪感を感じながら
この状況を理解しきれていなくて、完全に動揺している。
「よいしょ、よいしょ」
「うぅ…」
「あ、い、痛かった?」
「だ、大丈夫だ!」
「お姉ちゃん、お風呂に入る度にそんな感じだよね。
お風呂って苦手なの? お水が駄目とか、そんな感じ?」
「い、いや、そんな事は無いんだけどな!」
「じゃあ、私とはいるのが恥ずかしいの?」
「は、はは、ま、まぁな、お前も恥ずかしいんじゃ無いか?
ほら、お姉ちゃんと一緒にお風呂に入るって!」
「私はそうでも無いよ、むしろ、私は嬉しいかな…あ、意外って感じかも?
うん…普段の私なら…絶対にこんな事言わないもんね…お姉ちゃんとお風呂に入っても
お姉ちゃんと入るのは、あまり好きじゃ無いって…言ってたかもね。
あはは、自分から一緒に入りに行ってるのに、馬鹿だよね。
でも、今は正直な気持ちになれるの…お姉ちゃんとお風呂には入れて…嬉しい」
マリスが俺の後頭部に抱きついてきた!
く! こんな邪な気分になるような、そんな状況では無い事くらい分かってる!
いやだって、今マリスがスゲーいい事言ってるもん!
普段はツンデレ妹が、素直になった状況みたいな感じで!
とは言え! 俺自身がマリスと一緒に風呂に入ったのがこれが初めてだが!
く! なんて事だ、このイベントが発生する前に風呂に入っていれば!
普段のツンデレトークを聞けていたかも知れないのに!
そうすれば、余計に嬉しい気分になってたかもしれないのに!
だが、だがしかし! 今! この状況でも十分過ぎるくらい嬉しいがな!
妹の小さなまな板に近いけど、少しだけあると感じる様な
ささやかな物が! 俺の後頭部に当っているというのだから!
しかしながら! こ、この状況はどう考えても興奮する場面では無い!
お、落ち着け、落ち着くんだ俺よ! 興奮するな、平常心…とか無理だ!
「お、俺も嬉しいぞ!」
「本当? ありがとう…私ね、本当はお姉ちゃんの事、大好きなの。
何度もお姉ちゃんなんて嫌いだよ、って言ってた気がするけど。
本当は大好きなの…お姉ちゃんが無事で…本当に良かった…」
うぐぉおぉお! 言われた事無い! 言われた記憶が無い!
なんて事だぁ! ツンデレ妹のツンの部分を1度も経験すること無く!
初っ端からデレの部分を経験してしまうとは!
く! ツンデレはツンの後にデレが来るからこそ!
最高にテンションが上がる萌え属性だというのに!
デレだけを経験するはめになろうとは!
ツンしか無いツンデレは何度か見たことはあるのだけど!
デレだけのツンデレって何だよ! 初体験だよ! 初見だよ!
(ふふ、この生殺しもまた1つの罰ですね)
(き、貴様ぁあ!)
(ふふふ、感謝こそされど、恨まれる筋合いは無いのですがねぇ。
そもそも、あなたみたいな男が、実際にツンデレに出会える筈も無かった。
そこを私が介入し、デレしか無いとは言え、ツンデレに出会わせてあげ
なおかつ! 更には好感度も最高レベルのツンデレですよ?
はは、間違いなく、あなたは実生活では、ツンデレ所か
女縁すら無く、ひたすらに堕落をしていったはずの身。
それを、私が拾い上げ、更にはツンデレ妹という最高の相手に遭遇させた。
あなたは私に感謝するべきなのですよ、女縁の無いクズ男の晴夜さん?)
(く! くっそ! 悔しい! でもありがとうございます!)
くぅ! なんて屈辱的、だが実際! このような場面に遭遇できたのは
女神のお陰! ツンデレのデレの部分しか経験させないという
生殺しに近い感じだが、それでも可愛いから許す!
デレしかないツンデレだろうと! 可愛いから許す!
可愛いこそ正義なのだ! ジャスティス!
「あ、お姉ちゃん」
「な、何だ!?」
「み、耳、洗うけど…大丈夫?」
「ん? 何でそんな了解が? 大丈夫だぞ」
「じゃあ、洗うね」
「ん」
「えい」
「はぅ!」
なぁ! か、体中に電流が走ったような、そんな感覚が!
(ワーウルフに取って、耳と尻尾は第2の性感帯です)
(き、貴様ぁ! 何故それを早くいわな)
「はひ!」
「が、我慢してね」
「にゃふ!」
「よいしょ、よいしょ」
「あふ、ま、待ってくれマリス! 無理! やっぱ無理!」
「あ、ごめんね、お姉ちゃん」
「はぁ…ふぅ…」
な、なんて事だ…今までこんな快感を経験したことが無い!
