3話・宗教のあれこれ
前回の集まりから数日後がたったある日藤崎以外の俺たち四人はまた放課後に集まった。
相田に呼ばれたのだ。
「で、今回はなんの話するんだ?これからの日本の政治の話とかか?」
「その話でもいいけど僕、あれから陰陵教について調べたんだ」
そう言って相田は机の上に一枚の紙を出した。
そこには『陰陵教』と書かれた文字の下に洋館の写真と住所と電話番号が書いてあった。
「これが陰陵教の場所。調べたら思ってたより遠くなかったよ。電車で2時間くらいかな。それと一応ここに電話してみたけど取り合ってもらえなかったよ。」
「そこまでやってくれていたのか。」
まったく頭が上がらないな。
「他にも分かったことあるか?」
俺は聞いた。
「うーん。いろいろ調べてみたけど他には分からなかった。」
「へー」
何やら中川がニヤニヤしている。
「なにニヤニヤしてんだ?気持ち悪い」
「気持ち悪いは余計だろ。実は俺も調べてみたんだ」
「何か分かったんですか?」
「いや、俺は何も分からなかった。」
「ダメじゃねーか」
あのニヤニヤはなんだったんだ。
「まあ待てよ。だから俺は刈田に調べて貰えるように頼んだんだよ。あいつはこういうの得意だからな」
本当に刈田は何者なんだ。
「結局お前の手柄じゃないじゃないか」
「うるせえ、頼んだことに意味があるんだよ」
「で、なにが分かったの?」
相田はまだニヤニヤしてる中川に聞いた。
「この教団のトップの人間。それとこの教団が一体何をしているのか教えてくれたよ」
「それはなかなかの成果だな。それで?」
中川は一枚の写真を出した。
「この教団のトップはこいつ」
そこには長身で眼鏡をかけたスーツの男が映っていた。なかなかにカッコよく仕事ができる印象だ。
「カッコいいですね」
佐山さんはつぶやいた。
佐山さんはこういうのがタイプなのか。
「貝原って名前らしい。この洋館の持ち主で二年前にこの陰陵教を作ったって話だ。」
「なるほど。こいつが・・・。それでもう一つのほうは?」
「ああ、それでこいつが作った教団は前に相田が言っていたように能力者を神の子として崇めていて何人かの能力者を保護しているらしいぞ。」
「胡散臭さ満載だな」
「でもそんなに悪いことしてる感じじゃないですね」
「そりゃ悪いことしてる宗教なんて実際はそんなにねーだろ」
なぜか中川は佐山さんの発言にムッとした。
「まあいいや。それで刈田の話だと手紙に書いてあった5月3日。つまり憲法記念日に月一の集会があるらしいぞ」
「なるほど。僕たちはそれに潜入するんだね?」
相田は納得をした。
「なんで潜入しなきゃしけないんだ?」
「普通に話聞きにいけばいいじゃないですか?」
俺と佐山さんは疑問を口にした。
「ばか。電話で言っても取り合ってもらえないやつらだぞ?素直に『話聞かせてください』って言っても無理だろ。それに刈田もここまで調べるのにかなり苦労したらしいからな」
なるほど。だから潜入か。
「よし。決まりだな。俺たちはこの日にこの陰陵教に潜入しよう。もしかしたら手紙を出した主が居るかもしれない。」
俺は提案した。
「そうだな」
「分かったよ」
「はい」
皆同意した。
そして帰ろうとしたとき
「あ、そういえば」
俺はもう一つ疑問があったのを思い出した。
「なんで『陰陵教』って名前なんだろうな?」
しょうもないことだが。
「お前、気づいてないのか?」
中川は信じられないと言う様な顔をした。
「お前は知ってるのか?」
「当たり前だろ。じゃヒントを教えてやる。能力者は何で能力を得たんだ?」
俺は少し考えた。そして気づいた。
「え。まさか・・・」
俺は拍子抜けした。
能力者は飲み物を飲んで能力を得た。つまり『飲料』を飲んで・・・
「しょうもなさすぎだろ・・・」
「俺はこのセンス好きだけどな。」




