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31話・眼帯とスタンガン
その日の学校はいつもと変わらなかった。
騒がれたと言ったら三階の空き教室の窓が割れていてさらに屋上の扉が壊れていたことだけだった。
国語の授業の時に当たり前だが藤崎が来た。
昨日あんなことがあったのなんて忘れているんじゃないかと思うほど普段通りだった。さすがだ。
「放課後にどっかの空き教室にきてくれますか?昨日のことで・・・」
俺は授業終わりに頼んだ。
「分かったわ」
顔色も表情も変えずに言った。
あの感じも良いな・・・
俺は去っていく後姿を見て思った。
そのあとの昼休み。
俺たちは刈田を呼んだ。
俺たちのもとに来た刈田は左目に眼帯をしていたがそれほどひどくないらしい。
「お前はなんであの時スタンガンなんか持ってあそこにいたんだ?」
中川が聞いた。
「・・・藤崎先生を助けようと思ったんだ。」
刈田が言った。
あれ?そっち?
俺はてっきり藤崎に襲われてる武谷を助けに行ったもんだと思っていた。




