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暁の星とともに  作者: karon
サヴォワ編
146/210

レオナルドの宣言


 ミリエルは早々にレオナルドの前に引きずり出されると洗いざらい白状させられた。

 レオナルドはただ感情のない目でミリエルを見下ろしている。

「ミリエル、そのマルセルという奴を連れてくるよう指示を出した」

 ミリエルは決まり悪そうに目を逸らした。

「まあいい、どうせ目星を付けた相手だ。ミリエル、お前も来い」

 そう言って、ミリエルの手をとる。

「ああ、その格好ではだめだな、マルガリータ、お前は騎士の格好をしていろ、それからミリエルに侍従の制服を用意させる。着替えさせろ」

 そう言ってそのまま背を向けた。

「怒られなかったみたい」

 ミリエルは息を吐く。

「ミリエル、怒られなかったことは少々深刻に考えるべきだ。下手すればお前は信用されていないかもしれないぞ」

 マルガリータが怖い顔でミリエルを諭す。

 ミリエルがどうせおとなしくしていない。そう思われているのなら、この先王妃としてやっていけないかもしれない。

「ミリエル、これからは慎重になれ、お前の性格なら気をつけすぎてちょうどいいくらいだ」

 その言い分に引っかかるものを感じたが、ミリエルは無言で頷いた。


 マルセルは、庭園で捕まってしまった。抵抗を試みたが、その場で考え直した。

 ミリエル付きの女官に、ミリエルの部屋に忍び込んでいるのを見られたが、基本的に疚しいことはしていない。

 王太子の婚約者の部屋に忍び込んでおいて疚しくないも減ったくれもないのだが、オムツもとれない頃から知っているミリエルが相手だ。そういう方向に思考はまずいかない。

 そのまま王太子の謁見の間に引きずっていかれた。

 王太子は、物珍しそうに、自分を見ている。

 いや、最初のときに王太子と行きあった覚えがある。

 向こうは自分の顔まで覚えていないだろうが。

 そんなことを思いながらも表面上はおとなしく床に膝を着いてうなだれていた。

 レオナルドは感情の読めない無表情でマルセルを見下ろしている。

「お前達、どこまで調べた?」

 レオナルドの第一声にマルセルは苦笑した。

 ミリエルとのことはまったく疑っていないようだ。まあ、ミリエルの性格を理解しているならそれも無理はないが。

 マルセルは、ウォーレスがとある貴族の部下を探っている間に行方をくらませたとだけ伝えた。

 レオナルドはまったく表情を動かさない。その貴族にすでにレオナルドも目をつけていたのだろうとマルセルは推測した。

 レオナルドの背後にいつの間にか二人の人間が立っている。

 黒髪を後ろに束ねた騎士と、同じく金髪を後ろに束ねた侍従の少年。

 しかしよく見ればそれはマルガリータとミリエルだった。

「目立たない格好に着替えてもらった」

 レオナルドはそう言うと、マルセルを立たせた。



クライマックス秒読みになってきました。ここまで引っぱるつもりはなかったんですが。

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