表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暁の星とともに  作者: karon
サン・シモン編
2/210

特殊部隊入団 2

 彼は、そのままサフラン商会特殊部隊に同行した。

 どの道新人研修の下見だったし時間に余裕もあった。

 猪は、そのまま男達が縄でくくって運ぶことになった。

 しばらく行くと、拓けた場所に出てそこには小さな小屋と、男女取り混ぜた二十人ほどの人間が待っていた。

 小屋の中は最低限の生活設備が整っているように見えた。

 猪は、女達が裏の、水場に引きずっていく。

「そういえば、おめでとう、お嬢ちゃん」

 彼はそう呼んでみた。

 未熟な少年をからかった言葉だが、子供は無表情にそれを受け流した。

 今まで何人もの若手の新任兵士にこれをやったが、これを受け流したものは誰もいない。それをこんな子供が少々の不機嫌になる程度とは。

 思わず彼は息を呑んだ。

 水場に向かった女達とは別の女が子供の手を引く。

「いつまでそんな格好してるの、着替えな」

 そのまま小屋の中に子供を引きずっていく。

 猪は、一部はそのまま料理され、本日の祝いのメインディッシュになるらしい。炙り肉を作る芳ばしい匂いがしてきた。

 そして、食欲をそそる串焼きが彼の目の前に来たとき、再び子供が彼の前に現れた。

 肩までの髪は頭の両脇に大きなリボンでツインテールに結ばれて、着ているものは、エメラルドグリーンのワンピース。

 綺麗に泥を落とした顔は、以外に繊細で、愛くるしかった。

 それはお嬢ちゃんといわれる生き物だった。

 先ほどの呼びかけに無反応だったのも当然だ。お嬢ちゃんをお嬢ちゃんと呼んでリアクションが得られるわけがない。

 ちょっと不満げだったのはお嬢ちゃんではなくお嬢さんと呼んでほしかったからだろう。

「それでは、本日、特殊部隊入団規定を史上最年少で終了したミリエルの歓迎式を行う」

 どうやらお嬢ちゃんはミリエルというらしい。

 平民としては、おそらく最高に着飾っているらしい、鮮やかな染物のワンピースは木綿でもそれなりに値が張る。

 おそらくミリエルが持っている中でもおとっときのやつだろう。

 髪は柔らかな銀に近い金髪で、クリーム色にも見える。肌もミルクのように白い。

 黙って立っていれば人形のように愛らしい少女なのだが、その手は、大猪に惨劇をもたらす凶器だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