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暁の星とともに  作者: karon
サヴォワ編
69/210

望まれない客 2

お話が停滞しています。次くらいはダイナミックに動かしたいです。

 庭の裏手に、戦死者を埋めていた。

 ミリエルは、庭掃除の手を止めて、それを見ていた。

 他に攻めてきた敵の死体もあるが、それはまずマーズ将軍の検分が終わってから葬られる。

 罪作りなことをしたものだと、ミリエルは思う。

サザウィー男爵が娘をミリエル姫に仕立てて、こんな騒ぎを起こさなければ敵も味方も出すはずのなかった死者だ。

 数秒だけ目を閉じ死者の冥福を祈る。そして再び箒を握って掃除を再開した。

コンスタンシアの傍には、サザウィー男爵が陣取っている。余り傍にいたい人間ではない。それに傍にいれば確実に危険だ。

 何しろ本物のミリエル・アレクト・リンツァーが生きていれば確実に抹殺を図るであろう人間だ。

 マルガリータのもとに食事の出前に行くたびにベール越しに恨みがましい視線を感じるが、今は我慢してもらうほかない。

 それにサザウィー男爵からなにやら嫌な視線を感じる。やはり近寄らないに越したことはない。

そして、コンスタンシアの傍に極力近寄らないようにすれば、結局ミリエルのすることがなくなるということだ。

 女中頭に頼み込んで雑用を回してもらう。

 サザウィー男爵の連れてきた使用人は、あからさまに、この館の女中を蔑んだ目で見るが、元々男爵家、この館の領主とさして身分の差はないはずだ。それなのに何故そのような態度をとるのか。

 どうもミリエルの知らない影の人間関係がありそうだ。


 マルガリータは暇をもてあましていた。

 ミリエル姫についていなければならないので、他の傭兵と剣の稽古もできない。

 持ち場を離れられる時間は限られているし、最近はミリエルも必要最低限以外は近寄らないようになって来た。

 どうやらサザウィー男爵と、その取り巻きがきに食わないようだ。

 あの子は内面を見せないようでいて、結構駄々もれなところがある。

 最近は悩み事があるようだ。表情がさえない。

 最初の頃食べ物さえ与えておけば常に満面の笑みを浮かべていたものだが、このごろは食事も進まない様子だ。

 サザウィー男爵が嫌いなのは、なんとなく理解できる。

 あの人物はどこか胡散臭い。人好きのする笑顔を装っている。そんな気がした。

 そして、クライストもそのサザウィー男爵が関わったミリエル姫の真贋を疑っている。

 マルガリータ自身も、疑わしいとは思ったが、それはマルガリータが考えることではないと。それ以上考えなかった。

 それを考えるべきはレオナルド王太子であるし。もし、そのままあのミリエル姫を彼が受け入れるならそれはそれだろう。

 もし受け入れてもらえなかったら気の毒に思うが、マルガリータにできることはまるでない。

 最初、ミリエル姫は、ミリエルを恨みがましい顔をして離れていった事を無言で攻めていたが、最近ではその恨みの視線がマルガリータにまで飛び火してきた。

 できることなどないというのに。



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