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暁の星とともに  作者: karon
サヴォワ編
149/210

地下での邂逅

 コンスタンシアは、閉じ込められていた場所から引きずり出された。

 その時、後ろ手に手首を拘束され、両脇から屈強な男に身体をつかまれ、ただなすすべなく追いやられるだけだった。

 ずっと座り込んでいたため足が痺れ、よろめきながら進んでいく。

 ようやく目的地らしい場所に辿り着いたときには、息を切らしていた。

 闇に慣れた目には、ランタンの光ですらまぶしい。コンスタンシアは、顔をしかめて目を背けた。

「これはミリエル姫。このような場所にようこそ」

 そう声をかけられて、コンスタンシアは、とっさに顔を下に向けた。

 長い髪が顔を覆い隠すように。

 ランタンの光では、同じ金色といっても色味が大きく違うことになど気付かれない。

 コンスタンシアは、必死で顔を上げまいと、肩に力を込めた。


 騎士の一人が、人影に向かってゆっくりと進んでいく。

 ミリエルとレオナルドは、物陰に隠された。

 マルガリータはすでに抜刀してミリエルの隣に立っている。

 マルガリータだけでなく、他の騎士たちもそれぞれ武器を構えていた。

 ミリエルは、短剣を仕込んだ右袖を撫でていた。

 その様子を不穏に感じたのか、レオナルドがミリエルの腕を掴む。腕に触れたときの硬い感触に小さく溜息をつく。

「これだけ護衛騎士がいて、それでも武器を仕込むのか?」

「そっちだって、武装してるのに」

 ミリエルはレオナルドの腰の剣を指差す。

「これはいざというときのために」

「私だっていざというときのためだもん」

 ミリエルが唇を尖らす。それだけ見ればかわいらしいといえなくもないが、拗ねている内容が内容だ。

 恐ろしくかわいらしくない。

「二人ともお静かに」

 見かねたマルガリータが仲裁に入り、二人は顔を見合わせる。

 マルガリータが指差した方向では、騎士が人影と急接近していた。あっさりと叩きのめし、そのまま相手を引きずってくる。

「一人だけだったか」

 レオナルドの問いに相手は頷く。

 引きずってこられた男の容姿を確認する。年齢はまだ若い、薄暗いのでわかりにくいが、おそらく濃い目の髪をしているようだ。

 他の騎士が背中に活を入れると意識を取り戻し、周囲に武装した騎士に取り囲まれていることを悟ると、忙しく目を瞬かせた。

「聞きたいことがある」

 レオナルドが威圧感をこめて問うた。

 がくがくと怯えて後図さろうとするが周囲の騎士に阻まれその場に這い蹲る。

 忙しく周囲を見回し、レオナルドの背後にいるミリエルに目をつけた。

 とっさにミリエルの腕を掴み引き寄せようとする。

 ミリエルは抵抗しなかった。そのまま引き寄せられる勢いのまま、蹲ったその男の顔面に膝を叩き込んだ。

 鼻血を噴いて仰向けに倒れる男をミリエルは冷たく見下ろした。

「さっさと質問に答えなさい」

 完全に打つ手のなくなった男に選択の余地はなかった。


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