刈田もいるよ!
「はあ・・・能力を使って人を殴るなんて・・・教師失格だわ・・・・」
藤崎は落ち込んだ表情で俺に近づいてきた。
「そんなことないですよ。全力で生徒を守る姿は教師の鑑でしたよ」
なんとなく藤崎を慰めてみる。
てかそれにしては慣れた様な動きだったな・・・。
「な、なんで藤崎先生がここにいるんですか!?」
佐山さんが驚きながらこっちに近づいてきた。
「あ。そうですよ。なんでここにいるんですか?」
それが一番不思議なことだった。
「刈田君が教えてくれたの」
「刈田ぁ?」
また刈田か。
なんで刈田がそんなことをするんだ?謎の多い奴だ。
「そう。刈田君。なんか突然刈田君からメールがきて、渡辺君たちが大変なことになってるって聞いたの。それで車で飛ばして来たの。」
そういえば藤崎は生徒がいつでも質問できるようにそれ用のアドレスを教えてくれていたな。
その時は本当に教師の鑑だと思った。
しかし
「刈田はなんで俺たちの状況が分かったんだ?」
「さあ?刈田君に直接聞いてみたら?」
藤崎は俺の後ろを指さした。
振り返るとそこにはパソコンを持った刈田がいた。
藤崎と一緒に来たのだろう。
それはつまり藤崎と一緒にドライブをしたのか・・・・羨ましすぎる・・・・。
「わ、渡辺君。大丈夫?」
「ああ。大男にメチャクチャ蹴られたが大丈夫だ」
「鼻血。出てるよ。」
刈田は俺にティッシュを渡してくれた。
「じゃ、大丈夫か聞けないでくれ」
俺はそれで鼻血を拭きながら言った。
「それで。なんで刈田は俺たちが危ないってわかったんだ?」
俺はティッシュをポケットに入れながら聞いた。
「え、えっと・・・前に中川君に陰陵教について調べてって頼まれて。それからちょこちょこ調べ続けてたんだ。全然何も見つからなかったけど・・・。
そしたら今日になって陰陵教の集会にナイフを持った男が現れて金髪の少年が人質になったって書き込みを見て。すぐに藤崎先生に助けを求めたんだ・・・。」
「なるほどな」
おそらくあの騒動の時にそれを書き込んだ信者がいたのだろう。
「ナイフ男を撃退したって書き込みはなかったのか?」
「そ、そうなの?人質になったって書き込みまでしかなかったからてっきり・・・・・。」
なんて無責任な書き込みだろう。
しかしそのおかげで俺たちが助かったのだから文句は言えない。
「ていうかなんで藤崎なんだ?警察でもよかっただろう?」
「け、警察が書き込みを見たって言って信じてもらえるとは思えなかったたから・・・。」
確かに。警察はそんなことでは動かないだろうな。
「そ、それに藤崎先生は強いから・・・。」
「ごめんなさい」
藤崎は申し訳なさそうな顔をした。
なるほど。藤崎の強さは刈田が身をもって体感している。
「べ、別に・・・そんなつもりで言ったんじゃ・・ないです・・・」
刈田も申し訳なさそうな顔をした。
すると
「おーい!渡辺ー!佐山ー!どこだ-!!」
遠くから中川が叫ぶ声が聞こえる。
あいつらにもなにかあったのか?
「こっちだー!」
俺は叫んだ。
そして俺たちは中川たちと合流した。
なぜか立花はクマのぬいぐるみを持っていて中川と相田はボロボロだった。
特に相田が。
「おいおい。渡辺。ボロボロじゃねーか。」
あ、そうか。この中で俺が一番ボロボロか・・・。
「て、なんで藤崎と刈田がいるんだ!?」
まあ驚くのも無理はない。
「とりあえず中に入ろう」
そして俺たちは伸びている木野を起こし熊沢を男4人で運びながら応接間まで向かった。
そのとき中川は体が痛いと喚いていた。




