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白と黒の神話  作者: Aldith
10/11

〔十〕

 聖教皇を脅かすような形で馬車を手配させたセシリア。しかし、彼女はそのことを気になどしていなかった。聖教皇がアルディスを隠すということがなければここまで来る必要はなかった、という思いがセシリアにあったせいだった。その馬車の中にはウィアの服をねぐらに決め込んだ神竜も当然の顔をして乗っている。神竜は大神殿で神竜として崇められる生活よりもグローリアでの気楽な生活を選んだのだった。

「それはそうと、このまま無事に帰れると思う?」

 馬車に揺られながら、ミスティリーナは誰にともなくそう言っていた。

「このまま、何事もなく帰ることができればいいんですがね」

「あんたの口ぶりじゃ、何かあるのが当然っていう感じがするけれども?」

 ウィアの言葉に納得するものはある。しかし、それに素直にうなずくのが嫌なミスティリーナはそう言っていた。そんな彼女の様子にウィアは仕方がないだろうという顔をしている。そんな二人をみた神竜は、ウィアの服の中から首を出しているのだった。

『このままという方がおかしいじゃろうな。たしかにあやつのやったことは問題じゃった。じゃが、それは聖王女を守っていたとも言えることじゃったからの』

「あのエロ親父がね……」

 思わずそう呟いたミスティリーナ。しかし、この場にはアルディスもいるということに気がついたのだろう。慌てて口をおさえている。もっとも、アルディスはミスティリーナの言葉の意味がわからないとみえて、キョトンとした顔をしていた。それでも、交わされている話の内容はわかっている。彼女自身も気にしたように呟いているのだった。

「何事もなく、グローリアに戻ることはできませんの?」

 不安そうなアルディスの声。そんな彼女の手をしっかりと握っているカルロス。

「心配するな。必ず、お前をグローリアまで連れて帰る」

 力強いその言葉にアルディスは安心した表情を浮かべている。そんな時、彼女はセシリアの様子がおかしいことに気がついていた。

「セシリア、どうかしたの? ずっと、黙ったままだけれども」

 セシリアが今までに無理をしていたのは間違いがない。そのことはアルディスにも簡単にわかることだった。だからこそ、彼女はセシリアがどこか具合を悪くしているのではないかと気にしているのだった。

「アルディス様、大丈夫です。ご心配をおかけしました」

 心配をかけまいとそう言っているセシリアだが、その視線はアルディスを正面からみることはしていない。そんな彼女の様子に気がついたミスティリーナは、アルディスがカルロスと話し始めたのを確かめると、セシリアの脇腹をつついているのだった。

「リア、本当に大丈夫?」

 おおっぴらにきくことはできないが、今のセシリアをほっておくこともできないとミスティリーナは思っているのだった。

「大丈夫。気にしないで」

 ミスティリーナの心遣いがわかるセシリアは、彼女だけに聞こえるように囁いている。そんな二人の様子をみていたウィアはホッとした様子も浮かべているのだった。彼なりにセシリアのことは気になっていても何かができるわけではない。彼女にはミスティリーナがついていると判断した彼は、もう一つの心配を片付けようと服の中から神竜を引っ張り出しているのだった。

「そろそろ、聖教皇の結界を抜けますよ」

『そうじゃのう。そう言うお主は結界をはれるのか?』

「仮にもリンドベルグの名をいただいています。守護の結界もはれないようなら、長から半殺しにされますよ」

 神竜の問いかけにいつもの調子でこたえるウィア。そして彼は馬車の周りに守護の結界をはりめぐらせていた。

『さすがじゃのう』

 ウィアのはった結界の強度をそれとなく確かめた神竜は感嘆の声をあげている。それは神竜や聖教皇が創り上げる国一つを守護できるほどのものではない。しかし、馬車はきちんと守ることができるものである。これならば、よほどのことがない限り大丈夫だと神竜は判断したのだった。

『やはり、リンドベルグの名は伊達ではないというわけじゃの』

 神竜の言葉に悪びれた様子をみせていないウィア。そうやって話している間にフェーベの聖域はいつの間にか過ぎ去っている。しかし、ウィアがはった結界のおかげで安心して先を進むことができるのだった。そんな中、ずっと馬車に揺られているということにミスティリーナが音をあげかけているのだった。

「ずっと馬車に乗っているのって疲れるのね」

 うんざりしたようなミスティリーナの声。それもそのはずだろう。普段であれば馬車で移動するなど考えてもいないのだ。馬車はたしかに聖教皇が手配しただけのことはある。スプリングがよく効き、乗り心地はいい。座り続けることを考えて、マットもクッションも上等なものが使われている。しかし、そうはいってもじっとしているというのは肩が凝るものだろう。それは、馬車に乗るというのが大勢で乗る乗り合い馬車くらいしか経験がないミスティリーナには当然のことだろう。そして、そんな彼女の様子に気がついたセシリアはどうしようかというような顔をしている。そのセシリアの表情にアルディスは馬車の外をうかがうようにしているのだった。

