表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暁の星とともに  作者: karon
サヴォワ編
65/210

王太子の代理人


 館の一角に火が放たれていた。もうもうと上がる黒煙。

 館の領主の私兵達が消火活動を行おうとしていたが、攻め込んでくる敵の妨害に退行するのが精一杯といった状況だ。

 傭兵と思しいもの達も戦っていたが、てんでんばらばらの装束に身を包んでいるので、どれが賊で、どれがこの館に雇われている傭兵なのか、区別が付かない。

「第一隊、消火活動。第二隊は第一隊を妨害しようとしている輩を掃討しろ。俺は領主に話をつけてくる、デニスお前はお俺に変わって指揮を取れ」

 最後に副官に命じると、マーズ将軍は、護衛官三名を引き連れて、領主のいる辺りへと向かった。

 目に入るのは逃げ惑う下級の使用人たち。そして、転がっている領主の私兵の屍。

 火矢を使われたのか、今黒煙を上げている場所以外もくすぶっている。

 彼はそれらを一瞥すると無表情に館の中に入った。

 領主は、頑丈な石造りの部屋にこもっていた。

「何をしている」

 マーズ将軍は硬い声で言う。

「お前の私兵たちは前線で戦っている。金で雇われた傭兵達もだ。そしてお前はこんな場所で何をしている」

 淡々と続く糾弾の言葉に、彼はそのいかつい顔をこわばらせた。

 恰幅のいい顔が屈辱に歪む。

「今現在より、我が軍がこの戦いを戦う。すべての指揮は私が取る。反論は認めない」

 言うだけ言うと、彼は踵を返した。


マルガリータがようやく今いる分の敵を沈黙させたとき、恐る恐るといった風に扉が開き、ミリエルが顔を出した。

「マルガリータ様、きな臭いです」

 その匂いはマルガリータも気付いていた。

「どうします、お姫様を連れて逃げますか」

「いや、どうやら消火と、援軍が来たらしい」

 マルガリータは窓を覗きこんで、マーズ将軍の部隊が消火活動を行っているのを確認した。

「援軍?」

「ああ、王太子殿下の軍隊がこちらに向かっているという情報があった。その軍隊が到着したようだな」

 その時マルガリータは違和感を感じた。

 ミリエルの顔が厳しく引き締まったのだ。この場合、本当ならば安堵で緩むんじゃないだろうか。

 しかし、ミリエルは強張った表情のまま、扉の向こうに消えた、お姫様にお知らせしてきますと言い残して。

 扉を閉めたミリエルは、完全に動転してしまった自分に気が付いた。

 パンと自分の頬を平手打ちし、再び寝室に戻る。

「お姫様、王太子殿下の軍隊が援軍に来たそうです」

 この知らせは、自分にとっていささか戸惑うものだが、このお姫様にとっては、敵襲以上に歓迎したくない事態だろう。

 ボスっという音がして、天蓋から垂れ下がるカーテンをめくると、寝台に突っ伏して気絶していた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