表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

【第三章】魔力

「——う、……あ……ぁあ……っ!」

 衝撃が走った直後、俺は全身が痺れる感覚を味わう。

「あぁ~……」

「これ……。大丈夫、なんでしょうか?」

「さあ…………」

「大丈夫。…………だと思う」

「自信を失くさないで!?」

 神様達が何やら会話をしているが、俺の耳には全く届かない。

「ふ。仕方ない、か。——『重癒(ポアド)』——」

 そう、誰かが呟いた途端。俺の身体は、宙に舞うような感覚にみまわれた。

 いつの間にか瞑っていた目を開く。


 ふわふわと、身体が宙に浮いている……?


 いや、別に何の比喩表現でなく。本当に、舞っていたのだ。

「——え?」

 透明な球体に囲まれ、その中で俺は浮いていた。浮いているのに動ける。どういう原理? あ、いや……魔法に関してそんなこと言ってたらキリがなくなるか。

 そんな中、何やら神様達の騒ぐ声が聞こえてくる。

「わー★ ふわふわ浮いてる!」

「……そうね」

 ん……? 聞いたことのない声が聞こえるような……?

「ちょっと、早く下ろしてくださいよ——って、え?」

 声のする方に視線を向けながら、話しかけようとしたら——人数が倍になっていた。

 え? 何言ってんのか分かんないって? 俺の方が分かんないよ。

 七人から、十四人。シチニンカラジュウヨニン?

「視えるようになったようよ」

 ソフィア様のそばにいるのは……あれは、シロクマモチーフ、かな? 髪の毛が白いし。耳と尻尾丸いし。

(わたくし)達は魔力の塊のようなものですからね」

「あわわわ……っ。み、視えてるの……?」

 リナ様の隣にいるのが……緑髪と、桃色の髪の…………ひつじ? 尻尾ってあんなに長いんだっけ、ひつじ?

 フワリ様の長い髪の後ろに隠れているのが、青くて長い髪に、うさぎの耳だから、うさぎか。

「まずは、自己紹介。あと、今の現象について説明した方がいいんじゃない?」

 端的にまとめ、促したのは、ヒラリ様のそばにいる……、これはなんだ? と、トラ、かな?

「そうだねっ★」

 アミラ様の側におり、元気よく頷いたのは、猫耳の少女。

「そうね」

 ユイハ様の側にいるのが……。これはなんだ? 尻尾が長くて、太くて……。そんな動物いるか? ……ん? ()()()()()? まさか……恐竜?

「それでは、貴方から見て、右側から紹介していきましょうか」

 エミィ様の側に美しい姿勢で立っているのが、キツネ……かな。

「はーい★ わたしはホノア! アミラの妖魔だよ★」

 猫耳の少女の名前はホノア。そしてアミラ様の妖魔。

「私はネフィ。ソフィアの妖魔よ」

 シロクマの耳の少女はネフィ。ソフィア様の妖魔。

(わたくし)はツノダと申します。リナ御嬢様の妖魔でございます」

 ひつじ(?)の子がツノダさん。リナ様の妖魔。え? なんで、さん、をつけたかって? なんとなくだよ。

「あたしはライカ。ヒラリの妖魔」

 トラの耳の少女はライカ。ヒラリ様の妖魔、ね。

「わ、わわたしはフウ。ふ、フワリの、妖魔、だよ」

 うさぎ耳の少女の名前はフウ。フワリ様の妖魔。全然性格違っ——はい、すみません。

「私はティラノ。ユイハの妖魔だよ」

 恐竜(?)の少女の名はティラノ。ユイハ様の妖魔。ティラノって、もしかしなくても恐竜ってことだよね?

「私はメニアと言います。エミィの妖魔です」

 キツネの少女の名はメニア。エミィ様の妖魔。エミィ様はシスター服なのに対して、メニアは巫女服を着ている。

「それで、今、篤人(あつと)くんがふわふわ〜って浮いてたのはねっ★」

「ユイハの治癒魔法なんだけど」

「治癒魔法と言いましても重力系の魔法でございまして」

「貴方を囲った球体の中のみの重力をほぼ無にし」

「負った傷、とかを、ね……っ」

「治したり、ダメージを回復したりして」

「そうして今の状況がある——ということです。お分かりいただけたでしょうか」


「——はい、全然分かりません。まず、魔力の話から進めてほしいですね。何も分かりません。知識ゼロなので」


「それもそうだよねー」

「じゃあまず、今、ネフィ達妖魔が視えるようになったわよね」

「はい」

 まあなんか、らしいですね。“みえる”とか“おこす”とかまじ意味わかんないっす。なんの話っすか?

「う〜ん……なぁんて説明すればいいかな?」

「そうですわねぇ……。貴方が住んでいたところで言う……“まんが”、とか、“あにめ”、とかの……“ふぁんたじー”? ですわ」

「あ、なるほどですね。全て理解できました」

「「「「「「「は?」」」」」」」

「嘘ですマジでわかんないですごめんなさい教えてください」

「はぁ……まずさ、人間っていうか、全ての生き物がみーんな、魔力を持ってるの」

「一人一人、一つ一つによってその量に差はあれど、確実に魔力はあるわ」

「ですが、魔力を持っていても、それを使ったこと、見たこと、感じたことが無ければ、魔力を持っていても自由に使うことはできませんのよ」

「だから、その場合は無理矢理魔力を起こすしかないの」

「さっきみたいに、他人から魔力をどん、って」

「魔法はとりあえずどんな魔法でも良いですが、まあできれば初級魔法が良いでしょう。上級魔法や極致魔法では刺激が強すぎますので」

「そうして魔力の小孔が開かれるのだ。今、ホノア、ネフィ、ツノダ、ライカ、フウ、ティラノ、メニアが視えるだろう?」

「それはぁ、ホノアたちが魔力の塊でできた妖魔だから★」

「瞳の、魔力の小孔も開かれたのよ」

「だから、今まで見えていなかった(わたくし)達が見えていたのです」

「ずっと、隣にいたのにね」

「そ、それでっ。え、えぇっと……。フ、フワリが本条くんに『好風(ヴォント)』——風魔法の初級魔法を打ち込んだでしょ……?」

「それが……まあ、初めてにしてはちょっと手加減しなさすぎたんだよね、フワリ」

「ですので、すかさずユイハさんが『重癒(ポアド)』で本条さんを救った、と、いうわけです。本日二度目の質問となりますが……おわかりいただけたでしょうか?」

 神様たちとその妖魔による長い長い説明が終わった。

「えーっと……ギリッッギリ、理解できました。ありがとうございます」

「それで、貴方が人間世界に戻る方法についてよ。魔力を人と繋げるためには——」

「——すとぉおおぉっぷ!」

「な、何かしら?」

「や、ごめんなさい。……ちょっと、ちょぉっと、休憩させてください! 脳が、脳が……ついていきません…………!」

「そ、そう。分かったわ」

 ……と、いうことで、少し休憩したのちに説明してもらうことになった。脳処理作業、地獄。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