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EP4.転校生と合鍵(ちょっと不満げな幼馴染を添えて)

 この度も本作にご関心をお寄せ頂き、ありがとうございます! 作者の平成ヨーグルトです。

 さて、本エピソードから転入生の色奈ちゃんと蓮也君達の交流が始まります! 彼女の正体とは一体……? 

 まあ、前回の時点でお気づきなった方も一定数いるかもしれませんが、彼女の人物像が大体分かる本エピソードで是非答え合わせをしてください!

 また、今回のエピソードの後半に、あるアニメの主題歌のパロディを挿れさせていただきました。アニメをご存知の方ならすぐにお分かりになると思います! 本編を読むついでに見つけてもらえれば幸いです!

 さあ! それでは謎の転校生、色奈ちゃんと蓮也君達の最初の交流が描かれるEP3、是非お楽しみください!


 「初めまして、海咲うみざき 色奈いろなと申します! これから皆さんと仲良くなっていけたらと思います! よろしくお願いします!」

 「「なっ!?」」

 「宮水と雀川、どうした?」


 その堂々とした態度、そして最近聞いたばかりの、印象深い凛とした声に驚く2人。


 「あ、いや、なんでもないです……すみません」

 「俺も、なんか、すいません」


 最初に我に返った姫華の詫びの一言を聞いた蓮也も謝罪の一言を入れた。


 「えー、事前に頂いた情報によると海咲は宮水の遠い親戚なんだってな?」

 「はい!」

 「は!? え、ちょ、今なんて!?」


 突然の情報に驚く蓮也とは対照的に、元気に応答する転入生-海咲 色奈。


 「そんじゃ海咲は5列目の1番後ろの席に座ってくれ」


 そうこうしているうちに、担任に席に座るように言われ、蓮也の隣の席に近づいていく色奈。蓮也の近くまで来た瞬間、彼女は蓮也にウインクをした。

 だが、彼はそれどころではなく、固まる事しか出来なかった。

 

 そしてそのまま帰りのホームルームは終わりを迎え、掃除の時間になった。だが、クラスの大半は転入生である色奈に興味津々。

 

 転入初日の定番、質問攻めが始まった。


 「色奈ちゃんって、宮水君と親戚なんだ?」

 「うん、でも蓮也とは小さい頃に会って以来、今日の今日まで顔を合わせてなかったんだー」

 「へー! そうなんだ?」

 「ねね、色奈ちゃんってすごい綺麗で可愛いね! 肌とかすっごく白いし!」

 「えへへ、ありがと!」

 「海咲さん、俺と連絡交換しない?」

 「あ、俺も俺も!」


 そんな様子を見た担任が口を開く。


 「おーい、下心丸見えの男子共。連絡交換する暇があるなら掃除しろ」

 「ちぇっ!」


 だが、何故か親戚扱いをされている蓮也は未だに状況を呑み込めていない。しかし、色奈の声にはどうも思い当たるものがある。

 それは彼の隣で色奈の様子を見ている姫華もそうだった。彼は顔を見合わせ頷くと色奈に近づき、声をかけた。


 「えーと、色奈、だったか? ちょっと俺達に付いてきてくれないか?」

 「うん!」


 




 誰も居ない校舎の中庭まで来たところで蓮也は色奈に向き合い、ずっと訊きたかった事をぶつけた。


 「なあ、お前ってもしかして、あの時の巨人か……?」


 それを聞いた色奈は一瞬驚いた反応を見せ、すぐさま笑顔になった。


 「流石蓮也、そして姫華! そう私こそ……」

 「ちょ、ここで名前を叫ぶなよ。皆に怪しまれるだろ」

 「アクアブレイブ、で合ってるかしら?」


 蓮也に続けるように姫華が訊く。


 そう、今2人の目の前にいる色奈こそ、彼らの命の恩人であり、蓮也と共に戦った蒼き鋼鉄の巨人、アクアブレイブなのである!


  姫華の問いに大きく頷き返す色奈。


 「まさかもうバレちゃうなんて、すっごくビックリしてるよ!」

 「俺達はお前がこの学校に来た事にビックリだよ…」

 「でも、どうしてこの学校に?」


 姫華の質問に色奈は得意げに答える。


 「フッフッ、それはこれからの怪獣出現に対応する為に蓮也に近くにいる必要があったからだよ」

 「そっか、確かお前って人間に擬態出来るんだもんな。ていうか、俺以外と一体化って不可能なのか?」

 「うん。なぜか分からないけど、蓮也以外とは無理みたい。それに誰にでも擬態出来るんじゃなくて、元々の姿であるこのJKフォームにしかなれないからいっその事、普通に学生として過ごそうかなって。」


