75
馬路まんじですわああああああああああああ!!!!!!!(´;ω;`)
一度75話~78話投稿してるのですが、リメイクです!
窓からさす朝日。チュンチュンと鳴くスズメの声。それらを背景に、王子様はわたしを見て微笑を浮かべた。
「あぁ、目覚めたかレイテ嬢」
「ってわひゃ~~~~~~!?」
【速報】起きたらヴァイスくんが添い寝してました!【謎】
いやなんでじゃぁい!?
「ヴァヴァヴァヴァヴァヴァイスくんッッッッ!」
「ヴァヴァヴァヴァヴァヴァイスくんだ」
うっさいわ!
「えっえっえっ、なんで隣で寝てるわけ!? なにがどうなってるの!?」
まさか夜這い――ってことはないわよね。ヴァイスくんいい子だし。あとわたし極悪すぎるから魅力ないだろうし。
「えぇとっ、えぇっと、寝る前に何があったっけ……!? たしかシャキールくんのムチャうまカレー食べてたら国さえ滅びかねない巨大ドラゴンや魔物の大軍勢やらが襲いまくってきて、それをヴァイスくんがズパーンッてワンパンしたヴァイスくんで……!?」
「ああ。シャキールくんのムチャうまカレー食べてたら国さえ滅びかねない巨大ドラゴンや魔物の大軍勢やらが襲いまくってきて、それをヴァイスくんがズパーンッてワンパンしたヴァイスくんだ」
「いちいちうるさいわ!」
寝言に思える内容だけど、やったのはヴァイスくんだから現実だってわかるわ。この無表情バキバキ王子様の最強っぷりはよくわかってるもの。
「それで事後処理に向かおうとしたら、くらっとなってバタンキューしちゃったんだっけ……」
「その通りだ。疲れが溜まっていたようだからな」
ヴァイスくんは「もう気分は大丈夫か?」と心配してくれた。やさしみ。
「まぁね。すっかり身体が軽くなったわ。にしても疲労で寝込んじゃうなんて、このレイテ様としたことが不覚だわ…………ってそうじゃなくて!?」
なんでヴァイスくんが隣で寝てるかよ!
「どうしてここにいるわけっ!?」
「覚えてないのかレイテ嬢。キミのほうから誘ってきたんだが」
「わたしが誘ったッ!?」
えっえっえっ、わたしってばどうしちゃったわけ!? ていうか彼とナニしちゃったわけ~!?
「キミが眠り込んだ後のことだ。俺は責任をもってキミを自室へ運び込んだ」
「えっ……その時ってまだ地上から魔物が攻め込んできてた時じゃない?」
空から攻め込んできたドラゴンやら大量の魔物はヴァイスくんが仕留めたけど、でも地上のほうからも数百体くらい攻めてきてなかった……?
「ケーネやせっちゃんが食い止めてた時じゃない? わたしなんて放置してそっちの支援に向かったほうがよかったんじゃ……」
「問題ない。日々ちょっと殺す気で鍛えてやったからな」
「スパルタ師匠ッッッ!?」
まぁヴァイスくんって手加減できないタチだものね……。それだけ本気で鍛えてあげてたってことで、イイこと、なのかしら?
「それで、だ。キミをベッドに寝かせた時だ。わずかに目を覚ましたキミは、ふいに俺の手を強く引いて……ベッドまで引き込み……」
「あわわわわわわわわっ!?」
もしかしてそのまま、彼のことを誘惑しちゃって――!?
「……そのまま、俺の指をおしゃぶりに二度寝したぞ」
「えっ」
「明け方近くまで美味しそうにしていたな。おかげでほら見てくれ、俺の指がどろどろだ」
そう言って差し出された彼の指は、たしかによだれでベトベトだった……!
「って、ふぎゃぁあああああああ~~~~~~~ッ!? わわわわわっ、わたしってばそんな赤ちゃんみたいな真似してたのぉお~~~~!?」
「安心した寝顔だったな。とても可愛らしかったぞ」
「うううううるさいうるさいうるさぁああいっ!」
もうもうもうっ、悪の女王様なのにとんだ恥を掻いちゃったわ……っ!
「うぅ……でもよかったぁ。てっきりヴァイスくんとアレしちゃったかと……」
「アレとはなんだ?」
「ああああああっ秘密よアホヴァイスくん!」
「アホヴァイスくんか……」
ヴァイスくんは肩を落としてしまった。ちょっ、そこまでへこまなくていいのよ!?