く、不味いぞ…この身体、凄く不便だ! なんて事だ。
ただ耳を洗って貰っているだけなのに…!
(ふふん、どうです? 初めての体験は)
(な、何でこんな設定にしたんだ! 不便極まりないだろうが!)
(いやですね、獣娘って、大体耳と尻尾がそんな感じでしょう?
敏感なのですよ、普通は超痛い、位なのかも知れませんけど
まぁほら、この世界、何度も言ってますけどそっち系の世界なので)
(お…おのれ…何故耳を触られただけで、こんなにも…)
(ほら、よく言うでしょ? 女の快楽は男の100倍もあるって)
(く! それでもこれはいくら何でも!)
(後、女の子は好きな相手の前だとより感じるのだとか)
(それは俺には関係ない話しになりそうだな)
(いやいや、確かに男を好くことは出来ないかも知れませんが
相手が女の子でしょう? その相手とイチャイチャするならば)
(ねーよ! 多分な!)
そこは自信を持てないというね、まぁ、仕方ないよね。
「うーん、やっぱりお姉ちゃん、耳が弱いんだね」
「ま、まぁ…と言うか、お前も弱いだろ」
「あはは、その通りなんだけどね、やっぱり双子だね
弱い所とか、全部似ちゃうもんね、私、くすぐられるのも駄目だし
お姉ちゃんもだよね? 後、尻尾も弱いよね、お互いに」
「そうだな…やっぱり双子だし仕方ないんだろう、性格は違うけど」
「お姉ちゃんみたいな性格の私って、想像出来ないなぁ」
「俺もお前みたいな性格の自分は想像出来ないよ」
「あはは、それはそうかな、それじゃあ、流すね」
「ん、お願い」
また耳を押さえられて、頭からお湯を掛けてもらった。
この押さえられるときは、あまりって感じなんだけどなぁ。
ちょっと押される程度なら、別に何も感じないのか。
「ふぅ、それじゃあ、今度は俺が洗おうか」
「うん!」
マリスと場所を交代して、今度は俺がマリスの背後に立つ。
表情は前の鏡で見ることは出来るのだが
正直、表情を見る必要も無く、彼女が喜んでいるのは分かった。
激しく動いてる尻尾にピョコピョコと落ち着きの無い耳。
くくく、やはり感情が出るんだな…
「それじゃあ、掛けるぞ」
「うん! お願いします!」
マリスが俺にしてくれたように、マリスの両耳を押さえた。
やはり犬の耳、柔らかく、指先で軽く押すだけで倒れた。
その状態でお湯を掛ける。
「っぷは」
シャンプーを泡立て、頭を洗い始めた。
マリスの毛はサラサラと指通りが良く、よく手入れされているのが分かる。
俺の髪の毛はどうなんだろうか、とか思ったが
このマリスが妹なんだ、多分、俺の髪の毛だってサラサラだろう。
きっと、世話焼きな妹が暇があれば手入れをしてくれているのだろう。
所詮予想でしか無く、そんな事をして貰った記憶は無いがな。
「やっぱりお姉ちゃん、上手だね」
「そ、そうか?」
しかし、俺は誰かにシャンプーをした事など無いから
当然、他人の頭をどうやって洗えばいいかなんて分からない。
だが、どうやら上手く行ってるようで、安心した。
しかしだ、ここで俺の悪戯心に火が付いてしまった。
そう、可愛い妹のピョコピョコと動く可愛らしい耳を見て。
「……ふふん」
「あふ!」
「ほれほれ」
「にぇ、にぇえちゃん! や、やめ! はひ!」
「ほらほら」
「あ、や、はぅ! ま、待って! こ、心の準備が! あひぃ!」
「ついでに尻尾も洗ってやんよ」
「や、やめ! あ、あぁああ!」
…何だか罪悪感が…いや! 俺はただ耳と尻尾を洗ってるだけだ!
罪悪感を感じる筈も、背徳感を感じる必要も無い!
「えっと…だいじょう」
「お姉ちゃん…」
「…ご、ごめん」
「許さないよ! お姉ちゃんも同じ目に遭わせてやる!」
「待った! それは!」
「お姉ちゃんが悪いんだからぁ! もっと酷い目に遭わせてあげるもん!」
「待て! 話せばわか、あひゃぁあああ!」
その日、俺が得た教訓は…下手な事はするべきでは無いと言うことだった。
少なくとも、先に仕掛けると言うのは非常に危険だと…そう、理解した。
「う…うぅ…」
「ふぅ! ふぅ! どうだ!」
(晴夜さん、痙攣してますよ?)
「反省した!? お姉ちゃん!」
「は、反省…し、しみゃした…」
あぁ、我が妹、怒ったら恐いと言う事が…良く分かったぜ。




