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開かれる扉

「まずいな」

 絵里子が声を上げた。

「暴走始めちゃった!早く返してしまわないと・・・」


 そして、ウィジャボードが暴走を始めた時と、まさに同じタイミングだった。

 突然詩織の体が痙攣を始め、ウィジャボードを握りしめたまま、体をブルブルと揺らし始めた。


「ちょっとリコ!これどういうこと!?」

「わかんない!こんなの初めてだから・・・」


 七海は詩織に飛びつくと、彼女の体を強く揺らした。

「ちょっと!起きてシオリ!!目を開きなさい!!」

 しかし、詩織は体を痙攣させたまま、七海の呼びかけに反応を示さない。

 そうしているうちに、詩織の痙攣はさらに強くなっていく。

「シオリ!!!」


 その時だった。

 詩織の傍にいたティムが、大きくうなり声を上げると、詩織の握っているウィジャボードに噛み付いたのだ。

 ティムはそのままウィジャボードを彼女の手から引き離すと、それを壁に向けて投げつける。そしてそれは強く壁に打ち付けられると、そのまま2つに折れて壊れてしまった。

 そして、それと同時だった。

 詩織の痙攣が止まると、彼女は気を失い、そこにパタリと倒れてしまったのである。


 突然の出来事に、唖然とした表情を見せる七海と絵里子。

 しかし、しばらくして七海が我に返った時、何が起きたかを理解した彼女は、急いで詩織を抱き起こしながら、強い口調で絵里子に詰め寄った。


「あんた!シオリにこんな危険なマネさせて、シオリに何かあったらどうするつもり!!?」


 呆然としていた絵里子だったが、七海の声を聞いて、彼女もはっとした表情を見せた。


「ごめん、ナミ・・・。まさかこんなふうになるなんて・・・」

 絵里子としても、まさかこんな状態に陥るとは、全く予想していなかったのだろう。

 いつもの少々おちゃらけた雰囲気はすっかり消え去っていて、いかにも消沈した様子で七海の顔を見た。

「ティムがいなかったら、今頃どうなっていたか・・・」


「ナッちゃん、やめて・・・」

 騒然とした雰囲気の中で、七海と絵里子に、誰か話しかける者がいた。

 グッタリしていた詩織が、ゆっくりと顔を上げたのだ。

 詩織は疲れたように体を起こしたが、再び倒れそうに体をよろめかす。

 先ほどのウィジャボードで、かなり体力を消耗した様子だ。


「シオリ!大丈夫?」

 詩織は目をぱちくりさせながら七海の顔を確認して、壊れたウィジャボードのかけらに目をやった。


「ナッちゃん。あたし、見えたんだ。リコちゃんのお陰だよ。

 あたしに・・・・・、花子さんが見ていたものが、はっきり見えたの」

 そして詩織はティムを抱き上げると、2人にこう伝えたのだ。


「あたしたち、もしかしたらとんでもない思い違いをしていたのかも・・・・。

 花子さんは、生徒たちを狙っていたんじゃ無いの!

 あたしたちを・・・・・・守ってくれていたんだよ!!」


       ☆


 その日の朝。籠目小学校は大騒ぎの1日となった。

 詩織が朝1番で登校すると、真っ先に職員室に飛び込んだ。そして千佳先生の手を引き、例の2階のトイレ前まで彼女を連れていったのである。

 前にも記したが、2階のトイレ前には、鍵の紛失により長い間施錠されたまま使われていない古い倉庫がある。

 古くて頑丈そうな大きな錠前。

 しかし誰がどう見ても簡単には開きそうもないそれを詩織が触ると、いとも簡単に錠前が外れたのである。


 そして、その倉庫の扉の向こうにあったもの。それは・・・・。


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