首都グランデの作戦 6
書き足しを大幅にいたしました。時間がなかったとはいえ不本意なものを上げて申し訳ありません。
家に帰るとすぐに、祖父から本部へ向かうが一緒に来るかと誘われた。
ミリエルに否やがあるはずもなかった。
アマンダは、まだ出番ではないと、留守番をすることになった。
ミリエルにとってそこはなじんだ場所だった。物心付く前からダニーロに抱かれて出入りしてきた、だからミリエルの顔はここにつめている人間はすべて知っていた。
しかし誰もミリエルを見ない。それぞれ互いに話し合ったり書類に向かったり。
ここの人たちはいつも忙しそうに駆けずり回っている。
それがミリエルの感想だ。
書類を片手にかなり大きな金額を口々に叫びながら、飛び交う人々。その金額はミリエルにとって現実味はない。ミリエルにとってお金とは普段買い物に使う千の桁のみだ。
いつもどおり、アルマンは本部に詰めていた。黒獅子以外の十将は他の商売を持っているため、日替わりか、用事のあるときにしか来ない。
ダニーロが来たのは、計画をつめるためだ。
アルマンの傍らには、機動隊総司令官も来ていた。
恰幅のいい赤毛の初老の男だ。いかにもにこやかな愛想のいい定食屋の亭主といった風貌だが、そのとおりの人物だった。
二人が街の地図をはさんで逃走経路などを想定していると。ミリエルはとっさに、街の警備兵にも情報を流したらと提案して見せた。
「街の警備兵?」
「そう、囮にする人以外には、街の警備兵に行ってもらうの」
ミリエルの提案はこうだった。おそらく強盗団は、この国の正規軍にも情報網を持っているに違いない。だったら、警備兵に情報を流して、確実に囮に追い込むべきだと。
「一理あるな」
アルマンが手を打つ。
「また、警備兵に恨まれそうだ」
アルマンは苦笑した。ここでは、大概の犯罪者は、サフラン商工会の機動隊の餌食になってしまうため警備兵は手柄を立てる機会がほとんどない。
そのため、首都でありながら、グランデに配備されるのを忌避する兵士達は多い。
そしてこの強盗団捕縛が百年に一度のチャンスになるかもしれない。それに対してスカを引かせる様画策するとは。
さすがダニーロの孫娘だとアルマンは感心した。
「まだ特殊部隊が動くとは相手も思っていないだろう。それと、明日はアマンダもつれてきてくれ」
そう言うと、再び、地図に書き込みをいれていく。
「あのね、あたし特殊部隊として出撃を希望しているの」
ミリエルが上目遣いにおねだりをしてみる。
「もちろんだ、決行日のために他の特殊部隊のメンバーと打ち合わせは、明日だ。悪いがダニーロ、明日は店を閉めてきてくれ」
やれやれとダニーロは孫娘を見下ろした。
「それじゃ、青狼、羆、ここらで反撃の狼煙をあがるぞ」
青狼ダニーロ、羆クライスは特殊部隊の敬礼を挙げた。