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5th world   作者: リープ
一章 少年たちは変わった世界の中に巻き込まれていく
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27話・マドンナに起こったこと

「ごめんなさい。本当にごめんなさい」

藤崎は自分がしたことを覚えているらしい。

俺たちの顔を見るなり泣きながら謝った。血は拭き取られていた。



「い、いや・・・」

普段凛としている藤崎の泣いている姿は不謹慎だがとてもときめいた。

隣を見ると中川は下を向いている。たぶんニヤけた顔を必死で隠しているのだろう。男子高校生とは哀しい生き物だ。





それから藤崎は自分に起きたことを話してくれた。そしてすべて話すには数日前までさかのぼらないといけないようだった。





それによると藤崎は一週間前に街中で武谷がある女子高生と並んで歩いているのを見かけた。怪しく思い悪いとは思いつつもほんの少し後をつけてみた。そしたら武谷がその女子高生とホテルに入っていくのを発見してしまった。そしてすかさずその姿を撮った。


正義感の強い藤崎はどうしようもなく憤った。なによりそんな人間が教師をやっていることが許せなかったらしい。


そしてある行動に出た。

その次の日、藤崎は武谷の机にある手紙を置いた。

その手紙には

『これをバラされたくなかったらすぐにこの学校を辞めろ』と言う文面と撮った写真を入れたのだ。

警察に言わずにいたのは藤崎なりの小さな慈悲だったのだろう。


そして木曜日に武谷は学校を辞めた。



しかし藤崎は武谷が援助交際を止めなければ根本から解決したことにはならないと思い日曜日。つまり今日の午後八時に武谷を呼び出して説得しようとしたのだ。

藤崎は武谷でも話し合えば分かってくれると思ったのだろう。


そして今日の夜、

時間通りに武谷は職員室に来た。



そして藤崎は武谷を見た瞬間今まで感じたことのない怒りが沸き起こったらしい。

自分で制御できないほどの怒り。殺意と呼んでもいい。



藤崎は自分の能力を使い武谷を感情のままに襲った。


そしたらなぜかスタンガンを持った刈田が職員室にやってきたのだ。

その時藤崎は刈田にも強い殺意を覚えたらしい。


そして刈田を襲っていた最中に俺たちが入ってきたのだった。







「本当に、本当にごめんなさい。でも私もなんであんな感情が沸いてきたのか分からないの」

すべてを話し終わった後にまた泣きながら俺たちに謝った。



「いや、そんなに謝られても・・・。

だって藤崎自身もなんで殺意が芽生えたのか分からないんだろ?」

「確かにあの時の先生は異常、というよりまるで別人だった。どういうことなんだ?」

藤崎が嘘をついているとは思えない。


・・・・・・・・。

少しの間沈黙ができた。



「まあいいんじゃねーか?俺たちはケガしてねーし刈田も見た目ほど悪くはねーし。武谷は自業自得だ。」

中川が能天気に言った。

「僕は心が傷ついたけどね。」

服を着た相田が自虐気味に言った。



「中川の言う通りだな。とりあえず先生は気持ちが落ち着くまでここに居てください。佐山さんは先生を看ててくれ。その間に俺たちは職員室の掃除だ」

「分かりました」

「俺も藤崎を看てるよ」

中川が言った。

「お前も来い」




そして俺たちは職員室の血などを掃除した。


血を拭きながら中川は言った。

「そういや藤崎はどうやってベランダを出たんだ?」

「きっと窓を割って鍵を開けたんじゃないかな?」

「だったらそれも片付けないとか?」

「えー、別にいいだろー」

中川が不満そうに言った。

「じゃお前が夜の学校に忍び込んで窓ガラスを割ったってことにしとくか?」

「なんで俺のせいにするんだよ」

昨日の電話を思い出しながら言った。


「興味あるんだろ?」



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