うちの使用人は面白いのがいっぱいです。
「この魔動機の残骸を、虹原様の元へ渡してきましょう。何かの研究に使えるかも知れませんし。」
蒼炎が突然ものすごく綺麗な笑顔で、そんなことを言い出した。
「え、やっ、恭也君は要らないんじゃないかな・・。」
「蒼炎は、本当に虹原様が嫌いですね。」
琥珀がしみじみしながら言う。いやいやっ。しみじみするとこじゃないよね!?ていうか嫌いって何!?
「毎度何かがあるとお嬢様に泣きついてくるので、いい加減鬱陶しいんです。彼は大人なんですから自力で何とかすれば良いものを。」
真っ黒いオーラを出しながら、ニッコニコ笑っている。怖いよソレ。
あ。どうして私と「色」の筆頭であり、彩季学園理事長の虹原 恭也が知り合いなのかと言うと、
なんと恭也君も転生者でした!前世はこのゲームの開発者なんだって。(なんで気づいたのかは後で話すとして。)
そのせいか、時々愚痴を言いに家にやってきては私や双子にギューギュー抱きついてくる。
恭也君曰く、主人公の子が本家に来ては「あなたは私の物なのよ!私がヒロインなんだから!」と纏わり付いてきて自由に動けないらしい。
私としては、主人公の子が転生者だって解ったから良かったけどね。ていうか主人公、痛い子か。
・・・ん?あれ?確か主人公って、一般家庭で育って両親が事故で亡くなった時に初めて自分が「虹」の血を引いているって知るんだよね?
あれかな。物語が始まる前に攻略対象の好感度あげようと思ったとか。何かいるよねそういう子。恭也君の好感度がた落ちだけど。
「ていうかもう帰ろう。もう誰もいないし。・・・この服も脱ぎたいし。」
今私が着ているのはゴスロリのドレス。
全体をアイボリー色に染めて、黒いレースとリボンはふんだんに使い、スカート部分はふわふわとしているように見えて実は重いという。因みにヘッドドレス付きでございます。
この服のせいか、おかげか、体力と筋力が鍛えられているけど私まったく嬉しくない。
「何をおっしゃるんですか!お嬢様の可愛さを引き立てる為にせっかく作り上げたものですよ!?お似合いです!」
ゴスロリで?
本当に服のことになるとテンションが上がるね琥珀。目がキラキラして双子みたいだよ?
「家に着きましたら写真撮りますからそのままでいてくださいね。」
蒼炎はにこやかにカメラを片手に持ち言った。
え、撮るの?ていうか脱げないの?なんでカメラ持ってるのかな?
ツッコミ所が多すぎるうえに逆らえないオーラが出ていて、私はガックリと項垂れました。まる。