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5th world   作者: リープ
二章 少年たちは変わった世界の中に飛び込んでいく
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1話・手紙について思案する

「なんだこれ?」




俺たちは机の上に置かれた手紙を見た。



「この『陰陵教』ってどこだ?」

中川が佐山さんに聞いた。確かにそこが一番謎なところだ。

「私もよく分からないです・・・」

佐山さんは困った顔をした。



「・・・あ、思い出した」

突然相田が言った。



「マジか!で、『陰陵教』ってなんなんだよ?」


「前にファミレスで話したことがあったでしょ?『能力者を神の子として崇めてる宗教がある』って。これ。その教団のことだよ」

「確かに前に言ってたな」

「そんなとこがあるんですね」

そういえば佐山さんは初耳か。



「学校の次は教会か。こいつは何を教えたいんだろうな?」

中川は悩んでいた。

「やっぱり悪戯じゃないか?それがたまたま藤崎の事件とかぶった可能性だってあるだろ?」

かなり低い確率ではあるが。


「無視したほうがいいのかもね」

相田が同意してくれた。



しかし中川は諦めない。

「いや!これは絶対に事件と関係ある!俺は信じてる!」


「なんでそう思うんですか?」

佐山さんが聞く。

中川もなにか根拠があって言ってるはずだ。


「だってここに『感謝する』ってあるぜ。これって死人をださないでくれてありがとうって意味だよ。こいつをだしたやつはあの夜、学校で起きたことを知ってるんだ。もしかしたら犯人かも知れない」

「なんで犯人が死人を出さなかったことに感謝するんだよ?」

おかしな話だ。


「そこまでは知らねーよ。でもこの手紙があの事件と関係があるのは確かだ。この手紙だけが事件解決の糸口なんだよ!」

中川の力説は止まらない。


「じゃあ、なんでその手紙が私のところにきたんですか?」

「本当だよ。そんな物騒な手紙がこんな普通の女の子の下にくるのはおかしい。一応確認するけど普通の女の子だよね?」

俺は佐山さんにしょうもないことを確認する。


「もちろんですよ!どこにでもいる普通の女の子です。まあ能力は持っていますけどね。」

佐山さんは笑いながら答えた。


「あれじゃないかな。送る場所を間違えたとか」

「そりゃねーだろ。いくらなんでも間抜けすぎるぜ」

中川は相田の仮説を否定した。



「なんにしてもここに行ってみないと分からないな。俺が行くからお前らは残れ」

さすがに危なすぎる。


「はあ?なんでお前が仕切ってんだよ?事件との関係に気づいたのは俺だぜ?俺が行くに決まってんだろ!」

「でも危なすぎる」

「あぶねーのはお前が行っても変わらねーだろーが。それにこんな面白そうなこと独り占めすんな。!俺は自分の命より自分の楽しさを優先する人間なんだよ。」

こいつは本当に能天気野郎だな。


「えー、僕も行きたいよ。それにもしもの時のために戦力がいるだろ?」

戦力って。お前は屋上で全裸で伸びてたろ。


「そんなこと言ったらこの手紙は私の下にきたんだから私が行くべきです!」

なかなか頑固なところが佐山さんにもあるみたいだ。




「わかったよ。みんなで行こう。だけど今日はもう遅いからまた後で集まろう」



俺は提案した。



みんな笑った。






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