加勢、そして決着
俺は強く目をつむり自分の死を覚悟した。
死なないにしても確実に重症だろう。
くそ。
恐怖より先に悔しさが込み上げてくる。
しかし・・・
パンッ!!
そのとき俺が予期していない破裂音が鳴った。
と同時に俺が掴んでいた熊沢の足がどこかに消える。
え?なにが起きた?
俺が目を開けると熊沢が数メートル先に吹っ飛んでいた。
すると誰かが俺のそばまで来て聞いた。
「渡辺君。大丈夫?」
その声は聞き覚えのある美しい声だった。
そして俺は声の主を見た。
「な、何でここに・・・?」
その人は藤崎だった。
「話はいいから。あの人は何なの?」
藤崎は聞いてきた。
「あ。えっと・・・あの人もおそらく殺意に支配された人です」
俺は状況が理解できないまま説明した。
「そっか。じゃ気絶させないと元に戻らないのね。
本当はやりたくないけど・・・今は言ってる場合じゃないわね。」
藤崎は熊沢と対峙した。
熊沢もすでに立ち上がっている。
藤崎がチョークを投げた。
熊沢はそれを掌から炎を出しその勢いでチョークを止める。
「先生!あいつはガムテープから炎を出します!」
「そうみたいね」
藤崎は凛々しい顔で熊沢を見ている。かっこいい・・・
って見とれている場合じゃない。
「あと。炎を出すたびにガムテープを消費します」
俺が言うと同時に藤崎は熊沢にチョークを投げながら突っ込んでいった。
また熊沢は左手から炎を出しチョークを止める。
藤咲はその炎を左に避け右腕を放つ、指にチョークを挟んで。
ボッ!
熊沢は右腕を加速させその攻撃を拳で受ける。
パンッ!!
破裂音がする。
「ウッ!」
吹っ飛んでのは熊沢だけだった。
藤崎のチョークは重さに関係なく相手を吹っ飛ばすようだ。
すると藤崎は左手にチョークを持ち突然そのチョークを自分の背中につけた。
パンッ!!
藤崎がものすごいスピードで熊沢との距離を縮めた。
そして倒れている熊沢の眉間にチョークを挟んだ拳を当てる。
パンッッッ!!!
いつもの倍の大きさの破裂音がした。
・・・・・・・・・。
静寂が広がる。
「もう大丈夫よ」
藤崎は振り返り俺を見ながら言った。
「や・・・。」
やっぱりかっこいい・・・。




