双子と青海君が仲良くはしゃいでる。
「初めまして。青海 玲です。春藤くんたちと同じく紫呉さんの所で、弓道を習っています。」
青海君のお母さんと龍さんのお母さんは、高校からの親友らしく、遊びに来るついでに息子を教室に通わせているらしい。にしても礼儀正しいな。
「いつも通り双子を送ろうとしたら、一緒に行くって言ってさ。」
だから連れてきた、と龍さんは苦笑しながら言った。 いつも、ありがとございます。
「すみません。幼馴染み以外で、僕と同じくらいの人とあまり会ったことなくて。」
「もう少し話したくて、だから家につれてきたんだ。ねぇさん、ごめんなさい。」
青海君とつー君が、二人揃ってションボリしていた。別にいいけど、つー君人見知りじゃなかったっけ?
ももちゃんの方はというと、私にくっついて青海君から隠れようとしていた。それじゃあ隠れられてないよ?可愛いけど。
「怒ってないし、つー君に友達が出来るのは良いことだけど、お母さんは知ってるの?」
「あっはい。さっき許可もらってきたので、後でむかえに来てくれます。」
「そっか。」
なら、安心かな?つー君も楽しそうだし。
「そういえば、双子にくっついてる使用人?護衛?どっちか解んないけど、あれ魔動機なのか?」
はしゃぎながらじゃれつく彼等を、楽しそうに見ていた龍さんが何かを思い出したのか、私に聞く。
「ここの使用人は、全員魔動機ですよ。春藤は、魔動機を専門にしている一族ですから。」
「あぁ。そういえば聞いたことあるな。日本にある魔動機は、ほとんど春藤がつくったものだって。」
そう。「春」の家は、魔動機を研究したり造ったりして世間に貢献してきた一族。「春」の名を持つ家には、必ず魔動機が存在してる。
そのおかげで名門にまで名をあげたんだけど、私達って魔動機を造ってただけで有名になりたいとか思ったことないんだよね。
今でも、一般人だと主張する人達もいるし。
「そう聞くってことは、何かありました?」
いままで聞いてこなかったから、ちょっと気になる。何かしたのだろうか。
「ねぇさま。わたくしの瑠璃と紅炎が、なんだか変ですの。」
「僕の柘榴と翠炎も。何かにけいかいしてるみたいに。」
瑠璃と紅炎、柘榴と翠炎は、それぞれつー君とももちゃんの専属の使用人兼護衛。いつも双子を守ってくれるから助かってます。
それにしても、
「警戒、か。何かあったの?」
私が聞くと、青海君が少し考え、
「帰るとき、つよい風がふいて前が見えなかった時が、ありましたね。」
「そうでしたわね。その時から皆、こわい顔をしてましたもの。」
おお。ももちゃんが自分から、青海君に話し掛けてた。成長してる!
じゃなくって。
強い風が吹いていた、ねぇ。




