彼女と石狩鍋の関係=美味
3年生の進路も粗方決まり、すでに気分は次学年!
と、言う感じの2月。
表面上は平和で、表面上は優秀で、表面上は超一流な『私立 南澤学園』
の、正門。
「ちょっ! 君! 何やってんの!? え? 本当に何やってんの!?」
「あぁ、警備員さん。丁度良いところに来られましたね。今出来たとこですよ、石狩鍋」
「わ、美味しそう―――って、そうじゃない!」
「警備員さん……生憎私は未成年ですから、カップ酒の用意まではちょっと……」
「ちがぁぁぁぁう!!」
「これは失礼しました。そうですよね……」
「そうだよ! もう何か……何から突っ込めば良いか、逆に分かんないよ……」
「勤務中にアルコール摂取なんて、論外ですよね! すみませんでした。
はい、炊きたてピカピカのコシヒカリです! 召し上がれ!」
…………正門
「本当に、何してるの……?」
「なるほど、それで連絡した時間に正門に誰もいなかったんですか」
鍋会 in 正門 with 警備員(佐野 慎二、28歳独身。現在彼女募集中)
「はい。本当にすいませんでした。今日転入の生徒さんがいることは、事前に連絡されていたのに……」
「いえいえ、校舎から爆発音がしたら、そっちに向かうのは当然の事です。お気になさらず……あ、お代わりいかがですか?」
「―――い、頂きます」
それからしばし、無言で鍋をつつき……
「……あの、こんな呑気に鍋食べてて良いんでしょうか?」
何かがおかしい。
彼がそれに気が付いたのは、やたらと旨い石狩鍋がすっかり空になった頃だった。
嵐、未だ正門なう。