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16号通りのアラビア語学校

 金曜日、横田国際空港の西側にアラビア語学校がある。私は敬虔な信仰をもっている女の子に関心を持ち、ミニロボット・タクシーで16号通りにあるアラビア語学校に行く。


 長ズボンに長袖のシャツを着る。スカーフを被り髪の毛が目立たないようにする。公立中学校では金曜日は半日で授業が終わる。その代わり土曜日が午前と午後に授業がある。

「ねえ、なんで地球の裏側にある悲惨な地域に行くの」

「だって、私たちだけが幸せで地球の裏側に住んでいる人は年々、生活状態が悪くなっているから。それはおかしくない。地球の裏側では電気もないし、あるのは奴隷制度に貧困。そんな状況を良くしようと先進国の人たちは、支援しているの」

「でも、200年以上も支援活動しているけど、一向に改善されない。それに、多くのボランティアが殺される。誘拐もあるし・・・」

「そうね・・・。言いにくいけど、脳を取り出すのを・・・、やめましょう・・・トラウマになるから。戸松さんに悪影響を与えるから」


 昔は国道16号線とよばれたが、拝島駅のところで寸断されている。拝島駅から青梅までモノレールが走っている。青梅から御嶽まで鉄道路線が残存している。拝島駅は横田国際航空のターミナル駅。燃料補給の線路が400年以上も存続している。拝島駅の下には、横田国際空港のリニアモーターカーの地下路線がある。羽田空港ゆきと、成田空港ゆきのリニアモーターカーで接続している。



 それぞれの空港には、わずか30分以内で到着できる。地下を猛スピードで相互の空港を連絡している。




 拝島から小平まで私鉄路線が残っている。とても古い路線。小川駅から先は地下を通る。小川駅に南先生が勤めている女学院の寮がある。玉川上水駅の近くに私立の「関東女学院」がある。近年、都内の人口が急激に減った。


 空港の西側の国道16線通りには、外国人の街がありいろんな国の人たちが住んでいる。周囲は森林に囲まれている。廃墟も多い。


「ねえ、私、小学生の時、人格検査を何度も受けたの。善良さにおいてはAクラス。この日本列島に永住する権利があるの。で、人格検査で問題ある子たちは、北海道の北端にある研修所に2週間も泊まり込みで人格検査を受けるの」

「そうなの。たしか残酷な描写の映像を見て、動揺するかどうか確認するのね」

「そう。小学校高学年から悪いことを、どんどん覚えるから。当然、公立小学校の教師たちも一緒に8年間も北海道の最北端の研修所で暮らすのよ」

「最近は北海道も開けてきたし、逆に東京は、どんどん人口が減ってきて」

「北海道には陸路も鉄道も未発達。外部にいくには飛行機しかないの。空港があって、その周囲に大きめの町があるの。でも、寒いし閉鎖された場所だから」



 要するに、人間の頭をゴルフのアイアンでものすごい力で打つ。目に見えないほどの速さ。それを見せる。脳と眼球が飛び出す。それで、なんとも思わないのは人格に問題がある。その他、いろんな酷い場面を見せる。動物をどのように扱うか、脳を観察する。動物をいじめて快感に感じれば、人格に問題がある。


 そのまま北海道の最北端へ送られる。高校を卒業するまで更生施設に入れられる。




 7月と8月に山奥に入りサバイバルキャンプを2ヶ月受ける。限られた資材で魚をとり飢えをしのぐ。それに、わざと一人だけ性格が優しいけど、頭が弱そうな子、力が弱そうな子も参加させる。そのような特別な子にどんなしうちをするか、衛星から、密かに隠している監視カメラで観察する。


 いじめをすれば、そのまま中東へ送られる。強制的に環境が劣悪なところへ永住を命じられる。

 

 性格が悪い人間は悪いことをすれば強烈な快感を得る。脳内に麻薬の1万倍もする強烈な薬品が作れる。生きたまま脳を摘出される。本人は自分が死んだことに気がつかない。摘出された脳から、生前の記録をコンピューターに記録する。無数の思い出がコンピューターの記録装置に入力される。


