最悪な未来
「フフッ、早く私を殺してよ。」
もうこの世界には、飽き飽きだった。
これ以上、苦しむのは嫌だったから。
業火に包まれた王都の中、私は両手を広げて彼に身を捧げる。
金色の髪が、燃え上がる炎に照らされ輝きが増している様に見えるのは...これが最後に見る光景だと無意識に悟っているからだろうか?
「何故だ...!!何故、こんな事を?!答えろ、カルラ・ヴィレアッ!!」
うるさい。
声が頭の中に響く。
前まで心地の良かったその声も、今では雑音にしか聞こえない。
「何故?フフッ...私の最善の選択がこれだから。」
「最善?!最善だと...!!私の家族を殺し、王都を燃やし...それを最善だと言うのか?!」
「ハァ...貴方には何を言っても分からないわよ?」
「何を言っているんだ...カルラッ!!」
「もぅ、そんなに怒鳴らないでよ。頭に響くわ。」
「カルラ...私は...俺はッ!!お前のためなら...。」
「お前のためなら...何よ?良い加減、その偽善心は捨てて頂戴。気味が悪いわ。」
「.....何故、そこまで変わってしまったんだ...何が君をここまで?!」
「何が?!フフッ、全部よ...全部ッ!!はぁ...もう疲れたわ...ねぇ、ライ。夫婦として最後のお願い...楽に殺して?」
「何ッ?!」
「今日は...覚えてる?2度目の結婚記念日...フフッ、最後くらい私の言うこと聞いてよ?」
「俺に...お前を殺せとッ?!」
「殺す以外の選択肢はないわよ??さもないと、この戦争は歯止めが効かなるなる。貴方も分かってるでしょ?」
「....俺は....俺はお前ともっと...。」
「貴方の父親も母親も、同じ顔をしてたわよ?フフッ、まぁ死ぬ前は当然醜い顔だったけど...。」
「カルラッ?!お前...!!」
「貴方の妹も、酷い有様だったわね...最後まで私を見ながら死んでいったわ...。可哀想...生首になってまでも私を見つめていたんだから。」
「カルラァァッ!!」
グチャ、という何かが潰されるかの様な音がした。
その瞬間、腹部に激痛が走ったが...その痛みすら何故か受け入れられた。
血液が口の中に充満する。
その味が妙に気持ち悪かったが、これで最後だと言うのならそれすら受け入れよう。
「カルラ....俺が...もっと...クソッ、何でこうなった?!」
「フフッ"。良い顔が台無しよ。ハァ...貴方と普通に出会って...普通に恋に...落ちてたら。もっと...。」
「......ルラッ!!.....てくれ.....置いて...くれ。」
視界が完全に闇に染まる前に、最後に見えた彼の顔は、やけに綺麗だった気がする。