「セシリア、泉があるみたいね。少し休みましょう」

 アルディスの言葉に逆らえる者がその場にいるはずがない。口にすることがないだけで、みんな疲れているのだった。しかし、その中でウィアだけが表情を曇らせようとしているのだった。

『お主が気にしておるのはわかる。じゃが、休まねばならぬのもわかるじゃろう』

「それはそうですが……」

 神竜の言葉にもどことなく歯切れの悪い調子でこたえているウィア。その話し声は小さなものであるためか、他の誰も気にしていないようにみえる。というよりは、休息できるという喜びの方が強かったのだろう。

 やがて、馬車は澄み切った水をたたえた泉のそばに止まっている。そして、セシリアが馬車の扉をあけようとした時、ウィアは自分の危惧していることは伝えておかなければと思ったようだった。

「外に出るのはいいですが、馬車からあまり離れないようにしてください」

「どうしてよ」

 ちょっと不満げなミスティリーナの声。そんな彼女だけでなく、セシリアたちにも聞こえるようにウィアは喋っている。

「このことは不安を与えるだけなのでいいたくなかったんですが、私の一族になされている報告からも明らかなことですし……」

 言葉を探すようにして喋るウィアの様子にミスティリーナは苛々したようだった。言いたいことはサッサと言え、といわんばかりの表情を彼女は浮かべているのだった。そんな彼女の様子に苦笑いをしながらもウィアは自分が知っていることを話し始めていた。

「今回もそうなる可能性が高いので、聞いてください。アンデッドは自分が獲物と狙った相手をなかなか諦めないのです」

「何ですって!」

 ウィアの言葉はセシリアにとっては信じられないことだったろう。彼の言葉が本当なら、一刻も早く安全な場所に移動しないといけない。しかし、そんな場所があるのかとセシリアは頭をかかえこんでいた。グローリアにある神竜の結界をシュルツとジェリータの兄妹はあっさりと破ったのだ。ならば、どこが安全な場だといえるのか。悩むセシリアの耳に聞き覚えのある声が聞こえていた。

「さすがはセシリア様ですわね。大神殿を見張っていて正解でしたわ。セシリア様は見事に聖王女を呼び戻していらっしゃる」

 そう言うなり笑い出すのはマレーネ。自分の正体が暴露された以上、二度と姿をみせないだろうと思っていた相手があらわれたことにセシリアは驚いているのだった。ポカンとした顔で彼女はマレーネをみているが、マレーネは気にもしていない。

「お姫様、いらっしゃい。あなたを待っている方がいましてよ」

 そう言いながらアルディスを手招いている。そして、それに魅入られたようにアルディスは引き寄せられている。

「アルディス!」

 カルロスが呼ぶ声も彼女には届いていないのだろう。アルディスは自分を招くマレーネだけをじっとみつめている。

「やっぱり、お人形ね」

 マレーネの言葉にキッと唇をかんでいるカルロス。彼は操られているようなアルディスの腕をしっかりと掴んでいる。

「アルディス、目を覚ませ!」

 しかし、彼女の顔に浮かんでいるのはぼんやりとした空ろなもの。そんな彼女をカルロスは揺さぶっているが、何の反応もかえってこない。

「アルディス様に何をしたの」

 アルディスの変化の原因がマレーネだと判断したセシリアは彼女に詰め寄っている。しかし、マレーネは薄笑いを浮かべているだけだった。

「面倒だわ。皆さんを招待いたしましょう。でも、そこの口の悪い蛇はダメだけれども」

 マレーネに蛇と言われた神竜は本来の竜体に戻ろうとしている。それをみて嘲笑っているマレーネ。

「年寄りの冷や水よ。年寄りは年寄りらしく大人しくしておきなさい」

 その声と同時に吹き荒れる風。それがおさまった時、その場にいるのは竜体に戻った神竜だけだった。そこに一陣の風とともに新たな人物が姿をあらわしていた。

「しまった。間に合わなかったか! 君がついているから大丈夫だと思っていたのにね」

 そう言って冷ややかな目で神竜をみているシュルツ。しかし、その神竜も仕方がなかったという顔をしている。

『マレーネが聖王女を操れるとは思わなんじゃでな』

 神竜のその言葉にシュルツはじっと考え込んでいるようにもみえた。やがて、顔をあげた彼の表情がどことなく寂しげなことに神竜は訝しげな顔をしている。

『どうしたんじゃ、シュルツ』

「ジェリータが聖王女と一つになった場合、人々は受け入れるだろうか」

 シュルツの言葉に神竜は何を言うのだといわんばかりの顔をしている。そんな神竜を無視するようにシュルツは言葉を続けている。

「あの子には時間がない。予言が成就する時は近いんだ。そして、その時に消えるのはジェリータ。いや、そうならなければならないんだ。そうならなければ、あの子は人形のまま」

