ナビゲートフェアリー
目が覚めると見知らぬ天井が見えた。
「おめでとうございます公爵様!天使のような女の子でございます!」
僕は見知らぬメイド服の女の人に抱きかかえられている。
公爵様?貴族転生ですか?って、今、女の子て言いました?キター悪役令嬢ものですか?神様なにしてくれてんですか?
「公爵様、お嬢様の左腕に腕輪のようなものが・・・」
それ無限収納ブレスレットですね、生まれたての赤ちゃんがしてたらおかしいよね!
「きゃー」
メイドさんが叫びながら僕を投げ落とした。
「せっ、背中から触手が・・・」
どうも背中から触手が4本うねうねしてるみたい。
公爵が渋い顔をしながら呟いた。
「悪魔付きだ、殺せ。メイプル公爵家の恥だ」
え~異世界転生、即終了。そっか~淫獣ですもんね、触手ありますわ。パパ、淫獣ですよ~悪魔付きじゃないですよ~。僕の心の声は届きませんでした。
僕は若い衛兵さんに抱かれ橋の上へ。衛兵さん、高いし流れ速いすわ~
「ごめんな、運が良ければ助かるよ、女神アイリスのご加護を」
謝りながら衛兵さんは僕を川へ投げ入れた。
バッシャン!!
あっ!苦しい、短い人生だった、諦めかけたとき、
『ご主人様!触手を出してくだしゃい。触手を伸ばして!』
頭の中で直接声が声が聞こえた。
あっ!ナビゲートフェアリーさんですか。触手って伸びるんですか?
触手よ伸びろと念ずると、1本の触手が水面に届いた。
息ができる!触手から呼吸ができる。水遁の術じゃないですか。
とりあえず、公爵邸から離れよう。30分ほど流されたあと、残りの触手を使いなんとか河原にたどり着いた。
『フェアリーさんいますか?』と念じた。
「はい!ナビゲートフェアリーのルルナでしゅ。ご主人様とは念話ではなしゅことができましゅ。何でも聞いてくだしゃい」
お~15センチ位の水色ワンピース、萌え萌え桃色髪の美少女や~
『この世界では淫獣って殺されるんですか?』
「このしぇかいにに淫獣という概念はありましぇん。ただ悪魔付きとして魔物の一種として討伐の対象となりしょうです。触手は体内に収納できるので、普段は収納しといてくだしゃい」
『どうして僕は女の子に転生を?』
「かみしゃまからの伝言でしゅ。おまえのような危ない奴は男としててんしぇいしゃせられない、だしょうでしゅ」
あの野郎~
『とりあえず、これからよろしくルルナ。僕のことはユミって呼んで』
「よろしくお願いしましゅ。ユミがどんな変態でも全力でナビらしていただきましゅ」
おいおい変態確定ですか。
『ルルナ、お腹がすいた。何か0歳児でも食べれるものってあるかな?』
「この辺りでしゅと、しょこに見えるメガ山ヒルが高タンパクでしゅ。触手の先に口が付いているので、触手から摂取してくだしゃい」
メガ山ヒル・・グロいっす。僕の触手・・エイリアンみたいっす。背に腹は替えられないか。
『あっ!うまい。生牡蠣の味に鮑の食感や』
触手で食べても味がする。
この時、頭の中でファンファーレが鳴った。
『レベルが上がりました』
『ステータスボード』
頭の中に映像が浮かんできた。
サトウ ユミ 0歳
レベル 2
種族 淫獣
HP 50
MP 30
筋力10
素早さ2
知力240
運 100
スキル
触手 6本
5m
強化汁
種族が淫獣やないですか。僕は人間じゃなかった。
『強化汁って何?』
「はい、触手から出る汁で、触手の力が10倍になりましゅ。ちなみに、強化汁を飲むことにより一時的に体全体の筋力が10倍になりましゅ。副作用として強い筋肉痛、肉離れなどの可能性がありましゅ」
触手から汁って・・まんまカウパー汁やないですか。飲めないわ。でも、筋力10倍中に修行すれば効果10倍になる可能性があるな、要テストやな。
どうやら触手は、体のどこからでも出せるみたい。試しに股間から出してみた。
『ルルナ!男になった』
「最低でしゅ!」「バシッ!」
僕の意識は薄れていった。