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狙われた真夢①

 唐突だが、小学校には委員会活動というものがある。


 学校内での様々な仕事、生活について、生徒たちが自ら責任を持って行動できるように設けられている組織の1つで、それぞれの学校において、いろいろな委員会があるようだ。

 主に高学年がその活動の中心の役割を果たしているのだが、ここ籠目小学校では、主な活動には3年生からが参加しているのである。

 詩織と真夢も、それぞれ「美化委員会」と「図書委員会」に所属していて、まさに本日はその会合がある日だった。


 2人は委員会活動が終ったら一緒に帰ろうと約束していて、先に仕事が終った真夢が、教室で詩織が戻ってくるのを待っていたのだが・・・・。

 この日、すっかり帰り支度を済ませた真夢は、教室で待ちぼうけをくっていた。

 今日は詩織の仕事がまだ残っているのか、まだ彼女が現れる気配がない。

「遅いな。シオリちゃん、まだ終らないのかな?」


 真夢はランドセルを背負ったまま廊下に出ると、辺りを見回した。

 学校内に、もう生徒の姿はほとんど見当たらない。

 全くいないというわけではないが、いつもの校内の雰囲気に比べると、かなり閑散としていて、まるで自分1人だけそこに取り残されたような印象を受ける。


 そして、少し気味悪いような雰囲気を感じた真夢が、再び教室に戻ろうとした時だった。

 真夢の耳に、彼女を呼ぶ声が聞こえた。

「マム!マム!」


 声のする方を見ると、そこには詩織の姿があった。

 彼女は真夢の姿を確認すると、真夢に向けて大きく手を振っている。

 詩織がいる場所。そこは上級生の教室が並んでいる2階への階段の上だった。

 普段籠目小学校では、下級生は特別な用事がない限り、2階には上がってはいけない約束になっている。

 詩織や真夢が2階に行くことは滅多にないのだが、今日はなぜかそこに、詩織が立っていたのだ。


「シオリちゃん!用事も無いのに上に行っちゃいけないんだよ。どうしたの?」

「マム!大変なもの見つけてしまったのだ!早く来て!」

 詩織が真夢に手招きをした。

「何?どうしたの?」


 仕方がないと思った真夢は、階段を上っていった。

 詩織の様子が、いつもとはなんとなく違うような気がする。いかにもソワソワしているといった様相だ。

 そして、少し不審なものを感じながらも、真夢が上までたどり着いた時だった。

「どうしたの?シオリちゃん。」


                 ★


 急に、真夢の瞳が琥珀色に輝いた。

 真夢には、他人にはないある特殊な能力がある。それは、《真実の瞳》

 これは、銀色の不思議なネコ『ティム』が詩織と真夢の前に現れた時、彼女の体に宿った能力だ。


《真実の瞳》は、隠された心やものを見通す能力がある。

 しばらくその能力は眠ってしまったかのように陰を潜めていたのだが、なぜか今、その《真実の瞳》が再び輝いたのである。

 そしてその瞳は、真夢にある事実を伝えていた。


 違う!この子、シオリちゃんじゃ無い・・!?


 突然、詩織の姿をしたその少女が、真夢の手を取ると、彼女を女子トイレの中に引きずり込んだのだ。

 その力は意外なほどに強く、真夢が簡単に逃げられるようなものではない。

 真夢は大声で助けを呼ぼうとしたが、少女は、すぐに真夢の口を自分の手で塞ぐと、そのまま彼女をトイレの個室に引き込んでしまったのである。


 真夢は声を上げようと、手足をバタつかせた。しかし、それでも彼女の力は少女に及ばない。

 

 なんとか逃げないと!!

 真夢は必死でもがいた。


 彼女は少女の手に噛み付きもしたが、痛みを感じないのか、いっこうに怯む気配を見せない。


 その時。女子トイレの中に、誰かが入ってくる気配を真夢が感じた。

 個室にわずかに開いた隙間から見ると、それは間違いなく『人間』だった。

 誰だかはよくわからないが、そこには大人の男性がいたのである。

 何の用事があるのかはわからないが、なぜかトイレの中をキョロキョロと見回している。


 助けて!!


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