第3話 作戦会議Ⅱ
遥視点です。
朝、気づいたら寝落ちしていたうちらは、準備をしていたんだけど…りっちゃんは半寝の状態でゆくっりとしていた。
「きょ、うは!作戦会議、でっきるっかな!」
りっちゃんがいるせいか、うちはいつもよりもテンションがちょぉぅっと高かった。
「…朝から…テンション高いな…」
こっくりこっくりしながら、半目状態でりっちゃんは朝食を作っていた。
「…ほれ…朝食…」
りっちゃんが作ったのはトーストにベーコンエッグをのせた、シンプルなものだった。
「…あったもの…適当に使った…ぞ…」
いただきまぁす!と言ってから朝食を食べ始めた。椅子に座ったりっちゃんを見たら…
まばたき遅すぎん?っていうか、最早寝てない!?
けれど、りっちゃんの作ったトースターは、黄身が半熟で美味しかった。
「りっちゃん、料理出来たんだねぇ。美味しい美味しい!」
「…」
あれぇ!?りっちゃん、寝てる!?寝るなぁ!起きろぉ!
「…ん…?ふぁあ…?」
「起きたぁ!」
「…?」
りっちゃんの頭にいくつかの「?」が浮かんでいたけど、まっ、どうでもいいやぁ。とりあえず、今日はりっりゃんに「天邪鬼」と「世紀末」について説明できるかなぁ?
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「それでは、これから作戦会議を行う」
そう言って、りっちゃんは腕を組んだ。何でパソコンなんて出しているのさぁ?何にも調べることなんて無いのになぁ…
「遥、昨日の続きを頼む」
「はぁ〜い!」
うちは、知る限りの「天邪鬼」のこと、「世紀末」のこと、伝えるべきことを全て語った。
「天邪鬼っていう能力はねぇ、唯一無二のものなんだぁ。人によって色々。その人の性格が出るとか出ないとかぁ。決して被ったりすることは無いらしいよぉ。それで、「異世界」って一言で言っても、この世界、現世を模しただけじゃなくて、絶望や負の感情、争いなどが溢れている、所謂世紀末的なところなんだよぉ。だから、うちらは異世界のこと、「世紀末」って呼んでる。なんか、そこにはバケモノ?みたいなヤツらがいてね、天邪鬼で倒すんだぁ。あっあと、世紀末は現世と同一化?しようとしているらしくって、それも止めなきゃなんないらしいよぉ。でねぇ、世紀末に行けるのは中高生が多いんだってぇ。」
りっちゃんはパソコンでうちの言ったことをまとめたりしていたっぽかった。時々、首を傾げて何か呟いていた。
「…遥」
突然声をかけられて肩がビクっとしちゃった。
「なぁに?」
「バケモンって何か特徴とかあるのか?」
特徴かぁ…正体知らんしなぁ…プレギっちに聞くしか無いんかなぁ?
「なんかねぇ、黒い」
「黒い?」
「うん。黒くてぇ、もや みたいなぁ?( ´∀`)」
「へぇ…」
「この写真みたいな感じぃ?」
そう言って、うちはホワイトボードに引っ付けた「怨」の写った写真を持ってきて、りっちゃんに見せた。りっちゃんはそれをまじまじと見て、それからまた首をかしげていた。
「じゃあ、何で、中高生なんだ?」
「さぁ?(*゜▽゜*)」
「中高生特有の何か…思春期?」
「反抗期ぃ?(・・?)」
「…厨二病かもな」
「誰じゃぁ!∑(゜Д゜)」
「お前」
「ちゃうわぁ!٩(๑`^´๑)۶」
顔文字うるさい、と頭を叩かれちゃった。でも、久しぶりにりっちゃんの笑った顔を見たなぁ。
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「なぁ、もし思春期とかだったら、お前は何でなるんだよ?」
「なんとなくぅ?」
そんなことを聞くなんて野蛮だなぁと思った。別になりたくてなった訳では無いんだけどねぇ。
「それだったら器用なヤツだな…」
「まぁまぁ( ´∀`)」
「親の不倫か?」
おっ際どいところを突いてきたなぁ。その通り、学校帰りにパパの不倫現場を見かけちゃって気まずくなっちゃったんだケド…
「うちの親がそう見えるぅ?」
「勘」
勘、鋭すぎない?やっぱり、あの頃から変わってないなぁ。
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親が中学からの親友だったらしく、うちとりっちゃんは物心がつく頃にはとっくによく一緒に遊んでいた、所謂「幼馴染」ってやつで、更に家もお隣さんだった。小学校までは一緒だったんだけど、中学に上がるときにりっちゃんの方が私立の中高一貫校に合格、入学して、そこから通学に便利なようにって駅の近くに引っ越しちゃったから久しぶりに会ったんだけど…
「見た目以外は」変わってなくて安心したぁ…
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それからも、うちらは天邪鬼や世紀末のことについて話していた。
「もうこんな時間だな」
「そうだねぇ…おやすみぃ」
外を見ると、話に熱中していたからか、すっかり日が沈み、満月が輝いていた。
「風呂ってあったりするのか?」
りっちゃんはパーカーを脱ぎ、半袖姿になっていた。
袖から出てる腕…えっ?筋肉が、ある…だ、と!?なんだと…っ!?
「なんか、3階に浴槽付きのシャワー室があった気が…」
「遥は?」
「へ?」
なんで、うちも?え?なんで?なんでぇ?りっちゃんはただお風呂に入ればいいだけじゃないの?なんでぇ?
誰が見ても驚くほどに目が真ん丸になりましたとさ。
「一緒に…入りたいの?」
口から溢れた言葉に自分でもびっくりした。りっちゃんは外方を向いてた。
おやっ?耳が赤くなっているぞぉ?
「…ミスった…」
うちはその夜、いのりちゃんと間違えたんだろうというニヤニヤと、謎に顔の火照りが止まらなかった。
「プレギっち」→遥が付けたあだ名。プレギエラと言う神(友達感覚)