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世紀末反抗期  作者: syi
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第6話 宵とケイ

 「…知らない、天井だ…」

ベッドに横たわりながら、このセリフを言うことになる日が来るとは思わなかった。だが…本当にここはどこだ…?


 「おぉきぃたぁぁぁぁ!!」

いつの間にか、ドアを開けて入ってきた遥が俺を見るなりバカでかい声で叫んだ。

「…遥…声デケェ…」

最早、突進とも言えるほどに増した勢いで抱きついてきた。

「よがっだよぉ…丸一日寝てたんだよぉ…

。゜(゜´Д`゜)゜。」

「…く、苦しい…」

抱きしめる腕を緩くした後、頭を撫でながら遥を宥め、ゆっくりと起き上がると開きっぱなしのドアから見知らぬ人が2人、仲良さげに話しながら部屋に入ってきた。

誰だ…?

「关系真好(本当に仲が良いのね)」

「Yes, but don't flirt forever.(あぁ、だが、いつまでもイチャつくな)」

微笑ましそうにこちらを見る、やけに大人びた黒髪長髪の女性と、嫌味なのか、腕を組んで冷たい目線をシラッと向ける金髪のヤツがいた。

「…どちら様で?」

質問をすると女性の方が、

「私は「(シァォ)」と申します。遥さんの仲間ですので、貴方とも仲良くさせていただきたいわ。18歳よ。よろしくね」

姫の様に丁寧にお辞儀をした。結構いいとこの育ちそうだな…

もう一方は素っ気無い態度で、俺を指差ししながら冷たく言い放った。

「ケイだ。とっとと、遥から離れろ」

俺は遥の頭を撫でながら、お前は遥の何なんだ、と思った。

が…遥は学校でモテていることを思い出した。なんか、二つ名があったような…肝心の本人は頭に「?」が浮かんでいるがな。可哀そうに…こんなヤツなんかにも好かれるなんて…

「この人は極度な人見知りなもので。ごめんなさいね。この人はケイ。自称英国紳士で、17歳よ。何故か知らないけれど、遥ちゃんのことが好きみたい。執着に近いかしら?何だかんだ言って良い人だから、こんな態度だけど」

ケイの肩を強めに叩きながらそう言った。

「そんなことは無い!というか止めろ!」

とケイが宵の言ったことを否定したが、ほらね、こんなのだからぁ、と笑ってスルーされていた。

すっかり泣き止んだ遥もそんな2人の様を見て笑みを浮かべていた。

「…親子みたいだな…」

つい口から出た言葉に対し、宵とケイはハモって、

「「そんなことは有り得ない(です)!!」」

と言った。

それを聞いたとき、俺と遥は顔を見合わせ、そろって爆笑した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「りっちゃんは天邪鬼が目覚めたことで脳が処理、追い付かなくなっちゃってブッ倒れたのさぁ貧血気味になっているから気ぃ付けてねぇ。天邪鬼が目覚めた人って大体最初はそうなるから通過儀礼みたいなものだよぉ。特に気にしなくていいのさ☆」 

遥の説明を聞いてとにかく安心した。あの時のあれは天邪鬼が目覚めたと言うことで間違い無いのか。

ここまで運んでくれた遥には感謝だが…

「いい加減降りてくれ。重い…」

「却下ぁ☆」

先ほどからずっと抱き締められている状態なため、ベッドから動けず仕舞いだ。だんだん、足がしびれてきた。

「急に翼の生えた馬が自由に飛べるようになるかっていうことだなぁ!はっ!」

ケイ、ことごとくイラつくやつだ。そこまで俺のことを毛嫌いされてもな…

「ケイは最初、泡吹いて気絶してたよねぇ」

遥が一切の悪気の無い、純粋な笑顔で言った。

「えぇ。白目も向いていたわね。」

宵も面白そうにケイのことを人差し指で突きながら援護射撃を食らわせた。

「ちょっ、止めろ…」

ケイは黒歴史を暴露され、恥ずかしさと怒りで震えていた。

俺はその光景が面白可笑しかった。

ざまぁ見やがれ。乙~(笑)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ケイを散々イジリ倒した後、話は明日のことについてになった。

「とりあえず、天邪鬼の使い方については実戦が今のところ一番わかりやすいから、明日は実際の戦闘をメインにしていきたいわね」

宵の提案で、明日はとにかく、俺が天邪鬼の使い方について慣れる為に実戦をしてみようということにした。遥は嬉しそうにしていた。

「久しぶりの実戦だぁ。ちょっと遠く行かなきゃねぇ」

あの黒いバケモンか…上手くやれるかは心配だが、どうにかなることを願って戦うしかないな…

俺の天邪鬼は「理解不能」なんだよな。どんな能力か、身に付けておかなければならないし…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「お前らって、付き合ってんの?」

突然、黒歴史を暴露され、へそを曲げたケイが聞いてきた。こいつの目にはそう見えるのか?じゃあ、少し弄ってやろうか…!

「ただの幼馴染だが?」

澄ました顔で言った。

「じゃあっ、何でそんなにくっ付いて居るんだよ!!」

ムキになったのか、怒鳴った声を出した。

「変か?」

「…ッ、おかしいだろ!!」

遥を抱えてベッドに座り直し、いまだに抱き着いたまんまの遥を膝に乗せた。予想通り、遥はもっと俺にすり寄ってきた。俺は全力でドヤ顔を作り、言い放った。

「「ただの」幼馴染ですが何か?」


 Noh!!


 血の涙を流したケイを見て、さらにドヤ顔をした。遥を見ると、その恰好のまま寝落ちしてしまっていた。

「最終的に俺が動けないじゃないか…」

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