 悔しそうな色がその声に宿っている。彼にはこれしか妹を救う方法がないことに空しさも感じていたのだろう。

『それでお主は心配しているわけじゃな。じゃが、元々のジェリータじゃったら問題はないじゃろう。儂が覚えておるジェリータは聖王女と同じじゃ』

「カロンがそう言うなら大丈夫だろうね。それなら、僕も頑張ってみよう。結局、これしかあの子の救いはないわけだからね」

 そう言うなり、シュルツはその姿を消している。シュルツにもおいていかれた格好になった神竜は悪態をつくしかないようだった。

『まったく、どいつもこいつも人を敬うという言葉を知らんのか!』

 神竜のその声を聞くものはいない。それは、風にのって流されていくだけだった。



「ここ……どこ……」

 荒れ狂う風が襲ってきたのは覚えている。しかし、この場所はシンと静まり返った空間である。一体、どうしたのだろうかという思いでセシリアはあたりをキョロキョロみているのだった。

 彼女のすぐ横にはミスティリーナが倒れている。そして、少し離れたところにはカルロスとウィアの姿もある。だが、その場にいるべきもう一人の姿がみあたらないことに、セシリアはいいようのない不安に襲われているのだった。

「アルディス様! いらっしゃらないのですか?」

 セシリアのその声にカルロスとウィアも目を覚ましていた。その彼らも先ほどまでいた場所との違いに驚いているのだった。

「ウィア、ここがどこかわかるか?」

「私だって、万能じゃないんです。それよりも、姫君は?」

 カルロスがアルディスの腕を掴んでいたことを知っているウィアは、そうたずねていた。しかし、カルロスからの返事がなく、アルディスの姿がないことに彼は目敏く気がついているのだった。

「わけがわかりませんね」

 そう呟いているウィア。その時、ようやく気がついたミスティリーナが驚いたような声を出していた。

「ここってどうなってるのよ。魔法が使えないじゃない!」

「まさか!」

 彼女の叫び声に、ウィアも思わず口の中で魔法を唱えている。しかし、呪文など間違えるはずもない簡単な回復魔法が発動する気配をみせない。

「ウィア、あんたも?」

 ウィアの魔法までもが発動しないことに、ミスティリーナは思わず不安を覚えているのだった。そして、その現実にセシリアとカルロスも顔色を変えている。ここがどこかはわからない。しかし、自分たちに好意的な場ではないだろう。そんな場所ですべての魔法が使えない。これが、どれほど不利なことかは考えるまでもないことだった。そんな中、マレーネの勝ち誇ったような声を耳にしたセシリアは嫌な予感だけがふくらむのを押さえることができないようだった。

「やっとお目覚めですのね。でも、間に合ってよかったですわ」

 そう言って高笑いを響かせるマレーネをセシリアは睨みつけている。そんな彼女を哀れむような表情をマレーネは浮かべているのだった。

「そんなに怖い顔をなさらなくても教えてさしあげますわ」

 そう言うとマレーネはパチンと指を鳴らしている。途端に壁が透けたかと思うと、そこには鏡に映したと思えるほどに面差しの似た少女が二人いるのだった。

「今から面白いものがみられましてよ」

 そう告げるマレーネの声はいかにも楽しげに聞こえている。そんな彼女にセシリアは不安しか感じないようだった。

「一体、何が始まるっていうの。アルディス様と一緒にいるのはジェリータでしょう」

 セシリアの声にマレーネは目をみはっている。その表情には、どこでジェリータのことを知ったのだといわんばかりの表情が浮かんでいた。

「盟主様をご存知でしたのね。今から、あの二人のうち生き残る方が決まりましてよ。あの二人はお互いが半身。別々に生きることなどできませんもの」

「負けた方はどうなるのよ」

 マレーネの言葉にどう反応すればいいのかわかっていないセシリア。そんな彼女にかわるかのようにミスティリーナがたずねている。それを鼻で笑っているマレーネ。

「聞くまでもないでしょう。負けた方は消えましてよ。そして、生き残るのは盟主様に決まっていましてよ」

「そんなことあるはずないでしょう」

 セシリアの叫び声を無視したようなマレーネの様子。彼女は薄笑いを浮かべながら振り返ることなく後ろにいる存在に声をかけていた。

「あなたも決着をつけたいわよね」

「そうですね。盟主様も再生なさいますから。その前にこの者たちとの決着はつけたいです」

 マレーネの声にこたえるように聞こえた声にセシリアたちは背筋が凍る思いがしていた。その声はルディア近くで遭遇したデュラハンのものに間違いない。あの時はミスティリーナの魔法でようやく互角だったのだ。しかし、今はその魔法がない。