「どうやら俺はキミを怒らせてしまったらしい。そうやって無自覚に弟の不興も買い、革命に走らせたことで国家を崩壊に導いてしまったアホヴァイスくんだ……!」
「ってクソデカ後悔やめろぉッ!」
規模がデカすぎて励ませないっつの!
「もうヴァイスくんってば……」
「だが」
そこで、彼はわたしの手を強く握ってきた。って、ふぁっ?!
「約束しよう。この地と、そしてキミだけは絶対に守り抜くとな」
「はっ、はひ……!?」
「一生の約束だ。どうか覚えておいてくれ」
び……びっくりしたぁ~~……!
彼ってば、いきなりすごく真剣に言ってくるんだもん……!
「わ、わざわざそんなこと言わなくても、ヴァイスくんのことは信じてるわよ。ていうか一生ってどういうこと?」
「それは……」
と、彼が言葉を続けようとした時だ。ふいに領主邸の外から、『愛おしすぎる気配を感じる……ッ! レイテ様が目覚めたようだぞ!?』という声と、それを皮切りに一気に沸き立つざわめきが。
「な、なんなのよ」
戸惑いながら窓の外を見る。すると、
『ウォオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーッッッ! レイテ様がご復活なされたぁあああああああああぁあぁああああああああああぁああああああ~~~~~~~~~~~~~!!!!』
「ひえっ!?」
見下ろした先には、領主邸周囲を軍隊アリのように埋め尽くす領民たちの姿が!
『レイテ様ぁぁあああああああ~~~~~~! おっはようございまぁああああああああああああーーーーーーーーーーすッッッ!』
「ってうっさいわーーーーーーっ!」
なによコイツら? もしかして、わたしのことが心配で朝まで待機してたってわけ? ふんっ。
「……そんな媚びた真似してもっ、アンタたちは一生奴隷扱いなんだからねぇ~~~!?」
『望むところでえええええええすっ!』
「望むなっっっ!」
ふんふんっだ。本当は極悪なわたしが大嫌いな癖に。どーせお給料上げてほしかったり、待遇よくしてほしいだけでしょ。
「まったく、困った連中よねぇヴァイスくん?」
「ふっ……その通りだな」
苦笑を浮かべるヴァイスくん。
どうやらわたしの言葉に思うところがありそうね。まったく、どいつもこいつも生意気なのよ。
「ふんっ。この極悪令嬢レイテ様が復活したからには、どいつもこいつも地獄の苦しみを味わわせて――ってアイタァッ!?」
その時だった。わたしの両目に、鋭い痛みが走った!
「レイテ嬢ッ!?」
「ひぃ~なにこれ~!? 目がしみりゅぅ~~!?」
『レイテ様ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!?』
「民衆はうるさいッ!」
眼球が熱を帯びたように熱い。
すわ何かの病気か、わたしが完璧美少女過ぎたから『女神アリスフィア』がデメリット効果もたせて性能ナーフをしかけてきたのかと、運営サイドの陰謀を疑ったときだ。
フッ、と。急に瞳の痛みが引き――そして。
「……あれ?」
「レイテ嬢、大丈夫か……?」
これ何本に見える、と言ってヴァイスくんは指を一本立ててきた。
いや目が潰れたわけじゃないわよ。ちゃんと見えてるっての。
見えてる、んだけど……。
「なに、これ?」
わたしは、『ヴァイスくんの側に浮かんだ文字列』を見て、瞠目した。
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・対象名:ヴァイス・ストレイン
・性質:中立・善
・出自:ストレイン王国・第一王子
・性能
『統率力:A』『戦闘力:SS』『巧智力:C』『政治力:D』『成長力:A』
・特記才覚
『ストレイン流異能剣術』『運搬』『官能小説執筆』『色魔の誘惑(半覚醒)』『騎乗(未覚醒)』『ベッドメイキング(未覚醒)』『色魔の指遣い(未覚醒)』
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「な――なんなのよぉ!?」
わたしはビシッと指をさした!
なんか、ヴァイスくんに変な文字が見えるんですけどぉ!?
「わけわかんないんですけど! なにこれ!」
「? 俺はヴァイス・ストレインだ。よろしく頼む」
ってあなたじゃないわよ!




