中川:クマのぬいぐるみ
本間から名刺が放たれる。
あーあ。俺もここで終わりかー。
今思えばそんなに未練はないかもなー。好き勝手生きてたし。
ただこれから起こる楽しそうなことに関われないのは悔しい。
そんなことを呑気に思っていた。
しかし次の瞬間。
あれ?なんで本間が下にいるんだ?
俺はいつの間にか本間を見下ろしていた。
俺はとうとう死んだのか?
と思ったが実際は違った。
俺があの体制から真上に飛んだのだ。
自分の意志とは別に・・・。
そのまま俺は本間を飛び越え着地、そして振り返り本間を見た。
俺はどうなっちまったんだ?
「ウオッ!?」
俺は突然本間に向かって突っ込んだ。
俺の体じゃないみたいだ。
本間は驚きながらも俺を迎え撃とうとハンコを握る。
すると突然・・・
「!!!」
本間は振り返り後ろの空を殴った。
「「は?」」
俺は驚いた。いや、俺だけでなく本間自身も驚いていた。
どうしたんだ?何が起こった?
そんな俺の驚きとは別に俺の体は本間に向かい拳を出した。
バゴッ!!!
俺は本間の顔面を思いっきり殴った。
本間は後方に数メートル吹っ飛んでいった。
え?
なんでこんなに吹っ飛ぶんだ?俺にこんなに力があったか?
本間は倒れた。
・・・・・・・。
数秒間沈黙があった。
すると俺は体がもとに戻るのを感じた。
俺は掌を見た。ちゃんと自分の体だ。
本間を見ると本間は倒れたままだった。どうやら気絶しているようだ。
「か、勝ったのか?」
俺は体の力が抜ける。
と同時に
「イッテ!」
体中が軽い筋肉痛のように少し痛む。
「な、中川君。さっきの動きは・・・?」
相田は立ち上がって聞いた。
もちろん裸だ。驚きのあまり股間を隠すのを忘れている。
俺たちが戸惑っていると最初に声を出したのは立花だった。
「話はあと。今は佐山を見つけないと。佐山が消えたの。」
「佐山もか!?実は渡辺もなんだ」
まさかあいつらにも同じような事態が起こっているのかもしれない。
「早く見つけないと!」
「そうだね。でもその前に・・・・」
立花は目をそらしながら言った。
「相田。なんでアンタ裸なの?」