 絶体絶命だという思いがセシリアたちにはあるのだろう。一歩一歩近づいてくるデュラハンから逃れるかのようにジリッ、ジリッと下がっているセシリアたち。

「どこまで逃げられますかしら? 下がることしかできませんの」

 嘲笑うかのようなマレーネの声。そして、それに呼応するようにデュラハンも勝ち誇ったような声をあげている。

「あまり簡単なのは嫌いですがね。しかし、あなた方には煮え湯を飲まされたのです。遠慮はしませんよ」

 セシリアたちには逃げ場がないようだった。すっかり追い詰められ背中は壁にピッタリとついている。

「心配する必要はありません。盟主様が再生なされれば、あなた方も同じようになるのですから」

 そう言うなり満足げな顔で舌なめずりをしているデュラハン。しかし、そこにあらわれた影が冷酷ともいえる響きをその声に宿しているのだった。

「勝手は許さないよ、ハインツ。これはジェリータの望みじゃない」

「シュルツ様!」

「お前はジェリータのためと思っているんだろうね。でも、そうじゃない。お前のやっていることはジェリータを苦しめるだけだ」

 そう言いながらシュルツはデュラハンに近寄っている。彼の気迫に押されたようにデュラハンは一歩ずつ引いていっていた。

「僕を怒らせたね。お前のこれ以上の存在は認めない。永劫の闇に墜ちるがいい」

 そう言ったシュルツはデュラハンの首に触れている。途端にデュラハンはかき消すようにいなくなっているのだった。

「どうして邪魔をなさるのですか!」

 マレーネの非難の声にも動じることなく、シュルツは冷ややかにこたえていた。

「君たちのやっていることは自然に反することだからね」

「邪霊王様の理想郷を創るのがいけないことですか」

「こんなやり方でしかできないのならね。そして、ジェリータは返してもらう」

「それは無理です。今から彼女は聖王女を支配しますわ」

 マレーネの言葉をシュルツは冷静にきいている。そして、その彼の口から出た言葉にその場にいた者は凍りついたようになったのだった。

「マレーネ、お前の言うとおりにはならないよ。消滅するのはジェリータの方だ」

「信じられませんわ。人間よりもわたくしたちの方が優れております。聖王女を支配できないはずがありませんわ」

 シュルツの言葉が信じられないマレーネの反論。しかし、シュルツはそんなことは意にも介していないようだった。

「どちらが優れているかじゃない。ジェリータが不自然な形でいすぎただけだ」

 千年という時間を肉体と魂がわけられた状態で生きてきたジェリータ。それが不自然なことであるのは間違いがない。そして、魂こそ転生を繰り返しているが、それをしていない肉体が限界まできているのを誰よりも知っているのがシュルツだったのだ。

「そのあたりで高みの見物でもしているんだろう。お前のやったことを見届けるつもりはないのか」

 そう言い切ったシュルツは何もない空間の一点を指差している。それはセシリアたちにしてみれば意味のないことだが、マレーネにはそうではなかったのだろう。彼女の顔色はみるみる青ざめ、自信に満ちた表情が曇っている。そんな彼女の変化をシュルツは見逃してはいなかった。

「あそこには何がある」

 そう言ってマレーネに詰め寄るシュルツ。だが、彼女はこたえようとはせず、その赤い唇をギュッと噛み締めている。

「マレーネ、もういいよ。シュルツにはお見通しだったわけだし」

 そんな声と共にあらわれた相手。扉も何もない空間から姿をあらわしたその相手はアルディスとジェリータのいる空間との境に手を当てていた。すると、最初から何もなかったかのように二つの空間は一つになっている。

「マスター!」

 ジェリータのどことなく喜ぶような声が響いている。それを耳にしたシュルツの嫌そうに舌打ちをする様子。

「ジェリータ、やめるんだ」

 シュルツの声が聞こえたのだろう。ジェリータの表情が一瞬、曇っていた。

「お兄様……いいえ、それはできませんわ。わたくしが、どれほどこの時を待っていたのかおわかりにはなりませんの?」

 シュルツの言葉に激しく反発するジェリータ。そんな彼女の前には鏡に映したようにそっくりなアルディスがいる。

「そうだよ、ジェリータ。これで、お前は元の姿に戻れるんだよ」

「はい。マスター」

 そう言って笑うジェリータの顔に浮かぶ微笑。その顔はアルディスにそっくりである。しかし、そこに浮かんでいるのは似ても似つかない表情。それは、自分の優位を確信した傲慢さを感じさせるもの。こんな顔をすることができる者とアルディスが同じ存在だとはセシリアは認めたくなかった。しかし、それは真実。ジェリータとアルディスは千年という時をかけて巡り逢った二つの宝玉。しかし、お互いが互いの半身であるために、どちらかしか残ることができない。