 

「戸松さんは知らないほうがいいことがたくさんあるわ。このあいだのようにトラウマになる危険性があるから。戸松さんの人格だと、とてもデリケートだから」

「そうなの。ときには知らないということも重要だわ。だって、今の時代は、情報量が多すぎる。だから、すぐに忘れるようにできてしまって」

「でも、大人になるともっと忘れるようになるわ」

 

 彼女は、高校を卒業したら一生永住してボランティアを受けるのか。それは、とても悲惨な状況の人たちを助けたいだけ。


 

 人間の脳は、いろんな成分の麻薬が作れる。それも高密度で大量に作れる。

 犯罪を起こしてた直後、頭をメスで切りつけると、頭から噴水のように幸福物質が吹き出す。


 人間は常に生きる活力が必要である。それが、足りないと、重度のうつ病になる。パーキンソン病という病気になり自分の体が思うように動かせなくなる。


 国道16号通りにモスクがある。肌を露出してはいけない。中東と北アフリカでは、宗教法によりイスラム教以外の宗教を信仰してはいけない。クラスメイトの女の子は、将来、イスラムに改宗して北アフリカで一生ボランティアをする。貧しい子供たちのために、文字を教えたり算数を教える。食事なども提供する。

「ねえ、ちゃんと髪の毛を隠して。スカーフを深くかぶって」

「はい」

「でも、あとで後悔するかもしれないわ。永住することになるわ」

「そうかも。でも、どんなにつらくても神様がついているから」

「ご両親はどう思っているの」

「反対している。まだ12だし、でも、考える期間は、まだ6年もある。それから、私もカムチャッカ半島の石器時代サバイバル訓練に参加するわ」

「やめて。とても辛いと思う。もう少したってもいいじゃない。まだ12歳の女の子には無理だわ。命を落とすかも」



 私はコンタクトレンズ状のコンピューターを目に装着した。

 目をつぶると、殺される人の瞬間の映像が立体的に見える。でも、痛みは感じない。恐怖もない。それは、私の脳は電脳化していないから。


「なんなの。この映像は。うす暗い」

 それから、臨死体験の映像が見える。思い出が走馬灯のように駆け巡る。そして、親族も迎えに来ていない。うす暗い霧に包まれている。両側に大きな崖がある。ひじょうに深い谷を歩く。うす暗い。電気がない夜のような暗さ。

 そこを歩き続ける。霧がある。私は不気味な気持ちを感じる。そして、はるか向こうに川がある。船をひとりで乗る。川を渡る。そして、私の映像がとぎれた。真っ暗になった。


「これが悪いことした人の臨死体験なの」

「そうなの。とても孤独で暗いの」

「きれいなお花畑があると思ったのに」

「そうね、彼は地獄に落ちたと思う」

「そう」


「ねえ、こうやってネット回線で自由に人間の心の中の映像、それに人それぞれの記憶をみることはプライバシーの侵害じゃないの」

「でも、これらは中東にあるクラウドビルからコピーしたものなの。数千万人分の脳内の記憶が保管されているの。なんで、あの人が悪に染まったのか、研究するために、全ての人にオープンしたの」

「ねえ、そんなことしたら、みんな悪人の記憶に影響されるわ。性格がわるくなるわ」

「でも、それを未然に阻止するために、悪人の思考を研究している。ある程度パタンが決まっている。大人になれば、次の行動が誰でも予測できるようになるの」

「じゃあ、あの関東女学院の南さんも、誰が何を言うか次の行動も予測できるのね。まるで予知能力だわ」

「でも、人間の心はランダムだから、予知というのは変だわ。予測するが正解」


 私たちの行動は、監視されているだけではなく、次の行動が予測されている。この日本列島で犯罪るす直前に警察につかまる。


 そして言葉は薬品を飲むことで、覚えられる。

 旧約聖書も人間の記憶にそのまま保存できる。


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