第2話 作戦会議
キャラ設定について
望月龍成…高校1年生 (16)
誕生日…6月14日 身長…176㎝ 体重…59.3㎏
見た目…漆黒色の髪にエメラルドグリーンの瞳
一ノ瀬遥…高校1年生(15)
誕生日…2月22日 身長…161㎝ 体重…?(BMI…17)
見た目…オレンジブラウンの髪のポニーテールにダークブラウンの瞳
「ねぇ、世界救ってみない?」
今までに無かった程にワクワクした。ゲームのガチャで確率0.0001%の超レアキャラを引いたときよりもずっと。
俺が世界を救う?バトル漫画やゲームの主人公みたいに現実でなれるというのか?
それができる可能が今、目の前にあるということに男心がくすぐられる感じがした。
「あぁ、もちろんだろうが!」
自信を持って意気揚々と口から出た言葉…
に俺は今、とてつもなく後悔している。
「あぁ…何であんなこと言っちゃったんだろう…はぁ…」
俺はアスファルトの冷たい地べたに座り込み、大きなため息をついていた。
「なんてこと言ってるのさぁ。自分で自信満々に言ったことだよぉ?」
遥はいたずらっぽい満面の笑みで言った。逆光で陰になったその笑顔には謎の威圧があり、否定をすることを許してはくれなかった。
「はい…」
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遥の誘い返事した後、遥はグンっと口角が上がり、満足そうな笑みを浮かべて着いて来てと言った。
およそ10分間歩いて到着したのは、見るからに廃屋そうなビルだった。
「ここは…?」
「ここがうちらの拠点だよ!さぁ、行こぉ!」
全力でビルを指を指した後、ビルの自動ドア(今はロックがされているはず)をあっという間に開け、俺は入り口のホールに自転車を停めた。そのうちに遥はエレベーター(もちろん動かないはず)を素早く起動させて、俺を待っていた。
「りっちゃ〜ん!こっちこっちぃ!」
「…あぁ」
最上階である7階まで上がっていった。
色々とツッコみたかったが、あまりにも綺麗な手捌きでやっていたため、突っ込むどころか唖然した。
空き巣にでも慣れてんのか?ヤベェ奴だ…
「ついたよ!じゃじゃーん!」
窓からの月明りが照らす部屋に入り、中を見渡してみるとあちらこちらにはホワイトボードがあり、地図や写真、メモが貼られていた。
「どお?」
「すごいけど…どこから持ってきた?お前が地道に持ってきたとかじゃなさそうだしな」
「え…っ?なんかひどくない?言った通りだけどさぁ…」
「言った通りなのかよ…」
よくよくホワイトボードや地図を見てみると埃を被り、しばらく放置されていた痕跡があった。
何だこのマーク…翼?
きっと、何かしらの原因で会社でも突然廃業し、そのまま残ったものを利用させていただいた感じだろう。
だが、掃除くらいはして欲しかったな…埃っぽくて目が痛い…
「これから作戦会議をさせていただきまぁす!」
と言って、机の上にいろいろな場所に赤ペンで描かれたバツ印のついた地図と模造紙を埃が舞うほど勢いよく広げた。
「世界を救うって具体的にはどういうことなんだ?」
「そんなに急かさないでよぉ。トーマス君」
「誰がトーマスだ」
遥はやっと聞いてくれましたかぁと言わんばかりの顔で、落ち着いた声のトーンで説明を始めた。
「うちらはね、「天邪鬼」っていう能力を使って戦うのぉ。戦うのは現実の世界、現世じゃなくて、この世界を模した異世界的なところで化け物みたいな奴らと戦うんだぁ」
これを聞いた俺は「能力」「異世界」といった俺がよくやる、好きなゲームのような言葉に心が踊った。
「死ぬこともあるから、無理はしないでね」
突然、遥が今までで見たことがないほどの真面目な顔をして言った。そのダークブラウンの瞳は真っ直ぐと俺を見つめ、それが冗談ではない事が分かった。俺の脳内で彼女の声が木霊した。
死…。友だちとふざけて言い合うような言葉が急に現実味を増して、座り込んでしまった。
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そして冒頭に戻る。
遥は焦った様に無理に明るい声を出した。
「でも!回復系の能力を持って人もいるし…」
「一撃で死んだら…?」
「でも!死者蘇生の能力を持っている人と合流できたら…」
「合流…できなかったら…?」
お互いに段々と気力を無くしていった。そうしてついに、遥も地べたに座り込んでしまった。
ズーン
「あぁ、もう!暗い雰囲気にしないでよぉ!いい話もあるんだからぁ!!」
そう言って勢いよく立ち上がった。全力でポーズを作り、天井に指を指して言った。
「異世界での冒険!仲間との出会い!新たな敵を倒す!レベルアップ!絆が深まる!恋愛!そして別れ〜」
声を無理にでも明るくしたような声。まるで少年漫画のような話だ。だけど…
「恋愛はいらないな。」
「えぇっ?なんでぇ?」
更に目を見開いて、身体を大袈裟に動かしながら言った。
「あのチビで泣き虫でお馬鹿なりっくんが…」
「うるせぇ!!」
幼少期の事のことをいつまで引きずるんだよ。だからこいつと「幼馴染」って嫌なんだよ…つうか、高校生なんだから、好きな人が1人2人いてもおかしくないだろ。
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壊れかけたブラインドから差し込む光で目が覚めた。どうやら寝落ちしていたみたいだった。日は昇り、時計は5時を指していた。
「おっはようございまぁす!今日も作戦会議を続行!さぁてさて、本日はまともな作戦会議が行えるのでしょうかぁ!?」
早朝から遥はひどく元気だった。
「はぁ、何を言っているんだ。するんだよ。」
窓からは白々とした陽の光が入って来て野鳥の鳴き声が響いた、清々しい朝だった。