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暁の星とともに  作者: karon
リンツァー編
24/210

友との再会

 ミリエルの友達といえば、ここまで読み進んだ人ならわかりますよね。

 パーシモンは硬い表情で、ミリエルに話しかけた。

「アマンダとお義父さんは無事だ」

 この場合お義父さんというのがダニーロのことだろう。

「面会は難しい。以前、彼女と一緒に暮らしていたときも、アマンダは王宮に入ることを許されなかった」

 ミリエルは、歩きながら話そうとパーシモンを促した。

「たぶん、手紙や、何か物くらいなら、私が言付かってそちらに持っていけるだろう。私がじかに渡せば検閲も免れると思う」

 ミリエルはコクコクと頷いた。

 王宮はかなり広い。そして、人も多い。こっそりと抜け出すことは難しいだろう。

 そう考えるとこの父が自分の命綱になりそうだ。

「明日、パーシヴァルが君に会いに行くそうだ」

「パーシヴァルって誰」

「ミリエル。アマンダは君に何も教えなかったのか。パーシヴァルは君の兄だよ」

 沈痛な面持ちでパーシモンはそう教えてくれた。


 ミリエルは、そのまま離宮の自分の部屋とやらに通された。

 はっきり言ってそれは部屋じゃなかった。寝室と書斎。応接間が付いた、今までミリエルが住んでいた家がすっぽりと入る空間。

 その一つ一つが目が回るほど広い。

「冬は大変だ」

 こんな広い部屋を暖めるのにどれほど燃料が必要になるか。それを考えて頭痛を覚えた。

 そして今までミリエルが使っていた部屋ほどもあるクローゼット。

 その部屋にはみっしりという感じでドレスが詰め込まれていた。

 他に靴や宝石、帽子などの保管場所もあるらしい。

「あたし、ここにベッド持ち込んで寝ていたいな」

 もう乾いた笑いしか出てこない。

 この離宮に今はミリエルしか住んでいないそうだ。

 そして、ミリエルに仕える侍女たち、大体顔を見ただけで、十人以上いたことは確かだ。そしてこういう場所では、お仕えする高貴な方に顔を見せない汚れ仕事専門のお脾役がいるものだと、女中奉公している友人に聞いたことがある。

 自分ひとりに何人使っていることになるのか。

 真剣に頭痛を覚える。

 結局。ミリエルはその日食事を取って入浴して寝た。

 翌日、午前中のみの面会だと念を押され、パーシモンとパーシヴァルがやってきた。

 二人ともそっくりな親子だとミリエルは思った。パーシモンを少し若返ったらそのままパーシヴァルになる。

 パーシヴァルはお母さんからと箱をミリエルに渡した。

 持ってみるとずっしりと重い。そして、別の箱をミリエルに渡した。

「これは僕からだよ、暇なとき読んでね」

 箱から出てきたのは、いかにもなタイトルの、王子様とお姫様の恋物語。少女が好みそうなものをと考えて持ってきてくれたのだろうか。

 初めて会ったけれど、そんな兄の気遣いに、ミリエルは久しぶりに、気持ちが明るくなった。

 そして、二人が帰った後に、アマンダから贈られたという箱を開けると、ミリエルの親友。モーニングスターが入っていた。

 そして他にも各種暗器が入っている。そしてアマンダからの手紙には、「できるだけ身近に、決して離すな』とだけ書かれていた。 ミリエルは手紙を胸に抱いて。アマンダの言葉を心身に染みこませようとした。



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