集会の始まり
俺たちは屋敷の前に着いた。
「おお、近くで見るとさらにスゲーな」
「なんだか結婚式場みたいですね」
「確かにそんな感じだな」
それから俺たちはエントランスにいた女の人にパンフレットを渡され奥に案内された。
一応パンフレットを見たが目新しいことは書いていなかった。
奥の部屋に着いた。
「うわ。」
そこは学校の教室の二倍くらいの大きさで窓は閉め切っていて薄暗い照明が奥の床が少し高くなっているところを照らしているのみだった。
そこにはすでに100人程度の人が入って立っている。
おそらく信者だろう。
「結構人いるね」
相田は圧倒されたようだった。
「この中に手紙のやつが居るかもな」
中川は俺に囁いた。
俺も信者たちを観察してみた。
信者は老若男女様々だった。
しかし皆に共通して言えるのは喜びの感情だったことだ。
「もしかして会費とか取られるんでしょうか?」
佐山さんはそれに気づいて怯えた。
「まあ、払えない額だったら逃げるか」
俺は佐山さんの緊張をほぐすために笑いながら言った。
「いや。そんなもんは必要ないよ」
答えたのは前に居た男だった。
見た目は40代くらいで顔に皺が目立ち幸が薄そうな男だった。
「私はこの集会は4回目だけど一度も金を取られることはなかったよ。まあ一部の人間が教団に寄付をしているくらいかな」
「そうなんですか。教えてくれてありがとうございます。」
「いえいえ、それよりそろそろ始まるよ」
そう言って男はまた前を向いた。
「お金は取らないみたいだね」
「よかったです」
佐山さんは安心したようだった。
「でもそうなるとますますこの教団が何をしたいのか分からねーな」
「本当に能力者を崇めたいだけなのかも知れない」
そんな話をしていると
『おー』と言う歓声とともに拍手が鳴った。
前を見てみると隣の扉から貝原が壇上に出てきていた。