「アルディス様……」

 セシリアの微かな声が響いている。今の状況では消滅するのはアルディスのようにみえる。しかし、シュルツはそのようには思っていない。彼は自分が引きずり出した相手だけを見据えている。

「お前がジェリータに何を言ったのかはわかっている。しかし、彼女は返してもらう」

「お兄様、何をおっしゃるの。マスターはわたくしのことを心配してくださっているのよ」

 兄であるシュルツの言葉が信じられないというようなジェリータ。そんな彼女を痛ましげな表情でみているシュルツ。そして、自信たっぷりな様子でジェリータに近寄ろうとしているマスターこと邪霊王。

「結論は出ているね。君がこうして非難じみたことを言っても、ジェリータは正しいことは何かを知っているよ」

 そう言いながら、ジェリータに近寄ろうとする邪霊王。それをシュルツは強引に引き止めていた。

「これ以上、妹に関わるな。お前がこの世の秩序を壊そうとしているのはわかっている。千年前もそうだったな。虫一匹、殺すことのできなかったジェリータの手を汚させた」

「それは、君の勘違いだろう。でも、そこまで言うのならジェリータに選ばせよう」

 そう言った邪霊王は、まっすぐにジェリータの顔をみている。その顔に浮かんでいるのは、とろけるような甘い表情。少女であれば、それに抵抗などできるはずがない。

「マスター……」

 どことなく、ウットリとした様子でいるジェリータ。そんな彼女にアルディスが近寄っていた。

「あなたは、可哀想な人だわ」

 同じ顔、同じ声がその場に響いている。

「どうして、そんな言葉だけを信じようとするの? どうして、現実をみようとしないの? あなたのことを心配してくれているのは誰なの? それさえ、わからなくなっているの?」

 恐れた感じもみせずに、ジェリータに近寄るアルディス。そんな彼女にイヤイヤをするように首を振っているジェリータ。

「あなたの言っていることはわからない。

わたくしのことを心配してくれているのはマスターよ」

 そう言ってはいるが、ジェリータの言葉には自信がないようにも聞こえる。そんな彼女の様子に舌打ちをしている邪霊王。そして、それを見ていたマレーネは眉をひそめていた。

「邪霊王様、どうなさいまして?」

「ジェリータが揺れているな。このところ、限界が近いとは感じていたがここまでかな」

 その囁きは、マレーネ以外には聞こえることはない。そして、邪霊王の言葉にマレーネは納得したようにうなずいているのだった。

「そうですね。この頃のジェリータはおかしいと思っていましたが、そういう理由だったんですね」

 マレーネの言葉にうなずきながら、どうするべきかと考えているような邪霊王。その視線の先にいるのは、鏡をみるようにそっくりな二人がいた。

「もう少し、様子をみよう。上手くすれば、望みどおりの人形が二体できあがる」

 そう呟く邪霊王の様子をうかがうようにしているマレーネ。もっとも、彼女にしてみればそんなことはどちらでもいいことだった。彼女は邪霊王が決めたことに従うのだ、といわんばかりの表情を浮かべている。そんな思惑を持っている二人がじっとみていることなど気がついていないように、アルディスはジェリータに詰め寄っていた。

「あなたは覚えていないの? あなたのことを誰よりも心配してくれているのは、あそこにいる人じゃないでしょう」

 そう言うなり、後ろを振り向き、その場にいる邪霊王を指差しているアルディス。しかし、彼は平気な顔で、泰然とした様子を崩そうとはしていない。

「目を覚ましなさい。いつまでも、こんなことができるわけないでしょう」

 自分の言葉くらいでは、邪霊王には何の効力もないとわかっているのだろう。アルディスはジェリータに向き直ると、再び問いかけている。しかし、ジェリータはそれも聞きたくないというように耳を塞いでいた。その姿はいかにも頼りなげな子供のようにみえなくはない。それは、後ろでみていることしかできないセシリアたちには奇異な思いを抱かせるものだった。

「ねぇ、リーナ。ジェリータってあんなに弱々しかった?」

 信じられないものを目にしたかのように、セシリアの声は震えている。そんな彼女にミスティリーナもどう言えばいいのかわからない。そんな彼女たちの疑問を解決するようなシュルツの声が聞こえている。

「本来のジェリータはあれなんだよ」

「だって、グローリアで会った時はあんな感じじゃなかったわ!」

 一瞬ではあったが、強烈なものを感じさせたジェリータの存在感を覚えているミスティリーナ。その彼女の本来の姿がこれだと言われても、納得いかないところがある。しかし、セシリアの方は逆に納得もしたようだった。

