4話・中川:隠れた大きな墓
「ただいま」
「あ、お帰りなさい」
夕食の支度をしていた母さんが返事をした。
今日もなかなか凄い服装をしている。おそらく今日は外に出かけなかったんだな。
俺の両親はおかしなセンスをしていて外に出かけるとき以外はそのおかしなセンス全開の服装をしている。
でもこれがこの中川家のスタンダードだ。
「そういや今のうちに言っとくけどもしかしたら5月3日から何日間か出かけるから」
とりあえず報告だけしておく。
「あらそう。向かいの理久君とでもどこか行くの?」
「まあそんな感じだな」
渡辺とは一年とちょっと前に知り合った。
俺たちがここに引っ越してきたとき向かいにどんな奴が住んでいるのか気になって挨拶に行ったときに初めて会った。
最初の印象は見た目はそこそこだが没個性的な感じがしてがっかりした。
だけど話をしていくうちにどこかおかしなやつだと思った。
そして俺たちは仲良くなった。
「あんまり迷惑かけちゃダメよ」
「ハイハイ」
服装以外のこういうところは普通の母だ。
だから質が悪いのだけどな。
その夜に俺は渡辺のしょうもない質問を思い出した。
「陰陵教か・・・」
俺はおもむろにスマホで『陵』の文字を調べた。
1.大きな丘。
2.丘の形をした大きな墓。
3.しのぐ。相手を踏みにじる。
と書いてあった。
隠れた大きな墓か・・・
いったい貝原という男は何を思ってこんな名前を付けたんだ?
「ま、考えすぎか」
俺はそのまま眠りについた。




