19話・話し合ってのスタンガン
「な、なんだったんだアレは!?刈田は大丈夫なのか!?」
中川が背中を擦りながら俺に聞いてきた。
俺たちは藤崎から逃げ出した後、三階の空き教室に入って身をひそめた。まさか藤崎も上に上るとは思わないと思ったからだ。
「俺にも分からん。ただ言えるのは藤崎は能力者だ。あと気が狂ってる。」
俺は藤崎から感じた感情を説明した。
「まじか。でもこれからどうするんだ?警察に通報したほうがいいんじゃないか?」
中川は落ち着いてきたのか静かに言った。
「いや、それはダメだ。」
「なんでだよ。このままじゃ刈田が危ないだろーが」
「今この国は能力者の犯罪に厳しい。警察が来たら藤崎がどうなるか分かるだろ?」
「あ・・・」
そう、この国では能力者が犯罪を犯したらその大小に関わらず射殺される可能性がある。
「お前だって学校のマドンナが射殺されるのは嫌だろう?」
今はあんな感じだけど。
「そりゃそうだな。俺たちだけでなんとかするしかねーのか。」
中川は納得した。
「それに俺たちがこの校舎に居ると藤崎が思ってるうちは刈田は大丈夫だ」
「なんでそんなこと分かるんだよ?」
なぜならあのとき。藤崎が中川を確認したとき。
明らかに藤崎の怒りの矛先は刈田から中川にシフトしていたようだった。
前々から中川は藤崎に目をつけられていたからだろうか。
「お前が問題児で良かったよ」
「うるせえ」
「てゆーか、お前それなに握ってんだ?」
中川は俺の右手を指さして言った。
は?
俺は自分が握っているものを確認した。
それはスマホ程度の大きさの四角いもので髭剃りのようにも見える。先端に二つの突起が付いていた。側面にはボタンが付いている。試しにボタンを押してみると。
バチバチッ!
突起から電流が流れた。明らかにスタンガンだった。
確か俺は逃げるためにクラッカーと刈田が持っていたものを交換した。
つまり刈田はあの時このスタンガンを握っていたのだ。
しかしなんで刈田はスタンガンなんか持っていたのだ?護身用か?
不思議に思っていると
カツ、カツ
廊下を歩くような音が聞こえてきた。それもヒールで歩くような音が。
まずい。さっきのスタンガンの音を聞かれたか?
ガラガラ!
藤崎が俺たちのいた部屋の扉を開ける音がした。




