そっちの無能じゃないからねっ!
青海君と龍さんが家に帰り、双子が寝静まった真夜中。私は琥珀と蒼炎を連れて、近くの公園に来ていた。
「!お嬢様、魔動機の使用した形跡があります。」
「しかも、かなり強力な異能ですね。残り香が全く消えていません。」
彼等は、公園の中に入った途端漂っていた異能の残り香に気付き、警戒体制を取りながら辺り周辺を見渡している。
普段異能を使うと、消滅するときに異能の欠片が空気と混ざり、残り香としてふよふよと浮いている。そして、その残り香は異能を持たない人達にとって毒となり、体調を崩す。その為、使用した後は<浄化>の魔動機(異能者は必ず所持しなきゃいけないんだよね。)を使って綺麗にしていかなきゃならないんだけど、この分じゃ全然浄化してないよ。
「うーわ。これ絶対あの人達の仕業だよね。」
私、あの人達苦手なんだよね。私のテンションがだだ下がりしていたら、
「「お嬢様!!」」
「ん?」
横から何かが飛んで来たので、私のもう一つの異能<結界>を張り、それを防いだ。
あー、ナイフが数本その場に落ちてる。危ないなぁ。
「ちっ!化け物め。」
「化け物だろうが何だろうが、人にナイフ投げたら駄目ですし、この世界の五分の三は貴方達のいう化け物ですよ?いい加減現実見てくださいな、<魔狩り>さん。」
「黙れッ!!」
此方を憎々しげに睨んでいる男の人は、<魔狩り>というアンチ異能者が集まった組織で、度々この様に異能者に危害を加えようとしたり、世界に必要無いのだと糾弾していたりしている。
世界中に異能者が何人居ると思ってるんだか。しかも危害を加えるのに、魔動機使ってるとか矛盾してるよね。気付いてないのかな?
「あ、そうだ。<魔狩り>さん。魔動機使うなら、<浄化>くらいしていって下さい。貴方達は同じ無能者を傷つける気なんですか?」
「貴様っ!我々を侮辱する気かっ!」
えー。その無能じゃないんですけど、、。
どうしよう。
「いっそ帰ってくれませんか?」
「我々を舐めるなよ、この<魔女>めっ!!」
ほんと、どうしよう。話聞いてー。(泣)
<魔狩り>が桜綺に対し言った<魔女>とは、
彼女が周りの人達に付けられた称号です。
使い魔を連れ(琥珀と蒼炎)、琥珀手製の魔女のとしての正装であるゴスロリのドレス(琥珀の趣味)を着て魔法(異能)を操るので、いつのまにかそう呼ばれていました。
ただ彼女は不本意に思っていますけどね。(笑)