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◤書籍化&コミカライズ配信中!(検索!) ◢極悪令嬢の勘違い救国記 ~奴隷買ったら『氷の王子様』だった……~  作者: 馬路まんじ@サイン受付中~~~~
第二部:太陽の王子と魔獣の乱舞

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59/133

59:幼馴染の覚悟

途中でもご感想ぜひください~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!




 というわけで、



「よく来たわねぇケーネリッヒ! ここがわたしの領主邸よぉ!」


「いや、たまに来るから珍しくは……」


「このクソガキッ!」



 ケーネリッヒを保護してあげたわ。


 このレイテ様の慈悲にむせび泣くことね~~~。



「身内には優しいレイテ様なのよ。わたしと親戚でよかったわねー?」


「……ああ。色々と言いたいこともあるが、お前には感謝しかない。このケーネリッヒ、心からの礼を示そう」



 と言って片膝を突くクソガキさん。


 ……ふんっ、慣れない真似してんじゃないわよ。



「母上のことを保護してくれたのは本当に有難い。……父との生活で、だいぶ憔悴していたからな」



 こいつのお母様は別館で静養させている。


 病んでいる様子だったけどまぁ大丈夫でしょ。



「世話役にメイドを山ほど付けておいたわ。ウチのメイドは未亡人を主に雇ってるから、苦労者同士、いい相談相手になってくれるでしょ」


「そうか。お前には感謝してもし足りないな……」


「だーかーらっ」



 わたしはクソガキの(すね)を蹴ってやった! 極悪令嬢キック!



「いだっ!? 何をするんだレイテッ!?」


「アンタも辛気臭い顔してんじゃないわよ! さっさと生意気に戻りなさいっ」



 これじゃ調子が狂うっての。ケーネリッヒといえばいつもピーピー喚いてないと。



「もしかしてお腹空いてるの? クッキーあげよっか? わたし、ドレスの袖の中に入れてるから」


湿気(しけ)るだろそれ……。別に腹は減ってない」



 じゃあなんで暗いのよ。



「今回の件……全ては俺が、父上(ブルリック)に怯え竦んだことで起きてしまったんだ。それが情けなくて恥ずかしいんだよっ」



 クソガキさんは顔を背けながら吐き捨てた。


 なんか目元が赤くなってるけど……まぁ見て見ぬふりしてあげるレイテ様よ。



「お前の領地から技術を奪って来いと言われたとき。あそこで男らしく断ればよかったんだ」


「そしたらお母様を折檻されちゃうんでしょ?」


「そうなる前に俺が父上をボコしてやればいいッ! ……それが出来ずにいつまでも怯えた結果が、コレだ。全部お前に解決されてしまった」




 加えて、と涙目で彼は続ける。



「オーブライト領民を、大量に奪われることになってしまった……!」



 ケーネリッヒは領地(ウチ)に続く丘を見た。


 そこにはこちらに向かって歩く、数多くの一団が。


 オーブライト領民たちだ。数百、あるいは数千にも及ぶ者たちが、わたしの転居者優遇宣言を聞いたことで、即日の引っ越しを決めてしまったのだ。



「アンタには辛い光景ね。たぶん、明日にはもっと多くの人間が来るわ」


「……自業自得だよ。オーブライト領は、領民に優しいとは言えなかったからなぁ……」


「そうね」



 ――ふと、別館に向かう途中のメイドを見かけた。



「あぁっ、これはレイテ様!」



 わたしへの明るい笑み。お金欲しさで媚びてるだけだろうけどすごく明るい。


 それに対し、



「っ…………それと……ケーネリッヒ坊ちゃま…………」



 ケーネリッヒを見た瞬間に彼女の顔が曇った。その反応にケーネリッヒが怪訝とする。



「な、なんだメイドよ。俺が何かしたのか?」


「……いえ、坊ちゃまは何も。ただ私の夫が魔物との戦いで死亡した際、ご領主様は何の補償もしてくださいませんでしたね」


「なッ!?」



 少し懐かしい。ヴァイスくんに領地紹介をしている時、そういう経緯でウチに逃げてきた彼女を拾ったんだったわね。



「確かに夫は魔物に直接殺されたんじゃありません。その後の感染症によるものです。ですがアナタのお父様は無慈悲に、〝予後が悪いせいだ、自己責任だ〟と……!」


「そこまでにしてあげなさい。ケーネリッヒに罪はないわ」


「っ、失礼しました……! それでは」



 足早に去っていくメイド。そんな彼女の背中を前に、ついにケーネリッヒの目から涙がこぼれ落ちた。



「くそっ……そりゃあ、故郷に愛想を尽かすわけだ……!」


「責任感じてるわけ? アンタは所詮、次期当主。悪いのは現当主のブルリックでしょ?」


「それでもだ。所詮、次期当主の身であろうとも、もっと出来ることがあったはずなんだ」



 あぁそう。それは責任感のお強いことね。


 わたしなんてテキトーに領民いじめて遊んでるのに。



「で、どうすんの?」


「決まっている」



 幼馴染は涙を拭いた。そして去りゆくメイドの背中や、丘の向こうより領地を捨ててやってくる者らを見て言う。



「レイテ。俺は、強くなるぞ。いっぱい修行していっぱい勉強して、誰よりも強い男になって、この世で最高の領主になってやるんだ」


「ふぅん、わたしよりも?」


「当り前だ。そして……最高の土地を作り上げて、お前に奪われた領民たちを返してもらうんだっ!」



 ずびしっ、と指をさされて宣言された。


 生意気なヤツ。でも、いいじゃない。ウジウジしてるより億倍マシよ。



「調子が戻ってきたようね。いいわぁケーネリッヒ、その勝負受けてあげるっ!」


「ああ! ……そ、そしてレイテよ。俺が勝った暁には、そ、その、嫁に……」


「んん?」



 と、彼が何やら言おうとした時だ。物陰より、「感動的ですねぇ……!」と涙ぐむ声が。


 この声は……。



「なに見てんのよ、アシュレイ」


「はっ、気付かれてしまいましたかッ!」



 ウチの変態眼鏡執事ね。なんでハンカチ片手にぐずぐずしてるのよ。



「なによその涙」


「いやぁ、私こういう展開に弱くって……!」


「こういう展開?」


「ちっちゃい子たちの友情物語です」



 ってッ、



「「ちっちゃい子じゃなーーーいッ!」」



 思わずそう叫ぶ、十六歳のわたしとケーネリッヒ(※身長150cm以下)だった……!


表紙画公開!こちら極悪令嬢レイテちゃん様になります!!!

挿絵(By みてみん)

うつくしや~!


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― 新着の感想 ―
[良い点] しっかりとどめ [気になる点] 親の爵位は保てるのか? [一言] 表紙、花かと思ったら爆発ですよね、うん
[良い点] レイテ様…まばゆい…描いたお方めっちゃナイス… やべぇ、極東の国のコスプレ文化より先にゴスロリが輸入されてた。出来るだけ「悪そうな服」とは言ってたけどゴスロリだったなんて…素晴らしい! […
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