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【第零章】崩壊

「——……ぁ、は……あ、ぁ……っ」

 意識が朦朧とし、喉が嗚咽を漏らす。

 赤く、まだ鮮やかな血。

 未だに生暖かい、両手の感触。

 無数に広がる、魔力の残滓(ざんし)

 ——火魔法、炎魔法、水魔法、氷魔法、植物魔法、雷魔法、風魔法、光魔法、重力変化魔法、治癒魔法——

 先程までこれらが飛び交っていたとは、考えられない。

 それでも——

 その全ての感覚器官、感覚細胞から伝達されてくる情報を無視して、氷の結晶のように輝き、崩れ落ちていく『時空の狭間』を、虚ろな目で、呆然と見つめていた——

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