9話・万引きしちゃったぜ
俺は男の子が不思議そうに去った後、コンビニの駐車場でうろうろしながら考えていた。
もちろんこのお菓子を返すか返さないについてだ。
返すにしてもどうすればいいのだろう?
そんなことをしていたらまた藤崎が目についた。
彼女はまだ雑誌を立ち読みしている。かと思ったら偶にため息をついている。
その姿をガラス越しに見ていたら藤崎と目が合った。
藤崎は俺のことが分かったらしい。あの中川と一緒に居る奴とでも覚えているのだろうか?
軽く会釈をすると藤崎も返してくれた。
と思ったら自分が読んでいた雑誌を見て急に顔を赤らめた。
なんだ?と思いちらっとその雑誌を見たら総合結婚情報誌だった。
一瞬『え!?藤崎結婚するのか!?』と思ったが偶にため息をしていたのを思い出して理解した。
彼女は結婚に憧れているのだろう。あの常に毅然とした態度でいる藤崎が。
それに気づいた瞬間俺はまたグッときた。
てかさっきの数倍グッときた。グッときすぎて心臓破裂するんじゃないかと思った。
そしてさらに気づいた『今、俺、めっちゃニヤニヤしてんじゃねーか?』と。
俺は自分のニヤニヤを隠すように急いでバス停に向かった。
そしてバスに乗っている途中であることに気づいた。
「菓子返し忘れてた」
俺は立派な万引き犯になっていた。




