中川:ピンチは続行
くそ。ここまでか・・・。
俺たちが半ば諦めていたとき。
「大丈夫か!?」
その声は扉のほうから聞こえた。
誰だ?
俺たちが見るとそこにはジャージ姿の立花が立っていた。
なぜか可愛らしいクマのぬいぐるみを持っている。
「来るな!早く逃げろ!」
俺が言うと同時に本間は立花に名刺を投げた。
すると立花は逃げるどころか持っていたぬいぐるみを撫で始めた。
突然の状況で気でも狂ったのか?
すると撫でていたクマのぬいぐるみから半透明の同じクマのぬいぐるみが出てきた。
何だあれは?俺はまだ寝ぼけているのか?
その半透明のクマは立花の前に浮遊した。
そして名刺はそれに刺さり止まった。と同時に半透明のクマも消失する。
「なんだそれ?」
俺は思わず言ってしまった。
「お前からだな・・・」
そう言って本間は立花に向かった。
直接殴る気だ。
しかし立花は今度は3回ぬいぐるみを撫でた。
すると半透明のぬいぐるみが3体飛び出し本間に向かっていった。
ボフボフボフ
ぬいぐるみが本間の頭に当たり本間は勢いを落とす。
しかしそれは気休めにしかならず本間はぬいぐるみを払いすぐにまた立花に向かった。
するとその瞬間。
本間の目の前に突然相田の拳が現れた。
ゴッ!
鈍い音とともに本間が後方に飛ぶ。
同時に相田はコインをはじいた。
そのとき気づいたが相田は全裸だった。
本間は俺の前に倒れた。
と同時に本間の目の前にまた相田の拳が現れた。
このまま一気に畳みかける気だ。
しかし
「ウワッ!」
相田の体が回転しながら吹っ飛び激しく壁に打ち付けられた。
そんな馬鹿な・・・
本間は殴られるのを予想して殴られたと同時に相田の腕にハンコを押したのだ。
なんて冷静な奴だ。
本間は顔を抑えながら立ち上がり立花を見た。
くそ。それはダメだ。
俺はとっさに本間の脚にしがみついた。
本間は俺を見てから内ポケットに手を伸ばした。
やばい。
そう思ったとき
「中川!操っていいか!?」
言ってきたのは立花だった。
この状況で何を言ってるんだこいつは?
「なに言ってんだ!逃げろ!」
本間は名刺にポケットから出したハンコを捺した。
「いいから!操っていいか!?」
本間は名刺を振り上げた。
「分かった!分かったから逃げろ!」
名刺が投げられる。
あ、俺。終わった。




