28話・小動物の告白
それから俺たちは保健室に戻った。
時刻は9時半だった。ものすごく濃い一時間半だ。
「ありがとう。もう大丈夫。」
藤崎はだいぶ落ち着いたようだった。
「もう9時半だしそろそろ帰ろう。もちろん皆今日起こったことは内緒だからな。」
一応釘を刺しておく。
「ありがとう」
「分かったよ。」
「分かりました。」
「・・・」
中川は不服そうだ。こいつは誰かにしゃべるつつもりだったのか。呆れたやつだ。
「中川、返事は」
「はいはい」
「フフフ」
このやり取りに藤崎は笑った。
藤崎の笑った顔を初めて見た気がする。かわいい。
「じゃ僕と先生はこっちだから」
電車組は駅の方面へと向かった。
相田のブレザーは藤崎にかかっている。血を隠すためだろう。
「紳士だなーアイツ」
「俺たちもアイツにならって紳士になるか。佐山さんの家はどっち?送るよ。」
「いや、悪いですよ。」
佐山さんは断った。
「それじゃ恰好つかない。送らせてくれ」
「あ、それじゃ」
俺たちは驚いた。
佐山さんが告げた場所は俺たちの家の近くだったからだ。
「そういや佐山は屋上で藤崎になにをしたんだ?勝手に藤崎が倒れたようには見えなかった。」
バスの中で中川は聞いた。それよりいきなり呼び捨てとはさすが中川だ。
自転車は救急車を入れるために校門を開けたついでに駐輪場に止めた。さすがに疲れたからだ。
佐山さんも歩きだった。
「ああ、それですか。あの・・・驚くかもしれませんが私・・・」
なにを言い出すか大体分かる。
「能力者なんです。」
ほらな