 スカートに手をかけ、その場で一回転して見せる色奈。


 「JKフォームって言い方気持ち悪いな……んで、俺のそばにいる為に遠い親戚を名乗っているのか。てか、よくそんなに話が上手く進んだな」


 蓮也の言葉に頷きながら、こう続ける色奈。


 「ああ、黒いフードを被った人物があの戦いの後にまた私の前に現れてね、昨日の今日で手続きが終わったらしい」

 「すげーなそいつ……」


 一連の話を聞いた姫華は考え込むしながらこう言った。


 「けれど、そんな強引に手続きを済ませるにはかなりの権力を持っている人物でなければ出来ないはず。一体何者なのかしら……」


 そう、今この瞬間、再びフードの人物の謎が深まってしまったのだ。だが、姫華が気になったのはそれだけではない。


 「あの、色奈さんってこれからもアパート暮らしなの?」


 そう訊かれた色奈は胸を張って、こう答えた。


 「ああ、その事なんだけど……蓮也に伝えたい事があって」

 「お、おう……」


 急に改まった態度を見せる色奈に少したじろぐ蓮也。何も知らない人達が見たら、それはもはや愛の告白が行われる現場だと勘違いしてしまうであろうぐらいの緊張感が漂う光景だった。

 そんな緊迫した状況の中で、色奈は遂に口を開いた。


 「蓮也には言ってなかったんだけど……蓮也の家の2階の空き部屋、これからは私の部屋になるから」

 「……ん!?」


  色奈の口から飛び出てきたのは、蓮也の予想とは全く別の角度からの言葉だった。

 その言葉に驚きを隠せない蓮也。そして隣にいる姫華も驚愕のあまり、声さえ出せていない。

 だが、当事者として状況を理解しようと蓮也はなんとか言葉を紡ぐ。


 「えっと、あの部屋は確かに空き部屋なんだけど……えーと、つまり色奈は俺の家に住むって事か?」

 「うん!」

 「えーと、荷物とかはいつ俺の家に持ってくの?」

 「ああ、もう荷物一式はその部屋に移動させたよ!」

 「うぇ!? いつの間に!?」


 驚きの声を再び上げる蓮也。そんな彼の驚きに応えるように、姫華は続ける。


 「フードの人が引っ越しの手続きとかもやってくれたみたい!」

 「は!? 俺の許可降りてないのに!? マジでなんなんだよソイツは!? てか、どうやって家の中に入った!?」

 「その人から合鍵貰って入ったよ」

 「え!? 家の鍵まで!?」


 蓮也の中でフードの人物の株が下がったのをよそに、色奈はこう口にする。


 「正直な話、フードの人の正体はまだ分からないけど、きっと悪い人ではないと思うよ。私達と同じように平和を守るために動いてるんじゃないかな!」

 「そうかそうか、俺の日常が何者かに侵略されてるゾっていう状況になってるから、全然プライベート面で安心できないんですけどね!」


 自身の私生活まで、黒フードの人物に握られてしまっている事を知った蓮也はこれから、戦いとは別の苦労に悩まされるだろう。

 

 そんな先行き不安の未来に軽く絶望した蓮也とは反対に、テンションぶち上げの色奈は止まらない。 


 「さあ、我らのマイスイートホームに早速向かおう!」

 「いやいや、カバンがまだ教室に……」

 「おっと、そういえばそうだったね。よし、まずは教室にダッシュ!」


 そう言って色奈は蓮也の右腕を掴んで走り出した。


 「おい、腕をそんなに引っ張んな! ちょ、一旦止まれって!」

 「ゴーゴー!」


 あっという間に校舎へと入っていった2人を見てため息をついた姫華。だがその顔は呆れ顔というよりは、どこかヤキモチを妬いているような顔であった。

 





 そんな彼ら3人を、学校の体育館の屋根の上から見据えている人物がいた。黒きフードで全身を包み、顔さえ覗く事が出来なさうな容姿をした彼はこう呟く。


 「怪獣との初戦闘、そして私生活における接触が完了したか……それでは、次の段階へと計画を進めるとしよう……」


 そんな彼の存在に、中庭に取り残された姫華は気づく事はなかった……

 

 


 


 


 改めまして、この度も本作をお読み頂き、ありがとうございます!

 さて、色奈ちゃんの事ですが、とっても元気っ子でしたね!(笑)

 彼女の正体にお気づきになっていた方や今回のエピソードで初めて知った方も、どちらの視点からも納得のいく人物像ではなかったでしょうか?

 そして蓮也の悩みの種も増えてしまった本エピソード、全体的に緩く話が進んでいましたが、ラストには謎のフードを被った人物が……一体彼は何者なのか? 敵か味方か? いつか明かされるその日まで、是非ご愛読頂けたらなと思う所存です!

 さて、次回の投稿は3月末の予定です。それまでの間、是非心待ちにして頂けたら幸いです!

 また、皆さんからのご感想などもお待ちしております! 皆さんからの評価が、私が絶好調になるための何よりの支えです! 是非一言だけも頂戴出来たらなと思います!

 そして、本エピソード開始直前に私が言及した、とあるアニメの主題歌のパロディにお気づきになった方も是非コメントでお教えください!

 これからも本作への応援、よろしくお願いします!

 

 

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