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サーティースリーフルーツ  作者: 双葉美愛
1/1

きっかけ

初書きの小説です。

全て私の空想から生まれた作品ですので、面白くないと思われるかもしれません。

しかし、最後まで読んでいただけたら幸いです。


ーあたしたちはこの夏、不思議な体験をしたー


「皆聞いてー!今日は外で歌の練習をします!皆集まってね!!」

クラスの学級委員長でマミこと富岡真奈美が言う。目はつり目で、真っ黒の髪を頭の上でお団子にしてまとめている。

「外でかぁ。暑そうやんなぁ。」

そんな事を呟くのは、真っ黒の髪で一応二重瞼のミアこと柊美琴だ。

「あーね。確かに暑そうだな。」

この超天然パーマで、やる気の無さそうな目をしているのはリーフこと、松牙光だ。

「夏は嫌だなぁ。まじで。暑いのはごめんだよー。」

「ごめん、でも、明日から夏休みだけん……。」

振り向くと、マミが申し訳なさそうにして立っていた。

「げ。マミ。聞いてたの?!えと、その、べっ、別に暑いってのが嫌なだけで……。歌は、ね!うん!楽しみだよ!!さぁ、早くグラウンド行こうかぁー!はははは……。」

慌てるミアを見てクツクツと笑うリーフだった。



「皆、集まってくれてありがとう!えっと、課題曲歌おうか。」

マミの指導により、クラスがまとまってきている。マミ達のクラスはそれぞれの個性豊かな人が多すぎている。

例えば、漫画大好き人間、野球バカ、サッカーバカ、方向オンチ、俊足野郎、女たらし、料理バカ、珠算バカ……などなど、とにかく個性が強いのだ。

それをうまくまとめているマミはとても凄いなと改めて思うミアとリーフだった。

ちなみに、ミア、リーフ、マミの3人は特に個性的だった。

ミアは霊力がら強く、あやかしの類いが見えているので、裏では霊媒師をしている。

リーフは見えてはいないが、声だけは聞こえるらしく、おまけに憑かれやすい体質だ。マミは料理好きで色んな人に料理を振舞っている。

「あーあ。明日から夏休みかぁ。宿題多すぎて萎えるー。」

「うわー。それだけは勘弁ってくらいの量だったしねー。」

今はもう歌い終わって解散をした後なので、心おきなく色んな話しをすることが出来る。

「そーいえばさぁ、今年の夏祭りってさぁ、マミとリーフも行くの?」

「え、あぁ、まあね。もちろん、ミアも行くんでしょう?ってか、行こうよ。」

「えーー。行くのはいいけど暑そ……ってぎゃぁ!」

ミアが口を開いた瞬間、突然佳奈こと永上佳奈がぶつかってきた。

「ったたた……って、佳奈!?どうしたの⁈」

「あ、あれ?え、何で??ここ、学校だよね??」

「え、あ、うん、そうだけど、なんでここに???」

「まぁまぁ。二人共、一旦落ち着こうか。」

慌てる佳奈をなだめるマミ。

佳奈の様子からしてただ事ではないと悟ったのであろう。

こういう時のマミはとても冷静で、とても頼りになる。

佳奈の話によると、家に帰ってドアを開けると学校に来てしまったらしいのだ。

「怖い怖い怖い怖い怖い。嫌な予感がするんですけど??ねぇ、ミ、ミア?な、なんもない、よね?」

「んーー。なぁんか引っ掛かるんだけどなぁ。でもそれが何なのかまでは分からん。」

「そんな……。」

「あ、でも嫌な予感っていうのは私も感じる……。」

霊感が人よりも薄いマミはその分、勘が驚く程鋭い。

「……で、どーする?マミ、リーフ……?」

「どーするって言ったって……どうすれば……。」

「ミア、嫌な予感がするっていうのは絶対なんだけど……。」

「あーーーーもう!!行かねぇワケにはいけねぇってことか……。」

こういう事をいう時のミアはやる気有りだという証拠。だから、マミとリーフも覚悟を決めた。

「よし、わかったよ。あたしら行って見てくるから、佳奈はここで更に他に誰か来ないか見ててくれる?もし、佳奈と同じように皆来たらまずは一応事情を聞いてみて?で、必ずここで待っててね!」

