弟が、友達(仮)を連れてきた!
「桜綺お嬢様、全て干し終わりました。」
「では、私はこの籠を室内に戻してきますね。」
「あ、うん。ありがとう琥珀、蒼炎。」
雲一つない、青空広がる日。
私は、私に仕えてくれてる使用人兼護衛の、琥珀と蒼炎(彼等は魔動機)と一緒に、中庭で洗濯物を干していた。
私達が住んでる春藤邸は、和風モダンな造りの、一般家庭には手を出せなさそうなかなり広い屋敷だ。
今世ならともかく、前世の私は一般家庭で育ったので(前世の旦那は、そこそこ良い会社の社長でした。)、5年近く住んでても、未だに迷ったりする。
そのせいか双子や使用人達には、方向音痴だと思われてる。違うのに。
ちなみに双子は、彼等付きの使用人達と共に、紫呉家の元へ習い事をしに行っている。結局、華道と弓道は習うことにしたみたい。
「さて、次は部屋の掃除~。」
「お嬢様、私もまいります。」
「ねぇさま、帰りましたわ!」
「ねぇさん、ただいま。」
夕方、双子が習い事から帰ってきた。
出迎える為に玄関に行くと、そこには龍さんと知らない男の子がいました。何このデジャヴ。
「あー、お邪魔します。こんばんは、桜綺。」
「お邪魔します。」
龍さんが小さく、男の子が礼儀正しく頭を下げ、挨拶してきた。お邪魔されます。
「えーと、つー君達のお友達?」
「「ううん。しょたいめん。」」
双子の友達かと思ったのに、二人は首をふって否定した。違うのかよっ。
結果を言えば、男の子は攻略対象でした。
彼の名前は、青海 玲。色家「青」の出身で、金髪碧眼のクォーター。
ゲームだと、最初に主人公と出会うキャラクターで生徒会副会長だったはず。龍さんはともかく、双子とは、仲良くなかったのに。
ちなみに悪役の時の桃華は、「赤」の攻略対象である生徒会長ルートのライバルキャラで、生徒会長の幼馴染みの青海君と犬猿の仲なんだよね。
そんな子が、どうして双子と一緒にいるんだろ?
青海 玲<おうみ あきら>
金髪碧眼。
正統派美形の王子様。
いつも笑顔で、敬語を使う。他者に親切に接する為、教師受けが良い。ただ、仲が良い相手には毒舌が飛び出してくることも。
能力は、水 召喚<氷狼>