「アルディス様と同じと言っていましたものね」

「そうだよ。あれが本来のジェリータ」

 そう言うシュルツの声は、どことなく寂しげでもある。今のジェリータの状態が兄である彼にはよくわかっているのだろう。そして、そのジェリータに恐れげもなく近寄っているアルディス。

「わたくしの方をみて。わたくしは知っているの。あなたのことを本当に心配して、大事に思っているのは、あそこにいる人じゃないわ」

 そう言い切ると邪霊王を睨みつけているアルディス。そんな彼女の姿にセシリアは驚いたような顔をしていた。セシリアの知っているアルディスは、あのような言い方はしない。どうしたのだろうかという不安がわいているようだった。

「眠っている間に魂が記憶を取り戻したんだよ」

「えっ?」

 シュルツの言葉には驚かされるばかりだとセシリアは思っている。

「魂の記憶?」

「ジェリータとして生きていた時の記憶」

 セシリアの疑問をあっさりと一言で片付けているシュルツ。だが、それを聞いたセシリアは逆になんともいいようない表情を浮かべているのだった。そんなセシリアの様子にアルディスは気がついてもいない。彼女はジェリータに柔らかな笑顔を向けると、手を差し出している。

「わたくしの手をとって。そうすれば、何もかもがわかるわ。あなたのことを心配しているのが誰かはすぐにわかるのよ」

 そう言いながら差し出される白い手。それをジッとみていることしかないジェリータ。

「ジェリータ、どうしたんだい? お前の望みは何だったのかい」

 邪霊王の声にジェリータの表情がまた変わる。彼女は自分がやることを思い出したというように、アルディスをじっとみつめていた。

「わたくしの望みは元に戻ることですわ。それだけしかありませんわ」

 ジェリータの返事に邪霊王は満足げな表情を浮かべていた。

「そうだよね。じゃあ、君のやることはわかるよね」

 そんな言葉にうなずいているジェリータの表情はそれまでのものとは違う。セシリアにしてみれば、これこそがジェリータという者だったのだろう。しかし、シュルツは顔色が悪くなっているようだった。

「ジェリータ……」

 いつもの自信ありげな顔がどこにもみられないシュルツ。それだけ、ジェリータの様子の変化はシュルツにとって驚くものなのだろう。彼にしてみれば、この場でジェリータがこのようになるとは思ってもいなかったのだ。だが、アルディスは動じようとはしない。彼女は穏やかな微笑をたたえ、ジェリータと向き合っている。

 その表情は慈愛に満ちた聖母のようなもの。相手を慈しみ、愛おしむような表情。アルディスにそんな表情ができるとは、セシリアには考えもつかなかったのだろう。アルディスの顔に浮かぶのは『聖王女』といわれるに相応しいものでもある。

 すべてを知っていながら、すべてを受け入れる。

 そんな雰囲気をたたえているが、それはすべてを諦めているのではない。柔らかな笑顔ではあるが、その中には芯の通ったものがあるのも間違いない。アルディスはゆっくりとジェリータに近寄るとその手をとろうとしていた。

「わたくしの手をとって。あなたが本当に知らなければいけないことがあるわ」

 そう言いながら、差し出される白い手。それをとるのを拒むかのように首を振っているジェリータ。しかし、アルディスはあきらめようとはしていない。相変わらず、聖母のような慈愛の表情を浮かべながら、ジェリータに近寄っていく。

「来ないでよ。わたくしは、ちゃんと知っているわ。今さら、あなたに教えてもらう必要なんかないわ!」

「どうして? この手をとるだけでいいのよ? そんな簡単なこともしたくないの?」

 首をかしげるようにして、たずねているアルディス。その様子は無邪気としかいえないものだった。しかし、セシリアにはアルディスがそんな行動をとる意味がわからない。そして、ジェリータもアルディスの行動の真意がわからないために不安を覚えている。だがそうではあっても、おずおずとした感じでジェリータはゆっくりとその手をのばしていた。

「本当なの?」

 怯えたような少女という感じがするジェリータ。その彼女を包み込むように近寄るアルディス。

「怖がることはないわ。だって、わたくしたちは同じ存在じゃない。たしかに、別れてしまったわ。でも、元に戻るのがあなたの望みなんでしょう?」

「そうよ。戻れるの?」

 ジェリータの言葉にアルディスは黙って微笑んでいる。それを見たジェリータは今にも泣き出しそうな顔になっていた。

「手を貸してちょうだい。わたくしは、あなたが知らないことも、たくさん知っているのよ。それを教えてあげる。それでも、あなたがあの男を信じるのかしら」

 そう言ったアルディスは、邪霊王の方を睨んでいた。聖水晶の中で眠っている間に、彼女は色々なことを知ったのだろう。そして、アルディスのそんな気迫におされているようなジェリータ。彼女はそっと、差し出されるアルディスの手をとっていた。

