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「地球とかいう僻地に転生したら美貌レベル999でアタシの時代だ逆ハーレム!」 ← コレ、何のことか分かりますか?

作者: tene

 「地球とかいう僻地に転生したら美貌レベル999でアタシの時代だ逆ハーレム!」


 これは、私が有名な物語になろう風・・・・なタイトルをつけてみたものなんですが、何のことか分かりますでしょうか。

 ちょっと分からないですね。別のタイトルも付けてみましょう。


「メタルスライムより光る竹! 切ったら人生ウハウハで成り上がる」



 もうお分かりだと思います。

 そう、これ「かぐや姫」もとい「竹取物語」に、タイトルを付け直したものです。


 同じパターンでもう少し。




「転生したら桃だった ~テイムと剣術限界突破で最強目指す~」

「亀とかいう奴隷助けたら酒池肉林で元の世界帰りたくないわ」

「5歳児だけど熊とかいうモンスター倒します」

「とんちスキルで賢者扱いだけど正直スローライフしたい」

「泣いてただけでいけました ~奴隷から王妃に成り上がり~」

「俺TUEEEEE! 田舎から出たらジェダイの騎士とかでパイロットの適性まであったわwww」


 どうでしょうか? ある程度テンプレチート物っぽく見えてきませんかね??

 (ちなみに元作品は 桃太郎・浦島太郎・金太郎・一休さん・シンデレラ・スターウォーズ です)






 さて、何の話かと申しますと。

「テンプレチーレム書いて何が楽しいの?」

 みたいな話、私はよく見かけるんです。


 だけど、それって本当に今に始まったことなの? と。

 で、テンプレ作品って、本当にダメなの? と。




 確かに転生とかあから様なハーレムはテンプレ独自の特徴だと思います。

 が、ハーレムの基準を「モテモテ」くらいまで引き下げると、「かぐや姫」を始めとする古典文学にだって、そう言った作品は沢山ありますよね。しかも、リアルな恋愛模様も描かれずに「超絶美形だったから」とかで、ガンガン求婚がくるようなタイプ。モテたい欲求は今に始まったことじゃないと思います。


 チートに関しても、主人公は主人公である以上、殆どの場合頭一つ以上抜きんでた「特徴」を持っていますよね。チートと、古典的英雄譚の「英雄」の違いって、その能力の取得法だけなんです。それにしたって、古典主人公も「なぜかそう言う能力がある」とか「血統だから」といった曖昧な理由で、抜きんでていることが非常に多い。努力やクエストクリアで能力が増えてゆくと言うのは、古今とも共通かと思います。

 特に桃太郎や金太郎なんて、ある程度体の機能が整った段階で、その世界の一般的な成人より強い「鬼」や「熊」より強くなってるワケですから、チート以外の何物でもありません。


 要は「主人公はチート」っていう部分に関しては、古い作品からなんら変わってないんです。




 じゃあ、何が変わったのか、と言いますと。それは「物語の速度」ではないかと。


 だって、もう物語のオヤクソクがばれちゃっている。「なんか挫折して、努力して、力が開花するんでしょ」って。作品はゴマンとあるのに、そんなところ繰り返し読んでいるほど暇じゃないよ、と。

 だったら、だらだらと努力するシーンを描かれるより「神様が一秒でやってくれました」でいいじゃない。そんなことより本編だ。俺たちは「さあ君は、どんな奇抜な能力で、思いもよらない手段で、大活躍を見せてくれるんだい?」という、読者からのメッセージなんじゃないでしょうか。


 転生についても、そう。

 漫画でよくあるじゃないですか。突然過去のシーンが何話も挟まって、設定が後付されるやつ。あれって正直読みずらい。別に主人公の過去とかいいよと。それより現在現在。どんどん話を進めて下さいなっていう事なのかなぁと。一般常識を持ったまま、しかし読者の知らない「要らない過去」は一切ない。すごーくストレスフリーな状態で読める、それが設定段階から約束されてるんです。


 タイトルも同じですね。


 ハーレム。恋愛模様とか、ドロドロとか。それはそれでいいんだけど、それだけとってもテーマになっちゃうくらい、重たくて大きいテーマ。正直英雄譚には不要です。やってたら冒険進まないし。

 でも男と女が居て、恋愛しないってのも、嘘だよなぁ。イチャイチャしたいし。

 だったら! 「強くて優しい! 好きです!」でいいじゃない。女の子とのイチャイチャは読みたいけど、毎回設定から読み直すの大変だなぁ。同じ話にたくさんヒロイン出てきてもいいじゃない。女同士の関係? 「みんな仲良くしてね!」主人公が頭を下げて解決だ。言うこと聞かない奴もいそうだなぁ。奴隷とメイドと使い魔なら、反抗しないよね! これでみんな仲良しハッピーだぜ!!




 と、読み手が「うんざり」する要素を排除していった結果、現在の内容に落ち着いている、と、私は思うわけです。内容的には昔から大きく変わってはおらず、高速化、軽量化。文字通りの「ライト」ノベル。それが「テンプレ」なんじゃないでしょうか。少なくとも方法論のパズルとしては、時勢に合わせる形でかなり洗練されている気がします。


 だから、私はいいと思いますよ、「テンプレ」。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分が中学生の頃、丁度「ライトノベル」という言葉が周知され始めた頃で、その頃は年100冊は読んでいた気がします。 しかし今は読んでいる商業作品は片手ほど、毎日ただ惰性でなろう作品をふわっと読…
[一言] この作品は読んでいて面白かったです。 古典作品が今の作品のお約束の元になってるなら 「源氏物語」が日本のハーレム物の物語の原点になるのかなぁなんて考えたりしました。 源氏物語を悪意のある解釈…
[一言] >だって、もう物語のオヤクソクがばれちゃっている。「なんか挫折して、努力して、力が開花するんでしょ」って。 これは一昔前のテンプレとも言えて、なろうのテンプレはそれに対するアンチテンプレと…
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