貝原の提案
「その通り!俺は能力者、もとい神の子だ!」
中川は貝原の質問に嘘で答えた。
憧れていた能力者に間違えられて気をよくしている様だ。
分かりやすいやつだな。
「やっぱりか。で、どんな能力なんだ?」
貝原は聞いた。
「俺の能力は持ってるものを交換できるんだ」
「それだけか?それであの男を倒したのか?」
「ああ。さらにその交換したものを首に当てると気絶させられるんだ」
こいつは本当にスラスラと嘘を吐くな。
「それは凄い。ぜひ見せてくれ」
そう言って中川はペンを出してきた。
「あ、ああ。だけど気絶は無しだぞ」
中川は俺を見た。
そして
「渡辺、そのパンフレットくれ」
と俺に言ってきた。
そういうことか。
「分かった」
そう言って俺は中川にパンフレットを渡した。
そして中川がそれを握ったときにパンフレットと貝原のペンを交換した。
貝原は一瞬驚いたようだった。
「なるほど。疑っていたわけではないが本当のようだな」
「そりゃそうだろ」
中川はふんぞり返った。
貝原はパンフレットを渡してきながら中川に提案してきた。
「君も我々の保護を受けないか?」
「え?」
「と言っても特に何をするわけではない。
だがもし君が能力者であることで生きづらいと思ったらここに来なさい。」
「なんでそんなことしてくれるんだ?」
俺は聞いた。
「会場でも言ったが私は能力者に助けられた。だから今度は私が能力者を助ける番だ」
「素晴らしいな」
俺は感心した。
「ふーん。でも別に俺は保護されるほど困ってねーよ」
「それは良かった。しかし一応名前と住所だけでも教えてくれないか?電話をくれればすぐに駆け付ける」
貝原は中川に紙とペンを渡してきた。
「まあそれくらいなら・・・」
そういって中川は名前と住所を書いた。
が、明らかにでたらめだ。
中川はまだ貝原を信用していないらしい。
「保護された人はどこにいるんですか?」
聞いたのは相田だった。
「この屋敷で働いている。別にそんなことしなくていいと言ったんだがな。」
「会わせてくれ!」
もしかしたらその中に手紙の主が居るかもしれない。
「いいだろう。今すぐ呼んでくるからここで待っていなさい。」
貝原はすんなり俺のお願いを聞き入れて部屋から出て行った。
応接間には俺たちしかいなくなった。
「中川さんよくあんなすぐ嘘がつけましたね」
佐山さんは中川に言った。
「まあな」
「でも貝原さんが良い人そうで良かったね」
「そうだな」
そんな話を俺たちがしていたら。
「て、手紙!」
言ったのは立花だった。
「手紙がどうした?」
「なんでお前たちも持ってるんだ?」
「は?どういう意味だ?」
すると立花はバックから何かをテーブルの上に出した。
それは佐山さんに送られた手紙と同じものだった。