 そうやってアルディスとジェリータの手が触れたと思った瞬間。

 あたりには眩しい光がいっぱいになっていた。その光に思わず目をつぶってしまうセシリアたち。その光の膜に包まれているような二人。

「どうなってるのよ」

 あまりにも眩しくて目をあけることのできないミスティリーナがそう言っている。しかし、それにこたえることができるものがその場にいるはずがない。

「邪霊王様、あれは?」

 思いもよらぬことが起こっていることに、動転しているマレーネ。しかし、邪霊王自身も何が起ころうとしているのかわかっていなかったのだ。彼自身も固唾をのんだように光の膜を凝視している。

 そして、その光の膜の中――。

 お互いに鏡に映したかのようにそっくりな二人は正面からお互いをみているのだった。

 トクン、トクン――。

 互いに打つ心臓の音も、寸分のずれもない。まるで一つのものであるかのように、同調しながら脈打っている。そんな中、一つの光景が浮かんでいた。

 暖かなひざしが差し込んでいる場所。銀髪の青年がかたわらにいる少女を優しげな顔でみつめている。それにこたえるように、同じ優しい表情で寄り添っている少女。

「お兄様……」

 アルディスの手を握っているジェリータが呟いている。それは、かつての穏やかな日の記憶なのだろう。だが、それが一変している。

 思い詰めたような表情のジェリータ。それを懸命に止めようとしているシュルツ。そして、お互いに言い争う兄妹の声が聞こえていた。

「お兄様、わかってください。このままでは、わたくしたちが暮らす場所がなくなりますわ」

「だからといって、創世神に逆らうことは許されない」

「わかっています! でも、誰かがやらないといけないことですわ」

「やめるんだ、ジェリータ。今なら、まだ間に合う!」

 これはいつのことだろうかとアルディスは首をかしげていた。そうしているうちに、これは聖戦と呼ばれる戦い前夜だということに彼女は思い当たっていた。そして、それは間違ってはいない。同じ光景をみていたジェリータが今にも泣きそうな顔をしているのだ。

「あれしか方法がなかったわ。だから、やったのよ」

「でも、そのせいでわたくしたちは二つになったわ。そして、あなたは苦しんだまま」

 ジェリータを気遣うようなアルディスの言葉。そんな彼女にジェリータはイヤイヤをするように首をふっている。そんな中、アルディスはジェリータに優しく告げている。

「わたくしたちは、元は一つだったわ」

 それは、魂の持っていた記憶が戻った彼女だからこそ言えること。そんなアルディスの言葉にどう返事をしていいのかわかっていないジェリータ。その表情は頼りなく、今にも泣き出しそうである。

「わたくしの望みは……」

「望みは何?」

 優しげな表情でたずねるアルディス。

「戻りたいの。わたくしはそれしか望まないわ」

「戻りましょう。あなたの望みがそれならば」

「もどれるの?」

 子供のようにそうきいてくるジェリータ。その彼女にアルディスはニッコリ笑って、手をさしのべている。

「大丈夫。さ、手を貸して」

 アルディスのその声にジェリータは手をのばしていた。同じような白い指と指が絡み合う。お互いに肩がふれ、息がかかり、髪が絡み合う。

 お互いを映したように、体格も何もかもがそっくりな二人。寸分の狂いもなく、重なっているところは、二人ではなく一人が立っているように見える。

「もどれるの?」

 どことなく、不安もあるようなジェリータの声。それに、ゆっくりとこたえているアルディス。

「あなたは、もどりたい?」

「もどりたいわ。もう、こんなのはイヤ」

 ジェリータのその言葉にアルディスもうなずいている。お互いにどちらがどちらともわからない姿。トクン、トクンと脈打つ音は、ますます大きくなってきている。そして、その音はセシリアたちにも感じられるものだった。二人を包む光は相変わらず眩しいが、なんとか目をあけられるようになっているのだった。そして、そうなると膜がまるで生命を持つように脈打つ様子がみれるようにもなっていた。

「どうなっているの?」

 呆然とした様子でそう呟いているセシリア。

「邪霊王、お前の思惑は潰れるだろうね」

 シュルツは光の膜と邪霊王を交互にみながら、そう言っている。

「一体、何が起こっているというんだ」

「わからないかい? あるべき姿に戻るだけだ。それも、お前のおかげというべきかな?」

 膜の光が明るくなってくるのを期待するような目でみているシュルツ。彼は、膜の中で何が起こっているのかがわかっているような目をしているのだった。そんな彼の様子に、邪霊王は何かを感じている。