そう言い残して3人は走り出した。



「ね、ねえ?……ミア……。」

「ん?何?どしたの?リーフ。」

「分かってんだろ!!」

そう、リーフはお化けが大嫌いなのだ。

しかも、心なしか、辺りは夏だというのに寒い。

「二人共落ち着いてね?今ちょっとヤバイから。私から絶対に離れるなよ。いいよね?平常心だ、平常心……。」

「え、い、今どうなって?!」

不安なマミはいつもの元気が無い。

「あたしらの周りに、いるんだ。」

「い、いるって、何が??!!」

「それさ、言って欲しいの?」

マミを見てかなり不敵に笑うミア。

「い、いや、いい!言わんで!!」

慌ててマミが全否定する。

「ねえ、ミア。何か、気味悪いんだけど?」

「あー、考えすぎたという事にしておこう。」

「えー!?」

「ほら、歌にもあるじゃん。なんだっけ?あの……」

「お化けなんてないさお化けなんて嘘さ♪……そうだ。お化けなんているわけない!怖くない怖くない。」

と、その時、リーフはミアの顔色が悪いことに気が付いた。

「お、おい。ミア、お前、大丈夫か?顔色悪りぃぞ??」

「だから、言ったろ?やばいからって。三人分の結界張ってんだから、結構キツイんだって。」

「結界?なんで……?」

「あれ?嫌なら解くよ??」

またもや不敵に笑うミアは汗をかいていた。

「いやいや!!冗談キツイからね!?」

「あはは、しぃんぱいすんなって!私がいる限り、二人だけは必ず守り通すからさ!」

「いや、二人だけはまずいでしょ!だってリーフは頼りないから!!」

マミはかなり真剣に言ったつもりだったが、ミアはそれがツボに入って大爆笑していた。



取り敢えず、ミア、マミ、リーフの三人は学校から一番近いリーフの家にたどり着いた。

「よし、開けるよ。」

リーフが扉を開けると、そこは普通のいつものリーフの家だった。

「あれ?普通じゃない?」

「想像以上に普通じゃん?」

リーフとミアがそのまま家の中へと入ろうとした時、マミが二人を止めた。

「待って!ミア、リーフ、これは……罠だと思う。勘だけど……でも、そんな気がする。」

マミにそう言われて二人は我に返った。

罠だという線を忘れていた。ここで、ようやく後ろを振り向くと、そこにいつもの道が無かった。

「「!!」」

「リーフ、マミ……。手ェ出して?ってか、私の手握って?それで、絶対離しちゃダメだからね?」

リーフとマミは目で合図してミアと手を繋いだ。

「行くよっ!!」

こうしてミア、リーフ、マミの三人は精一杯足を踏み入れた。



ミアが目を開けると、そこには何故か誠こと音陽誠が立っていた。

「あ……れ、誠?」

ミアはあまりにも目を硬く閉じていたため、視界がぼんやりとしている。

「あ、起きた?大丈夫?」

「え、あ、うん……って!!そんな事より、こっ、ここどこだ!」

「ここは……」

「〜〜〜っ、ミア!!ギブギブギブ!!手ェ、痛ったい!!」

「ミア!離して!!!」

見るとそこにはリーフとマミがミアを睨んでいた。

「あ、悪ぃ。……ってか、リーフ!マミ!よかった!無事だったんだね!!」

「うん。」

「ってかそんな事より、佳奈の言った通りじゃん。」

「あ、そぅだね。ってことはさ、例外がなければ3の3全員が此処に集まるってことか。」

「うん、多分ね。現にもう何人かは来てるみたいだし……。」

「うーん……、そうなってくると、マミの力が必要不可欠になってくるんだけど、悪いけど、皆んなをまとめるの、頑張ってくれないかな??」

恐らく、このクラスをまとめるのはやはり、マミしかいないと判断した結果だ。

「でも、こんな時にまで、私が引っ張ってもいいのかな??」

「大丈夫だって!!まあ、マミ限定だけどね。」

「そーそ。なんかあってもミアがいるし?」

「「いや、そんな問題じゃないだろ!」」

すかさずマミとミアが突っ込みを入れる。

「とにかく、今はどっしり構えとこうよ。」

「おぅ!ってかそれしか出来ないしね!」

「まぁね。」

実際すぐに3の3の皆んなが集まった。

もちろん、マミが皆んなをきちんとまとめたからだ。

「おい!まず、この今の状況を説明しろよ!」

こう言ったのは颯こと、串崎颯だった。

説明しろと言われていたらしいマミはかなり困り果てていた。

「いっ、いや、その、えっと……。」

「なんだ。考えも無しに俺たちを集めたってことかよ。いい加減にしろよな!」

この一言でミアの怒りスイッチが爆発した。

「おい、コラテメェ、何この状況をマミのせいにしてんだよ?私らだって何がどうなってんのかわかんねぇんだよ!それを説明しろだぁ?!ふざけんじゃねぇぞこのやろー!!それにっ……ん!!ん"ー!!もがもがっ!!!」

