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庭の熊さん
『うわああああああ!』
男の悲鳴が聞こえた。
「な、何ですか!?」
佐山さんは不安そうな表情で聞いた。
「分からない。外から聞こえた。とりあえず行ってみる。佐山さんはここにいて」
「私も行きます!」
「でももしかしたら危ない目に合うかも」
「そんなの今更です。私も行きます!」
こうなった佐山さんは手ごわい。
「しょうがない。一緒に行こう」
「はい!」
そうして俺たちは外に出て声がしたほうへ走っていった。
そしてそこにはマッシュルームカットのシルエットが見えた。
木野だ。
木野は腰を抜かして座り込んでいる。
「木野さん!どうしたんですか!?」
俺が駆け寄って聞いた。
「と、突然手紙で呼び出されて。そしたら。あ、あれ」
そう言って木野は前方を指さした。
俺らがその方向を向くと
月明りでシルエットしか見えなかったがそこには熊がいた。
いや、正確には熊のような大きな男が・・・。