「お前はこうなるというのがわかっていたのか?」

 どことなく、焦ったようなその声。それに対して、どこか余裕を感じさせるシュルツの声。

「はっきりとはわかっていたわけじゃない。でも、お前の小細工が限界まできていたのも現実だったろう」

 シュルツの言葉に悔しそうな顔をしている邪霊王。そんな中でも、光の膜は徐々にその姿を変えようとしているようにも見える。

「お前は何が言いたい」

「それくらい、わかっているだろう。それとも、言わないとわからないかい?」

 どことなく小馬鹿にしたようなシュルツの態度。それに対して、邪霊王は苛立ちを隠すことができないようだった。

「貴様は……」

 そう言いかけた彼の言葉は最後まで紡がれることはなかった。今まで以上の光がきらめき、空間が光で埋め尽くされる。そして、その光の中央にある人影は一人だけのもの。その姿は誰のものなのかとその場にいる誰もが固唾をのんでいる。

「あれはどちらなの?」

 セシリアの震えるような声。その声にこたえるようにその顔がまっすぐにあげられていた。しかし、アルディスとジェリータは瓜二つ。残った一つの影がどちらかはすぐに答えが出ない。しかし、シュルツにはどちらかというのはわかっているだろう。彼の顔には寂しげな表情が浮かんでいる。

「うまく、いったようだね……」

 彼のその声を聞いたセシリア。そして、残っている相手が着ているものは、アルディスのドレスであるようにみえる。ということは、残ったのはアルディスと思っていいのだろう。

「シュルツ、あれはアルディス様なの?」

 どういう答えが返ってきても受け止める、という覚悟でセシリアはそうたずねていた。

そんな彼女にシュルツは哀しみと喜びの入り交じった表情でこたえている。

「あれは、ジェリータじゃない。その身のうちにジェリータを受け入れた聖王女」

「お前はそう言うが、あれはアルディスだな」

 それまで黙って様子を見ていたカルロスがそうたずねていた。

「そうだね。彼女は聖王女に間違いない。少しは、ジェリータの影響があるかもしれないけどね。でも、君はそんな彼女は受け入れられないかい?」

 シュルツの言葉にカルロスは肩をすくめていた。彼にとっては、そんなことは関係ないのだろう。カルロスにとって大切なのは、自分が納得できるかどうか。そして、彼のだした結論は、ジェリータを身のうちに持っていようともアルディスはアルディスということだったのだ。

「アルディスはアルディスだろう。俺にとって、あいつはアルディスでしかないな」

 そんなカルロスの言葉にホッとしたようなシュルツ。そして、光の膜から姿をあらわしたアルディスは、邪霊王をキッと睨みつけていた。

「わたくしは、あなたの道具にはならないわ。そんなことをジェリータも望んでいなかったわ」

 キッパリと言い切るアルディス。その言葉に、邪霊王はどうしようかと考えているようだった。

「こっちの思惑をこえたか……まさか、こうなるなんてね。今の君は人形じゃないな」

「わたくしは、人形になんかならないわ! そんなことになるなんて、考えたくもない!」

 アルディスの声に邪霊王は思わずたじろいでいる。そして、そのまま彼はその場から姿を消そうともしているのだった。

「待ちなさいよ!」

 そんな邪霊王の様子に目ざとく気がついたミスティリーナは引き止めようとしていた。このまま、逃がすことがあってはまた同じことが起こるかもしれぬという危惧を彼女は抱いているのだった。しかし、そんなミスティリーナの言葉を笑い飛ばしている邪霊王。

「ここは魔法が使えないんだよ。君がいくら頑張っても無理じゃないかな」

 そう言うなり、邪霊王はマレーネをうながすようにして、その場から消えていた。それを止められるであろう唯一の存在はシュルツであったろうが、彼はあえて止めようとはしていなかった。

 そして、邪霊王が姿を消したことで重苦しかった雰囲気が消えた空間。その中でジェリータと融合したアルディスは華やかな笑顔を浮かべているのだった。今までの彼女には感じられない雰囲気もあるようにもみえる姿。しかし、彼女がアルディスであることには間違いない。カルロスは迷うことなく駆け寄っていた。

「アルディス」

 人目も何も気にしないように彼女を抱きしめているカルロス。それを見るセシリアの思いは複雑なものでもあった。しかし、彼女は何も言うことはできない。

「カルロス様」

 ようやく、帰ってくることができたというように、アルディスはそう呟いている。彼女にしてみれば、あまりにもいろいろなことがあったのだろう。それでも、ここにいるのだと言っているような表情。そんな彼女をみつめているシュルツ。彼にしてみたら彼女は妹と同じ存在なのだろう。それを証明するかのような暖かいまなざし。セシリアが複雑な表情をしているのが気にならないわけではない。しかし、空間は希望と光がきらめいているようにも感じられている。そして、それを彩るのがアルディスの笑顔だったのだ。



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