「はいはい。わかったわかった。だから落ち着こうな?ミア。」

暴れ出すミアをリーフが抑える。

が、しかし、これくらいではミアの怒りが鎮まるわけもなく、未だに暴れ続けている。

「てゆうかさ、何がどっなってこんな状況なんだろね?」

ユキこと 圓寺由樹が頭を抱える。

「うーん……。それがわかってたら、私らこんなトコで話してないだろうね。」

と優こと藤岡優がポツリと呟いた。

「でもさ、こんなのってなんかドキドキしねぇ?虎なんか、さっきから変な想像してんだよな?」

こんなアホな事を言うのは龍こと大狩龍だ。

「な、なんでそんなこと言うんだよ!?」

当の本人、虎こと山谷虎はかなり動揺している。その証拠に耳まで真っ赤だ。

「おい虎〜。」

それを面白がっておちょくるのは諒こと松表諒だ。

「とにかく!今はっきりしてんのは、食糧と飲みモンがないと俺たちは遅かれ早かれ、皆んな死んじまうってコトだよね。」

かなり現実的なことを言うのは、翔こと、森草翔だった。

「そうじゃん!このままだと私達、皆んな死んじゃうんだよ!?」

死ぬ、という単語が出てきて、海こと坂下海が慌てだす。

「だぁいじょうぶって。死なない死なない。」

正之こと並元正之が何を根拠にそんな事を言うのか理解不能だ。

「あぁ、ほら、正之は死にたくねぇからそんな事言うとやろ。」

と、大輔こと酒池大輔が言う。

「なら、今までで、何かヘンなことがなかったか、思い出してみよう!」

そうマミが言うと、皆んなは必死に考えた。

すると、いつの間にか大人しくなっていたミアが、ようやく思い当たる節を見つけた。

「そうか!あの時の違和感はコレか!!」

ミアが独りで騒ぎはじめだので、皆んなはビックリしてミアを見た。

「ミア、違和感って??」

驚くリーフをよそに、ミアは淡々と答えた。

「いや、私はさ、何か引っかかるモンがずっとあったんだけど、それが何かまではわからなかったんだよね。でも、今ようやくわかったよ。」

「な、何が……」

話を促すマミ。

「だぁってさぁー、皆んな、考えてもみてよ。普通どっかのクラスが外で、しかもこんな大人数で歌うたってたら、それを気になった誰かが窓から見てるはずでしょ?」

「まぁ、確かに。」

「でも、誰一人として私達を見てる人はいなかった。多分、この時からおかしいんだよ。」

「へぇー……って、それってどちらにしろ家には帰れないってことじゃないの?!」

「リーフ、落ち着けって。これはあくまで私の予想だけど、今はきっと時空がズレてるんだ。」

「ちょ、ちょっと待ってよ!時空がズレてるって……なら、今私達がいるココはどこだよ!?」

時空、という聞きなれない言葉が出てきたリーフはパニックになっている。

「……今、私達がいるココはおそらく、現実と現実ではない世界、つまり異世界との狭間なんだよ。だから、この時空のズレを修正したらきっとまた帰れる。」

「おい、ちょっと待て。その、時空とやらはどうやって直すんだ?」

「それは、うーん……よくわかんないけど。」

「よくわかんないってお前っ!!」

「まぁまぁ、颯、落ち着けって。なるようになるって。」

そう言って颯をなだめたのは修介こと鉄口修介だった。

「いや、いいんだ修介。そいつが言ってることは正しいし。」

と、その時だった。

いきなり地面が揺れ始めたのだ。

「お、おい、何が起こってるんだ?!」

そう叫ぶ颯の声が聞こえたような気がした。

そして とうとうミア達は立っていられなくなり、あまりの衝撃に3の3の全員が気を失った。







書いているうちにひとつひとつのキャラが個性的になってしまいました。

本当にこんな人いたらとても世の中は明るいだろうなぁと思いながら書きました。

次話も頑張るので、是非読んでみてください。

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