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5th world   作者: リープ
一章 少年たちは変わった世界の中に巻き込まれていく
22/68

21話・俺の友人が全裸でヤバいんだが

「相田は将来なにになりたいんだ?」


相田と知り合ってすぐの頃、中川が相田に聞いたことがあった。

中川はこの質問が好きらしい。


「獣医だよ」

相田が微笑みながら答えた。

「それは素晴らしい夢だ」

俺は感心した。

「なんで獣医になりたいと思ったんだ?こいつみたいに親が医者とか?」

中川は俺を指さしながら聞いた。


「渡辺君の親は医者なんだ。」

相田は驚いたようだった。

「そんなことないよ。親は普通のサラリーマン。獣医になろうと思ったのは10歳の時かな」

それから相田は説明をしてくれた。



「父親とテレビを見てた時にニュースで鳥インフルエンザが蔓延してどっかの養鶏所の鳥が殺処分されたって報道されてて、

それを見た父親が『人に感染しないでよかったな』って言ったんだ。僕はその時に『たくさんの鳥が死んだんだからよくないよ』って言ったら父親が困った顔をしてた。

その時に僕は『人じゃないってだけなのに可哀想』って思ったんだ。

だからせめて僕ぐらいは動物たちを助けようって思って獣医になろうと思ったんだ。」


その話を聞いて俺はこいつは本当に優しい人間なのだと思った。


「じゃ相田は肉を食わないのか?」

中川がしょうもないことを聞いた。

「いや、大好きだよ。特に鶏肉が好き。」

それを聞いて面白いやつだとも思った。






そんな優しい相田が・・・



俺たちの目の前で全裸で立っていた。

こいつは本当に相田か?少なくとも俺の知っている相田は全裸で夜の学校を徘徊するようなやつじゃない。



「お、お前・・・」

中川が言う終わる前に

「早く逃げよう!」

相田がさえぎって俺たちの手を引いて教室を出た。

ベランダのほうを見ると藤崎がベランダに閉じ込められて窓を叩いていた。




「と、とりあえず屋上に行こう」

中川はまだ状況が整理できていないような顔をしながら言った。

「でも屋上は鍵が掛かってるよ?」

いやだからなんでお前は全裸なんだよ。

「あ、いや、これ」

まだ戸惑った顔の中川がポケットから鍵を取り出して言った。

たぶんこれも刈田が作ったのだろう。




そして俺たちは屋上に到着した。屋上の扉はかなりガタがきてるようだった。




「ふー、なんとか逃げ切ったな」

三人とも安堵した。


で。


「なんでお前は全裸なんだ?」

俺が聞いた。

「え?・・・あ!!」

相田は今まで自分が全裸なのを忘れていたようだった。

気づいてすぐさま股間を隠した。

大丈夫か?父親の病院の精神科紹介してやろうか?」

「それか警察だな」

「や、やめてよ」

相田は顔を赤らめた。俺たちの知っている相田だった。


「で、お前がなんであそこにきたのか、どうやって藤崎を閉じ込めたのか、特になんで全裸なのかを説明してもらおうか?」

俺は問い詰めた。

すると相田は観念したように言った。




「・・・僕は能力者なんだよ」




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